子供でも分かる「日本がデフレを脱却できない理由」
昨日の記事でインフレとデフレの違いについて整理しました。
そこで今回はそれぞれが元になる不況、つまりインフレ不況とデフレ不況の違いについて書いてみたいと思います。
インフレ不況とデフレ不況
昨日の書いた通りインフレとは「所得の上昇率以上の速さで物価が上昇する現象」、デフレは「所得の減少率以上の速さで物価が下落する現象」です。
したがってそれぞれの不況とは
・インフレ不況:
所得上昇以上のスピードで物価が上がるので、物が買えなくなり経済が滞る。
・デフレ不況:
所得が下落するので、物が買えなくなり経済が滞る。
という状態になります。
では、なぜそのような状態が起こるのか。
これは国家経済の「需要」と「供給」のバランスによって決まります。
需要とは物やサービスを欲しがる要求のこと。
供給とは物やサービスを作り出す能力のこと。
需要が供給能力より大きければ、どの企業も需要に応えようと生産能力を上げようとします。投資も活発になり、人材もより多く手に入れようとするので、労働者の所得も上がります。
基本的には良いことですが、極端に進むとインフレ不況あるいはバブルになります。
逆に供給能力が需要より大きければ、供給過多になりますので物やサービスがあまる状況になります。なので、投資は控えられますし、物が売れなくなるので人もあまり雇わなくなります。
これがデフレ不況です。
今の日本は後者の「供給能力が需要より大きい状態」になります。
インフレ対策とデフレ対策
このようにインフレとデフレは原因が全く逆になりますので、それぞれの対策も逆になります。具体的には
インフレ対策:
需要に対して供給能力が追いついてない訳ですから、供給能力を高める政策が必要です。
規制緩和して競争を促進し、いろんな事業者が入ってこれるようにして供給能力を高めます。また80年代バブルのように投資や消費が過熱しますから、税金を上げて過度な投資や消費を国民に控えさせるべきです。
デフレ対策:
供給能力に対して需要が不足している訳ですから、需要(みんなが欲しいという要求)を高める政策が必要です。
供給能力が高すぎる状態ですから、いろんな事業者が入ってきて競争が起きないように規制を強化すべきです。民間企業が投資を控えますから減税して投資を行うようにすべきです。国民も所得が減っていきますから、減税してどんどん消費させるよう促すべきです。
民間企業が投資を増やすまでの間は、国家が積極的に公共事業などのお金を使う政策を行い、需要を高めるのがベストです。
原因が逆ですから対策もこのように逆になります。
何もおかしな点はありませんね。
では日本の政策はどうだったか
さて、ここからが重要なのですが、上記のようにデフレの場合はガンガン減税を行い、民間がじゃんじゃんお金を使うように仕向けなければなりません。
ですが、実際にここ20年日本がとってきた政策は何だったでしょう。
規制緩和、構造改革、増税・・・・そう、全部インフレ対策なんです。デフレという所得や物価が下がる現象の最中、ずっっっっっっとインフレ対策という“所得や物価を下げる政策”をとって来たのが日本なのです。
これでデフレ脱却できたら奇跡以外の何物でもありません。むしろファンタジーです。
なぜそんな事になったのか。
一つは政治家のほとんどがバカだから。どうしようもなくバカだから。
ほとんどの政治家はインフレとデフレの違いすら分かっていないのです。「インフレだろうが、デフレだろうが、不況は不況でしょ? 何か知らんけど規制緩和すりゃ良いんでしょ?」程度の認識で、ずーーーーっと日本の国民を叩きのめして来たのです。
※もちろん、そうじゃない政治家がわずかながらいます。全員がバカとは言っていません。
そして、もう一つは「日本がデフレになっている方が自分にとってメリットがある人がいるから」です。
この点はまた今度機会を改めて。
とりあえずインフレとデフレの違いと、それぞれの対策の違い。
そして、日本が本来やるべき事と全く逆のことを20年以上やり続けて来た。
この事を皆さんに知ってほしいと思います。
今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆