世界を救う読書

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「災害すらもコンテンツ」としか考えない日本のメディア

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今回の西日本豪雨の最中、現地にいた私にとってテレビが主要な情報源でした。
 
ただ、そのメディアの報道の中で気になることがありましたので、今日はその事について書いてみたいと思います。
 
本来のメディアの役割とは、日々世界に溢れる情報を収集し、整理し、そしてその情報を必要とする人達へ適切な形で届けることです。
 
ですが、実際にメディアが行った情報提供とはどのような物だったでしょうか?
恐らく地域によって違いはあるかと思いますが、こと九州で視聴できる限り
 
気象庁の会見とそこで発信された情報をおうむ返しのように垂れ流すだけ
 
・災害の現場の状況をひたすら流し、どれだけ悲惨かをこれでもかこれでもかと強調する
 
ほとんどこれだけだったように思います。
 
勿論これらは情報としては大事です。
しかし、それをおうむ返しのようにひたすら繰り返すこと、そしてこれだけ民放があるにも関わらず、どの局もコピペしたように同じ情報を垂れ流すのは果たして報道と言えるのでしょうか?
 
気象庁発表に関して言えば、その情報はたしかに有益ではあるものの、素人にはなかなか理解することが難しいことも多々あります。
例えば、「激しい雨」「猛烈な雨」「記録的な豪雨」…これらがどのように違い、その違いが災害地においてどのような意味をもたらすのでしょうか?
気象庁の会見担当者が恐らく言い間違えて、言い直していましたので、気象庁のなかでは明確な定義があるのでしょう。しかし、そんな事は素人に分かりません。
 
実際問題として、それ以上の説明を気象庁に求めるのは難しいのは事実でしょう。
気象衛星などから得られる膨大な情報を元に、今後の予測や避難警報の発令など目まぐるしい仕事が押し寄せているからです。
 
本来そのような情報源と国民を繋ぐ為にこそメディアが存在する訳です。
つまり、気象庁の情報を元に現状を精査し、その情報を必要とする人たちに分かりやすい形で提供すること。それがメディアの責務です。
 
しかしながら、実際にメディアがこぞって行ったのは、よその局よりも少しでも衝撃的な映像や写真を流して災害の悲惨さを強調すること。そして、それを見たコメンテーターに「大変だー、大変だー!」と騒ぎ立てさせること。
それだけです。
 
結局、どの局もコピペしたように一様な内容になってしまうのは、メディアが
 
・自分達で情報を収集する情報収集能力がない。
 
・その上与えられた情報を国民に伝えるために整理しまとめる再構成能力がない。
 
・そもそも情報を必要な人達がどのような状況に置かれているかを想像する想像力に著しく欠けている。
 
からです。
 
何もこれらは天才的な編集能力がなければ成しえないような、とてつもない高度なものではありません。
 
メディアが長い歴史の中で自分たちの仕事の意義に向き合い、それを各メディアの競争の中で切磋琢磨することを怠っていなければ、全てのメディアに蓄積されていて然るべきものです。
いえ、むしろ、そのような蓄積でこそ成せる業でしょう。
 
しかし、今回の一連の報道を観る限りそのような矜持がメディアに共有されているとはとても思えません。
むしろ、悲惨さをとにかく煽り立て、コピペしたような一様な報道のあり方を観る限り、その背景には
 
「このような災害でさえ“コンテンツ”の一つとしか考えておらず、それをよりセンセーショナルな形で番組や記事を構成して給料を貰うこと」しか考えていない
 
というメディアの精神性があるのではないかと思います。
 

そのような精神が背景にあるため、より多くの人に消費して貰えるコンテンツに仕上げるべく、無闇やたらと衝撃的で扇動的な形で報道されるのです。

 

ちょっと話が逸れますが、“そもそも論”の話をすると、私は今回の災害の被害がここまで拡大したのは、メディアにも一旦の責任があると考えています。

それは、インフラ整備の意義を考えることもなく、ただひたすらに「公共事業=既得権益=悪」というイメージを国民に植え付け、インフラ整備を削りまくることに加担したという意味においてです。

 
そして、そこにも今回と同じように「公共事業=悪」というコンテンツをセンセーショナルに煽り立てることで給料を得ることしか考えず、日本の将来のことなど全く考えていなかったメディアの精神性が隠れていると思っています。
 
是非各メディアには本来の役割を考え直し、今一度それに正面から向き合う気概を見せて欲しいものです。
 
今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆
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