世界を救う読書

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トップクラスの質と最低クラスの生産性が共存する日本人の労働

突然ですが、私が勤めている会社は昔から海外展開を重視しているため、外国人の方々とのやり取りが多いです。

ですので、どうしても自分達と海外の人達との仕事の取り組み方の違いを感じる時が多くなります。


先日会社の同僚から

 

「日本人ってこんなに一所懸命働いてるのに、どうして生活が良くならないんだろうね。外国人スタッフはうちらより早く帰って、バケーションも楽しんでるのに。なんでこんなに生産性が低いのか・・・」

 

という相談? 愚痴? 質問?をされました。

 

移動中だったこともあり私は「単に日本のGDPが上がってないからですよ。で、GDPが上がらないのはデフレのせい。デフレを抜け出せないのは国家政策の問題です」と答えたのですが、同僚は

 

「でも、やっぱり日本人の働き方に問題があるんじゃないかなぁ」

 

と釈然としなかった様子。

 

私は「生活が向上しないのは、国全体の生産力を上がってないことが根本的な問題。これ以上個人が頑張っても劇的には変わらない。私達一人ひとりはすごく頑張っているのだから、必要以上に自分たちに問題があると思わない方が良い。」ということが伝えたかったのですが、どうも話を端折り過ぎたようで、全く伝わらなかったようです。

 

ただ、世間のニュースやその反応を見ていると、私の同僚のように「日本人は生産性が低い」と考えている人が結構多いのではないかと思いまして、今回の記事を書くことにした次第です。

 

サービス残業が多いとか、いつまでもダラダラ働き過ぎだとかいった話は、昔から言われていますが、「生産性が低い」「生産性向上!」とか言われるようになったのは、一昨年くらいに「日本人の一人あたりの生産性が先進国最低水準」というニュースが流れた辺りからだと思います。

 

ただ、じつは一方でWorld Economic Forumによると日本の労働者の質は、主要先進国の中ではもっとも高いと言われています(世界でも第四位)。労働者の質は世界最高レベルなのに、生産性は低い・・・・なんかこれって矛盾してるような気がしませんか?

実はここで矛盾を感じるのは「何をもって生産性って言ってるのかをはっきりとさせてないから」なんです。

生産性って何なのかがはっきりしてない状況で話をしても、議論は噛み合いません。

 

じゃあ、生産性ってなんなのか。

簡単に言うと、経済学上の一人あたり生産性とは「GDP÷人口」。そしてGDPとは国民所得の合計です。

そうなるとGDPが多くて、人口が少ない国ほど有利です。当たり前ですね。

 

ところが、日本は1億2千万人以上の国民がいるにも関わらず、GDPはここ30年程ほとんどと言って良いほど伸びていません。欧州やアメリカが4倍近く伸びているのとは雲泥の差です。そりゃ、欧米に比べて一人あたり生産性が低くなるのも当然で、私の同僚が言ったような「日本人の働き方が〜」とかいう次元の話ではないのです。

 

労働者一人ひとりが頑張って労働生産性を上げる。それは勿論大事ですが、なによりも国家がちゃんとGDPを成長させる戦略をとる。それが一番大事なのです。

 

「じゃあ、どうやってGDP・・・つまり国民の所得を増やすの?」という話ですが、これはまた次の機会に改めましょう。長くなるので(笑)。

とりあえず今回私が言いたいのは「日本人は皆頑張って働いていて、そのクオリティは高い。もっと自信を持ちましょう!」ということ。

よく日本人は海外のことを知らないからって言う人がいますが、実際海外の人と仕事をしたら、どれだけ日本人の仕事の能力が高いか身にしみますよ…(笑)。

 

 

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