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インフレ目標とは“インフレ率の上げること”が目的ではない。

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先日とある経済アナリストの方が、日本政府と日銀が掲げる「インフレ目標2%」という政策に関して反対をしてらっしゃいました。

今回はそれに対する考察をすることで、そもそも

 

「なんでインフレ目標を掲げるのか?」

「経済の目的とは何か?」

 

を考えてみたいと思います。

 

ニュースなどでも取り上げられる「インフレ目標」ですが、これはざっくり言うと「物価上昇率が2%になることを目標に金融政策を行っていく」という政策指針です。

 

その経済アナリストさんによると、「この政策は政府が自分たちの借金を国民に肩代わりさせる政策」なんだそうです。 

その仕組とは

 

インフレ率が上昇するというのは、物の価値が上がって、貨幣の価値が下がることである。

 

 

貨幣の価値が下がれば、日本政府の債務の価値が相対的に下がる

※額面の数字は変わりませんが、「物やサービス」に対する円の価値が下がるという意味。

 

 

しかし、貨幣の価値が下がれば、国民が持っている資産の価値も下がる

 

 

つまり日本政府のインフレ目標とは自分たちの債務を減らすために、国民の資産価値をも下げようとする政策。

つまり、自分たちの借金を国民に支払わせようとしているのだ。

 

だそうです。

 

正直ツッコミどころが満載でどこから話すか迷う位なのですが・・・(笑)、ひとつずつ順番に行きましょう。

 

いきなり一撃必殺の話をして息の根を止めてしまいますが

 

①日本政府は通貨発行権という宇宙最強の武器を持っていますので、どれだけ借りても、いくらでも返せます。

 

②日本国債(借金)の996兆円の内、44%(437兆円)が“日本政府の子会社である日銀”によって保有されています。

親会社と子会社のお金の貸し借りは連結決算で相殺されますので返済不要。

 

よって、そもそも国民に肩代わりさせる必要などこれっぽっっっっちもありません。

 

ぶっちゃけこれでほとんど終了なんですが、他の点も説明しましょう。

 

インフレ目標」という言葉を使うので勘違いを招くのですが、実はインフレ率そのものを引き上げることが目標ではありません。

 

どういうことでしょうか?

 

例えば原油価格の上昇により、国民の所得が増えない中でインフレ率のみが上昇したとします。

そうすると、物価に対しての相対的な賃金、つまり実質賃金が下落してしまいます。

実質賃金が下落するということは、国民が貧しくなっていくということです。

しかし、インフレ率上昇が目的であれば、国民が貧しくなってもインフレ率が上がっているのでOK!ということになります。

 

それでは本末転倒です。

 

そうではなくて、インフレ目標を設定するということの目的は

 

あくまで政府が経済復興のために必要な財政政策や金融政策を行うことで、政府と民間の消費や投資を増やし、「国民の所得」を安定的な増加に持っていくこと。

その為の具体的な数値目標としてインフレ率を設定する

 

ということに他なりません。

 

その目的から考えればこのアナリストが言うような

 

“インフレによって持っている資産価値の減少”

 

は単なる結果しかありません。

インフレ目標とは「インフレ率を上げること」が目的ではないのです。

もし、インフレ率上昇によって資産価値が目減りするから止めろ、というのであれば、それはそもそものインフレ目標の意義をまったく理解していないのです。

 

そして、もう一つ。

「インフレ率が上がると資産が目減りする 」のだとしても、投資家というのは資産が目減りするのを指をくわえてボーッと見ているほど、バカなのでしょうか?

これ、投資家の人をバカにしていると思うんですよね。

 

実際、過去のインフレ率を見てみると

 

1980年: 7.8%

1985年: 2.0%

1990年: 3.0%

 

となっています。

※全部書き出すの大変なので5年毎にしました。

 

これ思いっきりバブル期なんですが、これだけインフレ率が高い間、

 

果たして投資家は「こんな状態が続いたら資産が目減りする〜〜〜! 物価下げろ〜〜〜!」などと騒いでいたのでしょうか?

 

そんな事は一切ありません。

皆、ガンガン、設備や土地に投資してむしろ資産を増やしていたのです。

バブルですからね。資産価値もガンガン上がっていきました。

 

以上、バッサバッサと斬り捨てましたが、いかがだったでしょうか?

確かに「個人の資産」を「超短期的」に考えれば、インフレ目標というのは不安材料なのかもしれません。

 

ですが、それは結局「自分本位になるあまり国民経済という大局で物事が見えなくなった」ということに他なりません。

言い換えれば自己利益の追求にしか興味がなくなったということでしょう。

 

経済とは本来「経世済民」…すなわち、世の中をよく治めて(おさめて)人々を苦しみから救うことです。

であれば、国家を大局的に見る観点がなければ、単なる金勘定の話でしかなく、本当の意味での「経済」にはなり得ません。

 

経済に関わる職業に携わる人には、その矜持を常に持っておいて頂きたいと願います。

 

今回も長文を最後までお読みいただきありがとうございました😊