世界を救う読書

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真の平等を希求する声に対する「恐れ」と「畏れ」

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突然ですが、皆さんこのような事を主張している人がいたら、どう思いますか?

 

「国民に一人でも不幸な人や貧乏な人がいてはいけない。そのような社会ができるまで徹底した改革を実行しろ。このような素晴らしい理想に反論するやつは死刑だ。」

 

理想としては素晴らしいと思いますが、さすがにここまで言われるとドン引きですよね・・・。ですが、実際にこれを主張し実行していた人がいます。

それはかの有名なフランス革命の時に主導的な役割をした人物の一人、サン・ジュスト

 

私もここまで理想主義だと空恐ろしいくらいの違和感を感じます。

ですが、昨日下記のYahooニュースを見た時に、ちょっとサン・ジュストの肩を持ちたくなる気持ちになりました。

 

 

記事によると東京に住む40代男性が家に帰宅した時に、 妻(36)、小学4年生の長女(10)、長男(5)、生後8か月の次女が死亡をしていたのを発見したとのこと。理由は経済的に追い込まれての無理心中だったようです。

 

人が自殺を選ぶ時、ましてや幼い子どもを道連れにしようとする時、その母親がどこまで追い詰められていたのかは想像を絶するものがあります。しかも、それが経済的に追い込まれてとは・・・。

自他ともに認める先進国であり、落ちたとは言えいまだに世界第三位の経済大国である日本でこのような痛ましい出来事が起こる現実。いかに政府や訳知り顔のエコノミストたちが

 

「日本経済は順調に推移している」

いざなぎ景気を超え、戦後二番目に長い景気拡大」

 

とか言ったところで、このような事件が起こるのが現実の日本の姿なのです。

 

もちろん、どのような時代であってもこのような事件が起こるのは事実です。この事件の全てが国の政策のせいだとか言うつもりはありません。しかし、実際にほとんどの国民が景気回復とやらを実感していないのは事実ではないでしょうか。 

 

サン・ジュストが冒頭の言葉を述べた時、すなわちフランス革命の前後とは社会格差の拡大と財政危機、そして自然災害による飢饉などがフランスを襲い、様々な社会問題が溢れていた時期でした。その中で犠牲になっていたのは常に末端の国民たちだったのです。

 

そのような社会状況と、Yahooニュースの事件を考え合わせた上で、もう一度サン・ジュストの言葉を見てみましょう。

 

「国家の中に一人でも不幸な人や貧しい人がいるのを放置しておいてならない。そういう人が一人もいなくなった時にだけ、初めて諸君は革命をなしとげ、本当の共和国を建設したことになるだろう。」

 

どうでしょうか?

サン・ジュストのような革命を起こすべきだなどとは、これっぽっちも思いません。実際、当時の革命家が実行した社会の変革、平等を実現するための監視社会、そして“反論するやつは粛清する”という恐怖政治は、フランス革命の後さまざまな問題を引き起こします。

ですが、この言葉に現れているような「貧困で誰かが命を落とすような社会はあってはならない」という強い信念は、今の私達にとっても考えさせられるものがあるのではないでしょうか。

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

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