世界を救う読書

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デフレは物が安くなるから良いこと??

マクドナルドが再び日本市場において値下げに踏み切った。

以前会社の同僚が「デフレだと物が安くなるから良いんじゃないの?」と言っていたのですが、このようなデフレに対する誤認は結構あるようです。

 

なので、「なぜデフレがまずいのか?」を一度整理しておこうと思います。

 

デフレの恐ろしさ その1

デフレとは単純に物が安くなる(=物価が下がる)現象ではありません。生産効率の向上や物流の効率化などによって物価が下がること自体は問題ないのです。

そういった正常な物価下落ではなく、デフレとは

 

「物価が下がる以上のスピードで、所得が下がること」

 

です。

 

所得が下がって消費者の購買力が落ちるから、生産性が上がっている訳でもないのに仕方なく生産者が価格を下げる・・・それによる物価下落です。

確かに物価が下がれば、所得が下がった消費者にとっては助かります。でも、その消費者とは、別の分野では生産者という立場になりますから(働いていれば、ですが)、結局生産者という立場になった時は売上が落ちて、所得が減るという事態になってしまうのです。

 

デフレとは我々消費者の購買力が落ち、我々の所得が落ち、貧乏になっていく・・・だからまずいのです。

これがデフレの恐さの第一点。

 

デフレの恐ろしさ その2

もう一点のデフレの恐さ、それは投資をしなくなってしまうことです。

先程「デフレとは所得の減少を上回るスピードで、物価が下落すること」と書きました。

そうなってくると皆さん、どうしますか?

お金を使うのを控えますよね?

 

例えば今手元に1万円あるとしましょう。

もうすぐ夏ですので扇風機が欲しくなる人もいると思いますが、デフレの場合いまお店にある在庫を買うよりも「もしかしたら新モデルへの切り替えとかで安くなるかもしれないから、もうちょっと我慢して待ってみよう」と考えると思います。

そりゃそうです。

仮に今お店にある商品が9千円で、それが1ヶ月後に5千円になるんだったら、今買うよりも一ヶ月後に買った方がお得ですから。

 

デフレの場合、このような個人の判断が国や企業にも適用されてしまい、「今あるお金を投資に使うよりも、貯金しておいた方が良い。もっと有効な投資先が見つかるかもしれないし、何かあった時に従業員への給料の支払いの分は残しておかないといけないから」となる訳です。

 

つまり、デフレになると将来への投資が縮小してしまうのです。

将来への投資が減るということは、将来世代の経済規模を維持拡大するための基盤が疎かになってしまうということになります。

これがデフレのもうひとつの恐ろしさです。

 

合成の誤謬

以上2点、デフレの恐ろしさ。

この2つの共通点が何だか分かりますか?

 

そう、どちらも「個人、民間企業の判断としては合理的であり、間違っていない」ということです。

このように個人としては間違っていない判断が合わさると間違った判断になる。これを経済学では合成の誤謬といいます。

 

個人の判断が正しいからと言って、それが国家として正しい判断になるとは限らない。

これが国家経済の難しいところでもあり、面白いところでもあります。

 

 

 

 

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