Dive Into The World

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「学問のススメ」のススメ!

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さて、今日の投稿は読書レビューです。

お題は

 

小浜逸郎著「福沢諭吉 しなやかな日本精神」

 

です。

 

まず、この本をお勧めするのは二通りのタイプの方です。

 

1つめは「幕末/明治維新に興味がある人で、なおかつ通り一遍の解説ではない多角的な見地から、その意義を知りたい人」です。

 

そして2つめは「現代の国際情勢の中で日本の在るべき方向性について興味がある人」です。

 

では、それぞれの人にとって本書がどのような意味があるかを説明します。

 

その1「幕末/明治維新について通り一遍の解説ではない説明に興味がある人」にとっての本書の意味。

現在放送中の大河ドラマ「西郷どん」が正にそうですが、幕末や明治維新を描くとなると、吉田松陰西郷隆盛桂小五郎高杉晋作坂本龍馬などの維新側か、もしくは新選組徳川将軍家などの幕府側か、どちらの立場にせよそういった「英傑」にスポットを当てた形で展開されます。

 

ですが、実はそういった“華のある英傑”の裏には、多くの隠れた逸材がひしめき合い、むしろ彼らこそが時代を動かしたとも言えます。

と、まぁここまでは今までにも時々言われている話です。

しかし、この本では敢えてそういった英傑が成した業績は、ほんの少しの偶然のめぐり合わせによって辛うじて上手くいったものの、実はどこで破綻してもおかしくなかったほど綱渡りの物であったこと。

彼らが英傑と祭り上げられたのは、明治政府の正当性を示すためのご都合主義によるもので、むしろ明治の下地を築いたのは、その影に隠れた逸材たちであったとしています。その一人が福沢諭吉だとして、彼が世に問うた思想がどれだけ当時の時代に影響を与えたのかをつぶさに説明しています。

 

福沢諭吉の視点を中心にして、新書にしてはかなりコアな幕末・明治初期の情報や分析がなされていますので、その辺りの歴史好きの方にはお勧めです(*´ω`*)

 

その2「現代の国際情勢の中で日本どうあるべきかを考えたい人」にとってのこの本の意義。

実は福沢諭吉が活躍した明治初期というのは、今より前に展開されたグローバリゼーションの萌芽の時代であります。それ故、その時代情勢を分析し日本のあるべき道を提示した福沢の論は、現代のグローバリゼーションがもたらす混乱の渦中にある国際情勢で日本が在るべき姿を示唆してくれるものになっています。

 

福沢諭吉といえば、は幕末期にアメリカへ留学し、いち早く洋学を身につけて、開国を積極的に支持。西洋文明にならうことを提唱しました。

ですので、西洋的な開明主義を唱えたグローバリストであると思っている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、福沢は次のような言葉で「西洋心酔者」をこっぴどく批判しています。

 

「怪しいのは、日本の普通の論客や学者が西洋を盲信していることだ。ひたすら西洋のことを称賛し、褒めちぎる者。あるいは西洋の凄さに恐れおののいて、一にも二にも西洋式であるべしと、法律や規則はもちろん衣食住のことまで西洋流を標準とするべしと言う。

全くおかしなものだ。

(19世紀末のグローバリズム時代の)西洋は正に狼狽して、混乱を極めている。それなのにその方向性が世界標準だなどというのは、慌てふためくにもほどがあろう。」

 

うーん・・・・これって正に現代の日本と全く同じだと思いませんか?

西洋流が正しいと信じ切って、「欧米では云々」「日本は遅れているから云々かんぬん」と言い、移民推進政策、規制緩和、公共サービスの民営化などを推進しています。

むしろ欧米では既に失敗が露見して、その反対の方向に舵を切ろうとしているのに・・・。

 

正直なところ「世界の流れに周回遅れするのって日本の伝統なのか?」と落胆せざるを得ません・・・そんな事考えたくないのですが。

偉そうに言うなら、福沢諭吉も当時はこれと同じ日本の政治に対する落胆を味わったのではないかと思ってしまいます。私ごときが偉そうな口きいてすみません(_ _;)

 

ただ、福沢諭吉が凄いのは、そのような時代情勢を見極めつつも、その打開案を提示しようと精力的に活動をしたことです。 

彼の活動の中で首尾一貫しているのは、次のようなことです。

それは

 

厳しい世界情勢の中で日本が独立した国として諸外国と対等に渡り合うためには、たとえ戦火は交えずとも、国民一人ひとりが実は経済戦、情報戦、思想戦という戦いの循環の中に巻き込まれてしまっていることをしっかりと自覚すること。

そして、自分たちに何ができるのか、何をなすべきかを自分で調べ、自分で考え、そして実践していくことだ。

 

ということです。

 

福沢諭吉が学問の重要性を主張したのは、そのような「自分で考える」ための絶対条件だと考えたからです。

だからこそ福沢は有名な「学問のすすめ」を書いたのです。

 

今回紹介した著作の中では、福沢が「学問をしていないことで国民が知りえない不利益」や「“知る”ということで、それまで見えなかった世界の事実が見えるようになる」ということを国民に訴えかけていることを、数多くの実例を引きながら分かりやすく伝えてくれています。

 

この本は総ページ数が350ページ近くと新書にしては結構分厚いです。

情報も結構濃密なので、全部頭に入れるのはかなり大変です。

ですが、それぞれのセクションの見出しがかなり分かりやすくなっています。

 

全部読む必要はありませんし、変な話立ち読みでも構わないと思いますので、見出しをパラパラと見て気になった所だけでもチラッと読んでみてはいかがでしょうか?

 

メチャクチャ長い読書レビューになってすみません(_ _;)

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆