世界を救う読書

ビジネス書から文芸書までさまざまな本を通して世界の見方を考えるブログ

時事ネタ

なぜ日本人は一生懸命働くのか? 山本七平「日本資本主義の精神」

「日本人は勤勉だ。」こう言われて否定する人はいない。「日本人と言えば勤勉。勤勉と言えば日本人。」であり、「社畜」「ブラック企業」という言葉がはびこるのも、この日本人の勤勉さゆえと言っても過言ではないだろう。むしろそれだけ”奉仕する心”を持つ…

宿命に立ち向かう人間の美しさを描く、NHKドラマ「カムカムエブリバディ」。

自他ともに認める”三度の飯より読書好き”の私が珍しくNHKの連続テレビドラマを毎日観ている。我ながら驚くべき事実である(笑)。そのドラマの名は「カムカムエブリバディ」。 今作の特徴は何と言っても主人公が祖母(上白石萌音)、母(深津絵里)、孫(川栄李奈)…

アインシュタインはなぜバイオリンを弾いたのか?脳と音楽の不思議な関係

世界中の誰もが知る物理学の天才アルバート・アインシュタイン。 だが、彼がヴァイオリンの名手だったことを知る人は意外と少ない。アインシュタインはバッハやモーツァルトなどのいわゆる”クラシック音楽”を非常に好み、ヴァイオリンの演奏もかなりの技術だ…

覇権戦争からは誰も逃れられない。荒れ狂う世界を知る上で必読の書、中野剛志「変異する資本主義」。

経済産業省の現役官僚であり、評論家でもある中野剛志。 この人の放つマジックはいつも私を困らせる。 そのマジックとは、どんな本でも「タイトル」「目次」「まえがき」「あとがき」をチェックしてから買う私だが、”中野剛志”という名前が書いてあれば、自…

浜崎洋介著、”批評の神様”小林秀雄の『人生』論は直観を信じる人生哲学だ。

”批評の神様”の異名を持つ昭和を代表する批評家、小林秀雄 (1902年誕生。1983年没)。 今では当たり前となった(美術や音楽、文学など)何かの作品を”批評”するという行為を、日本語による近代的スタイルとして確立した人物である。文学に多少なりとも興味があ…

水村美苗著「日本語が亡びるとき」。10年を経て輝く日本語論の名著

突然だが私は古本屋巡りが大好きだ。もちろん普通の書店も好きなのだが、どうしても比較的新しい書籍に重きを置かれるため、「古いけれども、今なお重要な本」に出会い辛いのだ。私にとって古本屋はそのような書店の弱点を補うのに格好の場所であるのだが、…

AI確変で一発逆転を狙った文学部の妄想。波頭 亮著「文学部の逆襲」。

今回は私には珍しく辛口レビューをお届け。 その本がこちら 波頭 亮 (はとう りょう) 著「文学部の逆襲」 だ。 文学部の逆襲 ──人文知が紡ぎ出す人類の「大きな物語」 (ちくま新書) 作者:波頭亮 筑摩書房 Amazon 私は基本的に本を買う時にはできる限り「まえ…

アートを知れば言語はもっと楽しくなる。不確実な時代に必要な「”ヴィジュアル”を読みとく技術」。

Youtube、Instagram、 TikTok・・・昨今話題となるメディアは動画や写真といったヴィジュアルに訴えるスタイルが主流だ。 だが、プロモーションコンテンツの制作に携わる中で日々感じるのは、「むしろ言葉の重要性が高まっているのではないか」ということだ…

デジタル化して本当に大丈夫? 堤未果 著「デジタル・ファシズム」。

前著『日本が売られる』で人気を馳せた国際ジャーナリスト、堤未果 (つつみ みか)氏。 国際ジャーナリストという肩書に相応しく、日本だけでなく海外 (特にアメリカ) の報道資料、官公資料に基づいたジャーナリスティックな著作が多い。 今回は彼女の新刊『…

しいたけ.推薦、マキャヴェッリ著「君主論」は運命に立ち向かう者への讃歌だ。

皆さんは「しいたけ.」という方をご存知だろうか?“占い師”というと聞こえは悪いかもしれないが、私個人について言えば、普段占いなどは信じない・・・正確に言えば“自分に都合が良いところだけ参考にする”スタイルだが、このしいたけ.氏の占いはそれぞれの星…

崩壊する文明の運命に立ち向かった男。ル・ボン「群衆心理」

社会心理学の歴史的名著、ギュスターヴ・ル・ボン著「群衆心理」。 この本をご存知だろうか。 この本は著者のル・ボンがフランス革命の混乱の後に書いたもの。革命の最中、民衆が”群衆”と化し、社会に破壊と殺戮の嵐を招いた激動の様子を観察し、その群衆が…

読書に成果なんか求めなくていい。著者との対話こそ真の醍醐味だ。

古今東西、読書には様々な方法がある。 その中でも最近特に言われるのが「本を読んだら、速やかにアウトプットすべし!」という方法だ。 一昔前なら読書日記をつけることが関の山だったのだが、そこはネット全盛の現代。 ブログやSNSなどで誰でも手軽に発信…

教養ブームが生む弊害について。教養とは”思いやり”である。

コロナ禍に前後して活況を呈するのが”教養”市場だ。 日本人の勉強好きは昔からの特徴だが、社会の不安定化を反映してか、単なる勉強を超えた"教養"という分野が注目を集めている。 たとえば書店の入り口を潜れば、真っ先に教養コーナーが目に飛び込んでくる…

鈴木宣弘「農業消滅」。日本を襲う飢餓までのカウントダウン。

現代は飽食の時代だと言われるが、その一方で日本は食料自給率は世界でも低い。 その自給率は実に38%。 私達が普段口にしている食料のうち、4割未満しか国内の生産量で満たせていない計算だ。 食は体の素だと言われるが、その意味では私たちの身体の三分のニ…

”普遍性のディズニー”と”多様性のチャップリン。あなたの心をつかむのはどっちだ?

ウォルト・ディズニーとチャーリー・チャップリン。 世界で最も有名なこの二人だが、彼らの繋がりを知る人は意外にも少ない。年齢で言えば一回りほども違うが、実は彼らは強い師弟関係で結ばれていた。 たとえばこんな話がある。 ディズニーは子供時代からチ…

自由と平等という幻想が社会を狂わせる。ジョン・ロック「市民政府論」

「国民の信任を得た」 選挙後に多数派となった政党がよくいう言葉の一つだ。 だが、この言葉にもやもやした違和感を感じる人も多いのではないだろうか。 「国民の信任を得た」と言うけれど、投票した人がみなその人に投票したわけではない。むしろ「こいつだ…

なぜオリンピックを強行開催するのか。政府の基本方針から読み解く理由。

「政治家は一体何のために仕事をしているのだろうか。」 思わずそう呟かざるを得ないほど、現代は政治家と国民の分断が拡大している。 東京オリンピックの強行開催はその象徴的出来事だ。 朝日新聞が5月に発表した世論調査によると、「中止する」と答えた人…

国民のために働きたくても働けない。「ブラック霞ヶ関」の実態

「官僚」 日本においてこれほど悪いイメージを持たれている言葉も少ないだろう。 本来なら日本を牽引するエリート集団であることを否定する人はいないだろう。その一方で多くの一般国民が抱くイメージとは 「上級国民の集まり」 「無駄に偉そう」 「税金から…

映画「るろうに剣心 The Beginning」。ファン歴30年が語る感想。

ついにこの時がやって来た・・・! 映画「るろうに剣心 最終章 The Beginning」が公開! 映画の初公開から足掛け10年にわたる歴史がついに終止符。 果たしてその結末とはいかに?? 原作から数えて30年弱のファン歴を誇る一ファンの目にどのように映ったのか…

コロナ不況脱却のために何が必要か? 井上智洋「『現金給付』の経済学」

先日携帯電話の利用料金に関して、驚きのニュースが報道された。 総務省は毎年、東京やニューヨーク、ロンドン、パリ、デュッセルドルフなど世界の主要6都市で、携帯電話料金を調査しているのだが、東京での価格がロンドンに次ぐ二番目の低価格になったとい…

ヨーロッパの覇権を確立した3つの革命 玉木俊明 著 『16世紀「世界史」のはじまり』

「先進国と言えばどこの国か?」と聞いて思いつく国と言えばどこだろうか? アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス・・・中国ももはや先進国の一つだろうか。 先進国にはいろいろな定義があるけれども、欧州、特に西ヨーロッパの国々といえばどこも先進国の一…

イノベーションとは合理性からの脱却である。安藤昭子著「才能をひらく編集工学」

「ここ数年の変化は歴史的に見ても、千年に一度起こるかどうかというほどの大変動ですよ。」 以前、阿川佐和子が司会を務める「サワコの朝」という番組で、歴史学者の磯田道史氏がゲストに招かれた際に発した言葉だ。 世の中の流れとは常に変化するものだが…

高橋真矢 著「資本主義から脱却せよ」。未来のために私たちが取り戻すべきものとは何か。

早速ですが今回ご紹介する本はこちら。 高橋真矢・井上智洋・松尾匡の3名による共著「資本主義から脱却せよ」。 最近、資本主義批判の本がよく出版されており、若干”流行り”のような感じがある。この本もてっきりその流れの本かと思ったものの、著者に私が好…

映画「るろうに剣心 The Final」。ファン歴30年が語る感想と次作への期待。

さて、ついに映画「るろうに剣心 The Final」を観てきました。 るろうに剣心シリーズの最後を締めくくり、シリーズ最大の謎に迫る今作。 ファン歴25年以上を誇る”るろ剣フリーク”の私の目にどのように映ったのか? ちなみに、下記投稿で「るろうに剣心の魅力…

映画「るろうに剣心」に寄せて。”るろ剣”の真のテーマと長年愛される理由。

いよいよ、ついに、この時がやってきました・・・ るろうに剣心最終章「The Final」が4月23日に公開されました!!! 私にとって「るろうに剣心」は、”人生を変えた”と言っても過言ではない作品。 私の人生は「るろ剣」なしには語ることができません (「たか…

よい人生を送るために必要なたった一つの”輪”。ロルフ・ドベリ著「Think Clearly」。

「よい人生を送るにはどうすれば良いのか?」 「どうすればより幸せになれるのか?」 大昔からあらゆる人間が抱いてきたであろうこの疑問。 これに真っ向から、そしてわかりやすく答える世界的ベストセラーを今回はご紹介。 それがこのロルフ・ドベリ著「Thi…

人は誰でも悪魔になる。藤井聡著「”凡庸”という悪魔」。

「全体主義」 この言葉にどのようなイメージを持つだろうか? 「全体主義最高!」「全体主義って恰好良いよね!」・・・こんなイメージを持つ人はほぼいないだろう。 逆にほとんどの人が「なんか恐い・・・」「野蛮」そんなイメージを持っているのではないだ…

J.S.ミル著「自由論」が示す”民主主義ゆえの弱さ”

社会が大きな混乱に陥ると、それまで当たり前と思われていた考え方や価値観が根本から問い直されることがある。 昨今「民主主義」が危機に瀕していると言われるが、これもまさにコロナ禍という社会的混乱によって引き起こされていると言えるだろう。 では、…

天才ドラマー"村上ポンタ秀一"死す。天才が生きられる社会の条件とは?

今週、音楽業界を揺るがす報せが飛び込んで来た。 日本の音楽シーンの立役者の一人と言っても過言ではないドラマー、村上ポンタ秀一氏が逝去された。 私は音楽業界に身を置く立場だが、基本的にこのブログでは音楽業界のことは書かないことにしている。理由…

"人は成長する"という物語を捨て去ることができますか?斎藤幸平著「人新生の資本論」

私は基本的に流行り物に飛びつかないようにしています。本でも同じです。 流行っている物がすなわち良い物とは限らないと思いますし、「流行ってるから読んでみようって恥ずかしくない?」という、ある意味”中二病”的な心理も働いていることは否定できません(…

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