世界を救う読書

ビジネス書から文芸書までさまざまな本を通して世界の見方を考えるブログ

財務省が方策を間違えるシンプルな理由 その② -国家財政は赤字が正常という話-

前回の投稿で「国家財政は赤字が正常な状態」と書きました。

 

恐らくこんな事を突然言われてもほとんどの人がすんなりとは納得できないと思います。そこで今回はなぜ「国家財政は赤字が正常な状態」と言えるのかを書いてみます。

 

そもそも私達が普段使っているお金になんで価値があるのでしょうか?
ただの紙やデータにしか過ぎないのに、何でみんな価値があると思っているのか。


結論から言いますと、国民の義務である納税を「日本円で払うことで」果たすことができるからです。

 

考えてみてください。

例えば税金を普段私達が貰っている給料とは全然別の物で税金を収めなくちゃいけないということになった場合、その税金はどうやって稼ぎますか?

仮に来年からお米で納税しないといけなくなったら? 普段の仕事に加えて農作業でも始めますか?

 

普段は気にも留めませんが、納税に使うお金と普段の生活を送るためのお金が一致しているから、私達は滞りなく生活できているのです。

 

つまり徴税権を持つ国家がちゃんと機能しているから、一つの通貨が流通し経済が回っている訳です。もしちゃんと国家が機能していないと「日本円が正しい通貨だ」といくら主張しても、誰も使いません。

私達が普段使っている通貨はこのように、元々国家の徴税に応えるために流通し始めたもので、それを普段の購買や商取引にも使えるようにした、という訳です。


ただ、ここで一つ問題が発生します。
元が徴税の目的とは言っても、もし国内にあるお金を全部徴収してしまうと、国内に出回るお金がなくなってしまいます。
出回っているお金がなくなってしまうと、普段生活で使う時は税金で払う通貨とは別のお金が必要になりますね。先程の例の「納税はお米。普段の支払いは日本円」みたいな感じです。確実に国民生活が大混乱ですね。

 

基本的に国内に出回るお金とは、国家が財政支出を行った時(民間業者に発注して何かしらのサービスを購入した時)に出回る仕組みになっています。 

※この仕組の話はまた細かい話になるので次回にでも説明します。今回はとりあえずそういう物だと思ってください。すみません。

 

したがって、国内に出回っているお金がなくならないようにするためには、国家運営に必要な分を全て徴収するのではなく、一部のお金を民間部門に残るように徴収する量を調整ないといけない訳です。そうしないとお金が流通せず国民生活が成り立ちません。

 

ここで「あれ??」と思った方は鋭い。

少なくとも私よりは鋭い(笑)。私は最初気付かなかったので(笑)。

 

徴収する税金を必要な経費よりも少なく留めておく。

逆に言うと「徴収した税金よりも多くの経費を使うことで国民生活が滞りなく循環する」・・・・これって何と言うでしょうか?

そう「財政赤字」です。

何を隠そう国家が財政赤字で運営されるからこそ、民間にお金が留まり経済が循環するのです。


これは現代貨幣理論という貨幣についての理論により導き出されており、中野剛志氏の著作「富国と強兵」に詳しいです。

この現代貨幣理論の論者であるL・ランダル・レイの言葉を借りれば

「正常なケースは、政府が財政赤字を運営していること、すなわち税によって徴収する以上の通貨を供給していることである。」

ということになります。

 

したがって、むしろ「財政黒字」こそが異常な状態であるということです。

よく考えれば当たり前の話です。

 

私達は自分の生活になぞらえて、ついつい「赤字/借金=悪」というイメージを国家にも当てはめてしまいます。

 

ですが、国家とは別に国民からお金を搾り取って利益を上げることが目的ではありません。国家とは「国民がより良い生活を暮らせるように必要な投資や環境つくりを行うこと」が目的のNPO法人です。お金はそれを実現するための手段の一つでしかないので、税金を絞りとって利益を出すような運営をして貰ったら困るのです。

 

利益が出るようなことは民間企業がやれば良い。利益が出ない、赤字確実だけど国民生活や安全保障のために必要だから国家がやる。

 

民間と国家はそもそも目的が違う。

これを混同して企業運営と国家運営を同じレベルで考えるので、全てが間違えるのです。

 

ただ、ここまでは納得してもらったとしても、「そうは言っても赤字をずっと拡大して良いの? 将来世代へツケを先送りすることになるのでは?」と思う方もいらっしゃると思います。

 

結論から言うと「デフレ状況下においては、財政赤字はいくら拡大しても良い」です。

 

その辺りのことは次回また説明させて頂きます。とりあえず今日はここまで。

 

今回も長文お読み頂き有難うございましたm(_ _)m

このサイトについて プライバシーポリシー
Copyright ©2020 Sekadoku (世界を救う読書管理人)