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歴史はイギリスから動く!! “ブレグジット後”を着実に進めていく英国の凄み

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歴史はいつもイギリスから動く!!

m9(゚Д゚) ドーン

 

とか偉そうに名言っぽく言ってみましたが、私が言ったんじゃありません(笑)。

思想家というか政治・社会学者なのか分かりませんが、京都大学准教授である柴山桂太先生が仰っていました(ちょっと表現違うかもww)。

議会制民主主義、東インド会社第一次産業革命、金本位制度の確立などなど、世界の歴史が動く節目においては、必ずと言って良いほどイギリスから地殻変動が起こっていることを指して言っておられました(多分ww)。

 

正にその通りのことがブレグジットを決めたイギリスから発生しています。

 

国民投票によるブレグジット騒動以来、「イギリスは血迷った」みたいな批判を受け続けているイギリスですが、そのブレグジット後を見つめ着実に変化を始めているようです。

 

今までのイギリスは共通通貨ユーロこそ導入していませんでしたが(その判断はさすがというべきか)、法律や社会制度の整備などはEUの方針に従っていました。その中でもシェンゲン条約に基づく人の移動の自由化に関しては、その安い労働力の確保という意味でそこからかなりの社会的利益を得ていました。

まぁ、その利益が社会に広く分配されたわけではなく、ある特定のエリート層や会社に偏っていた一方、それによる不利益(移民による社会の不安定化や犯罪率の増加など)は一般国民にさせてしまっていたことがブレグジットのきっかけになったのですけどね。

 

その安い労働力に物を言わせて英国では生産性の向上のための投資があまり行われて来ませんでした。だって、人を安く買えるならわざわざ生産性向上のための設備投資をやる必要はないですからね。

しかし、その「人を安く買える」という土台を支えてきた「人(=労働力)の移動の自由」が、ブレグジットにより崩れてしまったため、やっとこさ設備投資へ社会が動き出した、ということです。

 

労働集約型から資本集約型へ

その一つが上記で引用した、ロボット技術の導入による自動化 → 生産性向上の流れです。

「労働者が不足し、賃金が上昇する中で、企業はますます自動化に投資し、労働力を資本(設備)に置き換えるようになっている」と、英国中央銀行のウィル・ホルマン、ティム・パイク両氏は7月、同行の経済リサーチ専門ブログで記している。

 (中略)

英国企業は、工場から食肉処理場、倉庫、スーパーマーケットでのセルフ精算レジ、ホテルの無人チェックインに至るまで、さまざまな場面でロボット化投資を進めている。

 (中略)

企業がこれまで以上に、生産拡大よりも労働集約的プロセスの自動化に向けた投資に力を注いでいることが、同調査で明らかになった。

 

 この記事に「“労働集約的”プロセス」という部分があります。(赤字部分です)。

労働集約的というのは、モノやサービスの生産工程において「人間の労働力に依存する割合が大きく、機械などに依存する割合が小さい」という意味です。これの逆は「資本集約的」で、「人間の労働力に依存する割合が小さく、機械などに依存する割合が大きい」ということです。

 

つまり

 

◯ 労働集約的

人の作業量 > 機械(=資本)の作業量

 

◯ 資本集約的

人の作業量 < 機械(=資本)の作業量

 

ということですね。

 

したがって、“生産拡大よりも労働集約的プロセスの自動化に向けた投資に力を注いでいる”というのは、生産量そのものを拡大するよりも、人の労働力の割合が高い生産工程をロボットなどの導入により自動化させること(資本集約的にすること)で、労働人口が少なくても同じ生産量を確保できるようにしているということになります。

 

資本集約型を簡単に言うと

すごい難しいことを言っているようですが、メチャクチャ簡単な話なんですよ。

例えば私は仕事で自社商品の撮影を行っています。

撮影スタジオは会社から遠い場所(車で1時間)にありますので、撮影のためには商品をスタジオまで移動させなくてはなりません。

仮にそこで私が“商品を手で持って歩いて移動させる”としましょう。車で一時間ですから、そんなことやっていたら10個、20個の商品を撮るのに何日かかることでしょう。気が遠くなります。

これが「労働集約的」です。

 

ですが、トラックを購入して20個の商品を一度に、一時間で運べるようにしたとしたらどうでしょうか?

「労働集約的」だった時に比べて、数十倍の速さで撮影することが可能になります。もちろん、それによって浮いた時間で別のサービスを行い収益を上げることが可能になります。この「トラック購入」が設備投資であり、「労働集約的から資本集約的」に移行することになります。

そして、明らかに資本集約的の場合の方が、圧倒的に生産性を上げることが可能になります。「撮影」というサービスの質も向上しますし、このWebショップ最強の世の中においては、より多くの写真を提供できることで収益も飛躍的に高まるでしょう。

 

何も難しいことはありませんよね。

ところがブレグジット前のイギリスは「トラック買うよりも、歩いて運ぶ人を雇った方が安い」という理由でトラックの購入を渋って、その分の過酷な労働を低賃金労働者に強いていた訳です。ブレグジット前はそれが成立していたのですが、ブレグジット後は安い労働力を買うことが難しくなったので、ようやくトラック購入という設備投資に踏み切ったわけです。

はっきり言って何も特別なことはありません。当たり前です。

 

負担を労働者に転嫁するよりも適切な投資をするべし

ですが、この当たり前のことを全くやっていない国があります。そう我が国、日本です。ようやく少しずつレジの自動化などの流れが起こって来ましたが、それはごく一部。基本的にはこの人手不足のご時世どこの会社も「人手不足を外国人労働者という安い労働力で補うしかない!」とやっているのです。

 

先に私が書いた撮影という仕事の例をみてください。

今日本がやっているのは「トラック買うより外国人を雇った方が安いから、じゃんじゃん外国人を日本に呼び寄せろ」ということと同じなのです。そして、その安い外国人の賃金に日本人労働者を合わせようとしているのです。

 

トラック買うより外国人雇った方が安い

外国人はトラックを買わなくても喜んで歩いて運ぶんだから、日本人労働者も働きたいなら外国人と同じ賃金で歩いて運べ

 

これなんですよ。日本企業がやっているのは。

皆さんどれだけ日本企業がアホなことやっているかわかりますよね?

「ってか、トラック買えよwww」って叫びたくなりませんか?

 

イギリスのブレグジット後の動きを見れば分かるように、世界の流れは既に変わったのです。イギリスの動きを見れば、今日本がやるべきことは何なのかがきっと分かるはずです。

何も難しいことではありません。

生産性を高めるために必要な設備投資をし人間の職能を上げるための投資を行う。上記の例で言えば、「トラックを買って、それを運転できるように労働者を訓練する」。

それだけの話なのです。

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

 

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