世界を救う読書

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日本をデフレに突っ込ませたのは何か?

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という訳で、昨日の記事でご説明したように私はいわゆる「ロスジェネ世代」ど真ん中でございます。

ちなみに、コトバンクによるとロスジェネ世代とは

 

日本のバブル経済崩壊後の超就職難の時代に学校を卒業し、就職活動をした世代。昭和40年代後半から50年代前半の生まれ。確かな就職先がなく、アルバイト派遣社員などで職を転々とする人が多く出た。

 

という悲しい世代でございます。

その恨みつらみはさておき、バブル崩壊後の混乱があまりにひどかったせいか、現在のデフレ不況がバブル崩壊によって引き起こされたように考えられているケースが多いように感じます。

 

確かにいつの時代もバブルは発生しては弾け、不況を引き起こします。

ですので、デフレとバブル崩壊に関係ないということはありません。

しかし、失われた20年と言われるほどに「デフレ不況」が長引いているのは、バブル崩壊だけが原因ではありません。

 

バブル崩壊は1989年末もしくは1990年で、確かにひどい経済的な混乱が発生しました。株式時価総額がピーク時の半分にまで暴落したり、山一證券や大手地方銀行の倒産などが相次いだのを覚えてらっしゃる方も多いかと思います。

 

しかし、実はGDPの推移で見ると1997年までは曲がりなりにも伸びていっているのです。それが1997年からぱったりと止まり・・・それどころかマイナス成長に突っ込みました。

名目GDPが1997年は534兆円、2017年は546兆円とこの20年でほとんど成長していません。

 

では、この1997年に何があったのか。

1つ目は他でもない消費増税の実施です。3% → 5%。

 

バブルが弾けた後にデフレになる。

これは仕方がありません。

以前の投稿でも書いたように、バブルというのは供給能力を上回る需要が発生している状態が異常なまでに過熱している状態です。したがって、どこの企業もその需要を満たすためにガンガン投資するわけです。

投資すれば供給能力も上がります。

 

そんな状況でバブルが弾け、みんながそれまで使っていたお金を一気に貯蓄や借金返済に回し始めると需要が激減します。 

増強された供給能力によって生産過多になりますから、一斉に値下げ競争に走りますが、それでも売れない。全然売れない。そして、会社が従業員を雇えなくなりリストラの嵐・・・。

ざっくり言うと、これがバブルからデフレに至る流れですが、そんな状態で消費増税なんかしたらどうなるか?

誰でも想像が付きそうなものです。

みんな増々お金を使わなくなります。

 

ところが、そんな馬鹿でも気づきそうな誤りを当時の日本の政治は犯してしまったのですが・・・というか、今もまた同じことを繰り返そうとしてますね。

 

そして、1997年以後もう一つ行われたのが構造改革です。

バブル崩壊後、かなりの社会的な混乱があったのは事実です。

しかし、実はその後、従来の経済対策(日銀による低金利政策で金回りを促進すること。そして公共事業による需要の下支え)によって、上でも書いたように少しずつですが経済成長を果たしていたのです。

 

それが1996年に発足した橋本龍太郎内閣によって推し進められた構造改革によって、バブル崩壊で激減していた需要を支えていた公共事業の大幅な削減、金融ビッグバンなどともてはやされた金融自由化、派遣労働者の原則自由化などが進められました。

これらの急激な構造改革が曲がりなりにも機能していた日本経済の基盤を破壊し、97年の消費増税以降一気にデフレ経済へと突っ込んだのです。

 

 

 普通の感覚であれば、20年もの間、「岩盤規制をぶち抜く」だの「聖域なき構造改革」だのと散々に騒ぎ立てて改革を行って、肝心のデフレ脱却という結果が出せないのであれば、「何かおかしいんじゃないの?」と思うのではないでしょうか。

ところが日本では「いや、まだ改革が足りないんだ!! もっと改革しろ!! もっと痛みに耐えろ!!」と逆の方向に言っています。

 

日本人の議論でよくありがちなのですが、タイムスケジュールが曖昧だったり、事の成否を判断するための“成果の定義”が曖昧なまま、「何か今のままじゃいけないから、とにかくやってみる。やりながら考えれば良い」みたいにして、何となく雰囲気で取り掛かってしまうことが多いです。

 

この構造改革も正にそれで、

 

・「改革をどこまでやるのか」

・「どういう成果が出たら改革が成功だったとするのか」

 

という要件定義をしないまま、「とにかく何かやらないと」という焦燥感だけが募り、その時に目の前にぶら下がっていた構造改革に飛びついたのです。

 

要件定義ができていないから、いつまでもダラダラと「もっと改革すれば・・・もっと改革すれば・・・」と延々と無駄な努力を続けてしまうのです。

 

その結果生まれたのが、この失われた20年を背負いデフレ経済をいまだに脱却できない日本という国の現状です。

 

私はロスジェネ世代のど真ん中で生まれた者として、そのような愚かな選択をした政治家を許せません。しかし、ものすごく突き放して言うと、それはどうでも良いのです。

ある意味もう済んでしまったことですから。

 

ただ、明らかに間違っていた政策に未だにしがみついている現状を何とかしたい。

これ以上日本が衰退するのを黙ってみていられない。

そんな思いで今日もブログを綴っております。

 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

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