世界を救う読書

ビジネス書から文芸書までさまざまな本を通して世界の見方を考えるブログ

人口減少=衰退という幻想

先週日本の人口減少の見通しが報道されたこともあって、「日本衰退のシナリオ」を煽るような記事がちょくちょく目につきます。

東洋経済では

「(人口減少による経済の停滞のため)上下水道などのインフラ整備ができなくなる」

社会保障費が190兆円になり、財政赤字の日本では維持ができない」

「2021年までに財政健全化を図るには消費税を40%に上げないといけない」

とか、まぁ今にも「日本は破滅する!」と言わんばかりの勢いで特集が組まれています。

 

異常に過熱する東洋経済の記者には申し訳ないですが、まず落ち着いて欲しい。

そもそも人口減少と経済の停滞は関係ありません。

 

たとえば、高度経済成長期には人口増加率は1%程度でしたが、経済成長率は10%以上。他の欧米諸国が精々5%程度に対して、日本は倍の勢いです。人口増加で経済成長が決まるのであれば、この差分の9%はどこから生まれたのでしょうか?

これはまず人口増加と経済成長率に明確な相関関係がない、ということです。

 

また、一方で人口減少に対する経済成長率ですが、これも明確な相関関係はありません。例えば、人口が減っているのは日本だけではなく、ドイツやポーランドなどいくつもの国がありますが、その中で経済成長率が停滞しているのは日本だけです。しかも日本の人口減少率はたった0.2%弱。それ以上のスピードで減少している国は他にいくつもあります。

 

ですが、人口減少にも問題はあります。東洋経済紙の中でデービッド・アトキンソン氏が書いているように、「生産年齢人口が減少していること」です。

これは日本国内の生産量、つまり私達や将来世代の所得に直接関わる話ですので、放置しておくのはマズイ。

 

この問題に対する解決策は大きく2つあります。

一つが移民受け入れです。

しかし、これは問題が大きい。たとえば、移民を入れるということは当然現在の日本人よりも安く雇用することになるケースがほとんどですが、その場合我々日本人の賃金も移民労働者と秤にかけられることになりますので、さらに安くなる方向へ流れていきます。

何より現在の日本は既に賃金が安くなり過ぎており、移民労働者にとって魅力的な国ではなくなっているのが実状です。

(この他に民族対立という大きな問題がありますが、大き過ぎるのでここでは踏み込まないことにします)

 

もう一つの解決策は「生産性を向上させる」です。

結論から言ってしまえば、これこそが資本主義における唯一の最適な方法です。

例えば、先に挙げた高度経済成長期の年間10%という驚異的な経済成長率。これを成し遂げたのは何でしょうか?

よく「日本人の勤勉な国民性」などと言われますが、それは単なる神話に過ぎません。 1%の人口増加率に対して10%の経済成長率を成し遂げられたのは、国民の「あれが欲しい、これが欲しい」という需要に対して、生産力が追いついていなかったために企業が投資を行い、生産性の向上させたからです。

資本主義国家において成長が成し遂げられるのは、技術革新によって資本辺りの生産性が向上したときのみです。それは高度経済成長期だけでなく、第一次産業革命、第二次産業革命、第三次産業革命・・・など歴史が証明しています。

さらに、もっと身近な例で言えば去年開通したばかりの北陸新幹線。あれも関東地区と北陸地区をつなぐことで、新たな市場を創出すると共に、それらの地域を往復する時間短縮という生産性向上によって、多大なGDP創出につながっています。

 

それともう一点。

「生産年齢人口の減少が問題」だと書きましたが、その一方で高齢者層という市場はこれからさらに大きく成長します。

介護補助を行う人をサポートするAIやロボット事業といった介護分野への技術投資は、高齢者層の生活を支えると共に介護者一人辺りの生産性を高めることにもつながります。

また、若年層が少なくなることで、子供一人ひとりへのより細かい対応も重要となってきます。その教育分野の投資も短期的のみならず長期的にも日本の経済成長を牽引していくはずです。

 

ただ、ここで多くの識者が問題にするのが、「財源の確保」です。

 

が、ですが。

これはまた別の投稿で書いていこうと思いますが、結論だけ言うと

 

「日本には財政問題は存在しません。」

 

デフレという異常事態にあっては、日本政府が国債を発行してガンガン投資すれば良いのです。ありもしない財政問題を信じているせいで、やるべき事をやれず自分たちの首、そして将来の子供たちの首も締め続けている、それが今の私達現役世代なのです。

日本の財政をちゃんと理解して何をするべきかを考えれば、日本の人口減少なんて何も恐れることはないのです。

 

今回も長文を最後までお読み頂き有難うございましたm(_ _)m

 

このサイトについて プライバシーポリシー
Copyright ©2020 Sekadoku (世界を救う読書管理人)