経営者だからと経済のことを分かっているとは限らない
経済同友会という組織をご存知でしょうか。
コトバンクによると
経営者が個人の資格で加入する会員制組織。各自の企業の特殊利害をこえた国民経済的見地から,財界としての建設的意見や要望を表明することによって,それらを国の経済政策に反映させることを目的とする点に特色がある。
だそうです。まぁ昔からある企業団体で時々新聞でも取り上げられるので、ご存知の方も多いかと思います。その団体が「新たな財政健全化計画に関する提言」を発表したようです。
この内容がまた酷い。冒頭部分だけを見ても
187%に達すると何か問題があるんでしょうか?
確かに破綻したギリシャよりも高いことは間違いありません。ですが、ギリシャは自国通貨ではなくEUという自国での発行ができない通貨での債務だったから破綻した訳です。名目GDP比が何%かは破綻するかどうかとは関係ないのです。
日本の国債は自国通貨建てですので、それが何%だろうが破綻するはずがありません。
財政健全化の基本は「出ずるを制する」であり、歳出削減を進めることが重要である。
「出ずるを制する」などという基本はありません。
これは民間団体であっても同じですが、収入と支出のバランスを健全化するのであれば、収入を増やせば良いのです。何事も元手がなくては商売は始まりません。必要な投資を国家自らが行い、国内全体の生産性を向上させることで健全化を果たす。これもまた基本です。
などなど、ツッコミどころ満載の「提言書」になっております。
そもそも量的緩和の継続によって国債の日銀買い入れが凄まじいスピードで進んでいます。日銀が保有している国債は、日銀が政府の子会社であり連結決算で相殺されますので政府は返済義務はありません。
その分を差し引くと国債残高は既に最大時よりも200兆円も減っています。つまり財政健全化とやらは凄いスピードで進んでいるのですが、これについては全く触れません。
要するに、経済同友会の言う「「2019年10月に予定している消費税率10%への引き上げを着実に実行すべきで、ポスト10%の引き上げ議論を早期に開始すべき」という結論ありきで、全てがそれを補完するように自分達の都合が良いような解釈でまとめられているに過ぎません。そしてそれは「財務省の意向」以外の何物でもありません。
経済同友会が本当に国民経済的見地から建設的意見を表明する団体なのであれば、「将来世代の負担となる赤字国債発行額削減は待ったなしの状況」などという財務省見解を踏襲しただけの提言を行うべきではありません。
むしろ、将来の国民のために必要なインフラや科学技術力向上のための投資を強力に推し進めるべきであることを堂々と提言するべきなのです。
今回も長文を最後までお読みいただきありがとうございましたm(_ _)m