世界を救う読書

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人口減少による生産性&収入アップのシナリオを移民によってわざわざ崩壊させるな

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あまり知られていませんが、WEF (World Economic Forum)の調査によると、日本人労働者の質の高さは世界第4位にランクインしています。

堂々たる世界トップレベルです。

しかし、その一方で1人当たり労働生産性OECDに加盟する35カ国中で20位、先進7カ国の中では最下位となっています。

 

世界トップレベルの質を誇りながら、生産性はそれに比べるとかなり低いことに矛盾を感じる方も多いかと思います。

ですが、これらは何も矛盾していないのです。

 

そもそも1人当たり労働生産性とは国で生み出された富の合計であるGDPを、労働者の数で割ったものです。

その点我が国は一億2千万の人口を抱えながら、この20年GDPがほとんど伸びていません。

それどころか「日本の商品は高品質で低価格!」という信念のもと、労働者をひたすら懸命に低価格で働かせ続けで来た訳です。

 

それは労働への対価という意味では、むしろずっとGDPを押し下げる方向で頑張って来たといっても過言ではありません。

 

 

本来、国によるインフラ整備や経営側による設備/人的投資によって生産性を向上させなければならないのですが、サービス残業ブラック企業などといった形で生産性の向上を図らないという負担を労働者に転嫁してきたのです。

 

そうではなく、国民の実質所得を高めるためには生産性の向上、つまり同じ仕事量でもより多くの富を得ることができるようにすることで、経済発展を成し遂げていかなければならないのです。

 

 

そういう意味では今巷で騒がれている労働人口の減少は、実は経営側に本来の生産性向上を迫る絶好の機会でもあるのです。

 

 

ですが、この苦境を「移民受け入れ」によって凌いでしまっては何の意味もありません。

それどころか労働者は移民の安い賃金とHead to Headでぶつけられるため、実質賃金がますます低下することになりかねません。

 

確かに生産性向上のための投資が拡大しても、効果が出るまでにはしばらく時間がかかります。

また、抜本的にビジネスモデルに修正を加えることも、多大な労力がかかりますので、経営者達は二の足を踏むでしょう。

そこで日本の経営者の多くは、「それなら賃金の安い外国人労働者で何とか対応しよう」となるに決まっているわけです。

だって、その方が楽ですし、お金もかかりませんから。

 

経営者の観点から見ると、途上国から安い労働者を多数受け入れ、これまでの経営戦略を維持するのは、短期的には理にかなっているようにも見えます。実際、コンビニなど一部の業界では、すでにその方策が定着しています。

 

 

ですが、そもそも日本でのビジネスというのは、先人達が血の滲むような思いで築いてきた、道路や土地、建物などのハードインフラや、社会制度や教育、そして言語といったソフトインフラという基盤の上に成り立っているのです。

 

そして、私達消費者を含めた日本という市場そのものもまた、それらの上に成り立っているのです。

 

しかし、移民を雇い入れるということは、そのような基盤の上で得られた富を私達日本人に還元することなく、給与という所得の分配により他の国へ移転させていることに他なりません。

 

そのような所得移転に精を出しているようでは、生産性の向上は起こりません。

それでは本末転倒なのです。

 

今まで高品質低価格という誤った考えにより、生産性の向上のために必要な投資を行わなかった経営者に、

 

「資本主義の基本とは投資をして生産性を上げることである」

 

という事を改めて認知させ、そうするための政策を国を進めなければ日本国民の貧困化を止めることはできません。

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😊

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