世界を救う読書

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「実質GDPが成長!」を鵜呑みにするな。そもそも実質GDPとは計測できないのだ。

先日8月10日に4〜6月期の国民所得統計速報が発表され、実質GDP年率1.9%成長!というようなニュースが流れています。

 

 

ここで私が皆さんに知っておいて貰いたいことはただ一つ。

それは

 

実質GDPは計測できないという事実

 

です。

 

そのように言うと多くの人がこう思われるでしょう。

 

「は??? じゃあ、ニュースで言ってる実質GDPとは何なんだ?デタラメなのか?」

 

と。

 

もちろんデタラメではありません。

実質GDPとは

 

計測可能な"名目GDP(付加価値の金額の総計)"から、これまた計測可能なGDPデフレータの影響を排除することで"計算"した数値

GDPデフレータとは名目GDPから物価の影響を取り除くための数値

 

です。

 

そう、実質GDPとは計測ではなく計算結果なのです。

 

「計測」と「計算」という似たような表現ですが、内容が全然違います。

計測であれば数値を意図的に不正にいじらない限り現実を反映したものになります。

しかし、計算の場合、そもそもどのような計算式を採用するか?という根幹の部分に価値判断が入ってしまうので、場合によってはその結果を意図的に捻じ曲げることができるのです。

より分かりやすく言えば、

 

「自分の都合が良い結果を引っ張り出すために、自分に都合が良い結果を導き出せるような計算式を使うことが可能」

 

ということです。

 

例えば以前にはこんなことがありました。

 

今回同様、去年末に発表された国民所得統計速報10〜12月期では「実質GDPが年率0.5%成長」と報じられました。

 

が、しかし、その中身を見ると「名目GDPが0.0%」「GDPデフレータが−0.1%」。

つまり名目GDPは増えていないのだけど、物価水準が下がったため結果敵に「実質GDPはプラス成長」しただけ。

実質GDPがプラス!と言えば聞こえは良いのですが、単純に物価が下がっただけ、つまりデフレが深刻になっただけじゃん、という話なのです。

 

でも、残念ながら普通の国民はそこまで詳しく経済報告を吟味しません。

当たり前です。みんな普段の生活で忙しいんですから。

従って、メディアが「実質GDPがプラス成長!」と見出しで書いてしまえば、ほとんどの国民は「(自分は実感ないけど)国としては成長してるんだな。」と思ってしまうわけです。

 

 

ちなみに、今回の速報を読むと、実際に計測から見いだせる4〜6月の名目GDPは前期比・・・つまり1〜3月期に比べ0.4%アップとなっていて、プラスの傾向が強いような印象になっています(まぁ、所詮0.4%ですけどね・・・)

 

しかし、総務省が発表する家計調査報告では2014年4月の消費税増税後、ほとんどの月で家計の消費支出は前年の水準を下回っています。

最近では2月から6月まで5カ月連続で前年同月比マイナスです。4~6月期の平均では前年同期比、実質2・6%の減少です。

日本のGDPの6割を締めるのが個人消費がこの様では、実際には景気回復なんて程遠いでしょう。

 

 

 

本来、このような内閣府による大本営発表をメディアがしっかりと検証し、国民に伝えなければならないはずです。

それこそがメディアに求められる役割であるはずです。

 

しかし、残念なことに実際にはメディアにその力はなく、ただの政府広報機関と化しているのが実情です。

 

では、私達国民はどうすれば良いのか?

 

このような情報の表側に騙されないよう、一人ひとりが勉強するしかありません。

面倒臭い・・・面倒臭いですよね・・・。

ただでさえ仕事で忙しいのに、そんな暇あるか!という方もいらっしゃるでしょう。

 

しかし、残念ながらそれこそが民主主義なのですから仕方ありません。

私達一人ひとりが正しい知識を仕入れ、分析をし、判断をする。

そして、それを票に反映させる。

 

遠回りのようですが、国民一人ひとりのそういった努力こそが民主主義を成り立たせていくのです。

 

そのためにこのブログでは少しでも有益な情報と、みなさんが考えるきっかけになるような事を微力ながら発信して行きたいと思います。

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

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