世界を救う読書

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数字は嘘をつかないが、数字に意味を持たせるのは人間の価値観である

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突然ですがみなさん、「飼い犬に手を噛まれる」という言葉をご存知でしょうか?

有名な言葉ではありますが、一応ことわざ辞典によりますと

 

飼い犬に手を噛まれるとは、日頃からかわいがり面倒をみてきた者からひどく裏切られたり、害を受けたりすること。

 

ということのようです。

 

とは言え、実際に飼い犬に手を噛まれるを噛まれることは滅多にないと思いますが、人間の社会ではよく起こるようですね。下記の記事によると日本銀行(飼い犬)が政府(飼い主)に噛み付いたようです。

 

飼い犬とか飼い主というと日銀を馬鹿にしているようですが、そういうつもりではありません。あくまで比喩です。

ただ、あまり知られていないのですが、

 

日本銀行とは株式会社であり、政府の子会社である

 

これは事実です。

 

日本銀行と言うと、日本銀行券いわゆる「日本円の紙幣」を発行していたり、政府方針に基づいて金利を操作したり、金融緩和をしたりと、日本経済に関わる影響力の大きさから一見政府の一機関のように見えますが、実は大株主が日本政府となっているれっきとした株式会社なのです。

当然、大株主である日本政府の子会社となります。そんな子会社である日銀が親会社である日本政府に噛み付いたということなのです。

 

「噛み付いた」というのは、具体的にはどういうことでしょうか。

実は日銀が内閣府が独自に集計、分析している経済統計のデータの信憑性を怪しんでおり、根拠となる元データを開示しろ!と内閣府に求めているのです。

 

記事中に

 

日銀の不信には一定の根拠がある。例えば厚生労働省が毎月まとめる賃金に関する統計。今年1月に統計手法を変えたところ前年同月比の伸び率が跳ね上がった。これには専門家から異議が噴出。統計委員会でも俎上(そじょう)に載り、この賃金データを基にまとめる内閣府の報酬統計も修正を迫られた。

 

という部分がありますが、これは日本の賃金統計に関して政府が実際に行った詐欺まがいの行いのことです。

 

政府は日本の賃金の実態調査のために行っている「毎月勤労統計調査」というものがあります。国勢調査のような5年に一度の調査とは違って毎月実施するものですので、日本全国の全事業所を調べることはできません。したがって、ある程度調査対象を絞って調査する訳ですが・・・。

何と今年の1月から前年までの対象の中から「給料が低い事業所」を外し、「給料が高い事業所」に入れ替えていたのです。

その上で、「現金給与所得がアップした!!! どや!!!」とやっていたのです。

 

例えばあれですよ。

私が勤める会社のような中小企業ばかりを対象に調査していたのに、急に今年から電通とかNTTとかトヨタとかといった超大企業を調査対象に変更したら、そりゃ平均給与上がるに決まってんだろwwwという話です。

 

しかも、その調査対象を変更したことを告知しているのならまだしも、その変更自体は黙っていた訳です。当然専門家の方々からクレームがついて大騒ぎになりました(あまりメディアは取り上げませんでしたが、安倍政権から目を付けられるのが怖かったのでしょうか)。
 

ここで私が言いたいのは、別に安倍政権を非難することそのものではありません。

いや、もちろんあってはならないことですので非難されて当たり前なのですが。

それは当然のこととした上で、結局

 

データは所詮ただの数字。

その数字をどのようにはじき出すか(どのような統計手法や計算方法を使うか)は、その人間や価値観や社会情勢に大きく左右される。

何よりその数字にどのような意味を持たせるかは人間であるということ。

そうであるならば、どれだけ「データ」を重視したところで結局人間や社会の価値観やによって左右されるのだから、その人間や社会に関する深い洞察がなくては適切な判断はできないということなのです。

 

よく「数字は誤魔化せない」などと言いますが、政府が実際に行ったような手法を使えば数字自体は誤魔化せなくとも、そこから引き出す結論はいくらでも誤魔化せるのです。

データは確かに大事です。しかし、それが全てではない。

結局、社会や人間に関する洞察がねじ曲がってしまえば、どんな精密なデータでも世の中をねじ曲がった方向に導いてしまう。そのことを今一度我々は肝に銘じなければならないのではないでしょうか。

 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

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