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経営者たちに「働き方改革」をコストカットの言い訳にさせるな

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今日はとある事情で、とある企業の、とある社長にお話を伺う機会がありました。

↑「とある」が多いなww

別にインタビューとかじゃないですよ。単純に、ある技術者の人を探しているということだったので、その話を伺っただけです。

 

ただ、その時の社長さんが仰っていたことに、相当違和感を感じてしまいました。

曰く

 

「昨今働き方改革とかって言われてるように、うちも新しく人を雇うのが厳しい。

社員として雇うんじゃなくて、外部に発注できる技術者を何人か声かけておいて、仕事がある時にその人達に頼むという形にしようと思っている」

 

とのことでした。

 

えーっと、あのですね・・・。

 

それは働き方改革とは関係ねぇ!!!

働き方改革」を言い訳にした、ただのコストカットだ!!!

 

経営者とは企業に利潤をもたらすために仕事を行う訳ですが、それは自分の会社のモノやサービスの付加価値を向上させることによって行わなければなりません。そうしなければ、社会全体の経済が成長していかないからです(ここでは経済成長の是非は議論しません)。

それを単なるコストカットによって利潤を増やすことは、単純に社員の給料(人的投資)や設備投資を減らせば良いだけですので、馬鹿でもできるのです。

 

また、そもそも経営者と労働者は対等な立場ではありません。基本的には経営者側の立場が強くならざるを得ません。

それが不況になればなおさらです。

好景気であれば労働者にも他の会社に移るという選択肢が発生しますが、不況の場合は他に働く場所を探すのが難しいため、どうしても「他に働く場所もないし、多少給料が安くても仕方ない」と、より社員の立場が弱くなっていってしまいがちです(これからの日本はそういう意味では人手不足により事情が変わってくるはずですが、そんなにすぐには状況は変わらないでしょう)

 

下記はちょっと古い記事になりますが(2017年8月)、大和総研の試算によると、いわゆる「働き方改革」の一環である残業規制により8.5兆円もの国民所得が吹き飛ぶ可能性があるとのことです。

 

残業時間の上限が月平均で60時間に規制されると、残業代は最大で年8兆5000億円減少する―。大和総研は、政府が掲げる働き方改革で国民の所得が大きく減る可能性があるとの試算をまとめた。個人消費の逆風となりかねないだけに、賃金上昇につながる労働生産性の向上が不可欠となりそうだ。 

 

確かに残業代削減というコストカットによって、一時的に企業の利益は増えるかもしれません。しかし、それは残業を無くしても“それによる付加価値が減少しなければ”の話です。

実際にはそんなことはあり得ないでしょう。

残業をすることで生み出されていた付加価値分を何かしらの方法で補填しなくてはならなくなるはずです。本来であれば生産性の向上を促す、設備投資や人的投資(社員がより高度な技術を身に付けるための教育補助も含む)によって、中長期的な計画でそれを実施すべきです。

あるいは、もしかしたら「残業を減らせば、給料を上げる」などの方策によって、社員が仕事を行う効率性向上を促す・・・といった方法もあるかもしれません。

ですが、今までの、そして現状の日本の企業の在り方から考えると、

 

日本の真面目な社員にサービス残業を強いることで達成する

 

という可能性が一番高いと思われますが、いかがでしょうか。

 

冒頭の社長の馬鹿な一言もそうですが、日本の経営者や政治家、もしかしたら社員すらも「コストカットで利益を出す」という考え方が染み付きすぎているのです。

しかし、それは正しい資本主義の在り方ではありません(資本主義が正しいかどうかという議論はとりあえず置いておいて)。

 

資本主義とは、あくまで設備、人、環境などに資本を投じて生産性を高めることで、そこから得られる付加価値を向上させる(=生産性を向上させる)というシステムです。コストカットで一時的に利益を増大させたとしても、それを循環させていくことはできません。なぜなら、カットできるコストには限界があるからです(平たく言えば、社員が普通の生活を営むことができる給与よりもコストを下げることは不可能です)。

絶対にどこかで限界が訪れます。

つまり、コストカットによって利益を増大させるとは、本来経営者が立ち向かうべき生産性の向上による付加価値の増大という使命を労働者に転嫁、あるいは未来に先送りしているに過ぎないのです。

 

先送りと責任転嫁しかできないような者に経営に携わる資格はありません。

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆