世界を救う読書

ビジネス書から文芸書までさまざまな本を通して世界の見方を考えるブログ

日本人全員に読んで欲しい。堤未果氏の本「日本が売られる」の内容が超絶ブラック過ぎる。

「どうも、僕です。」

 

このネタが分かる人は私と同世代ですね。多分(笑)。分かるかな〜〜?

 

この導入は昔テレビでやっていた「銭形金太郎」というバラエティー番組で、くりぃーむしちゅーの有田哲平がレポーターを務める時に使っていた"入り”です。

この番組は、くりぃむしちゅ~などのお笑い芸人がサポーターとして貧乏生活を送る人たちいわゆるビンボーさんの元へ出向き、生活や生き様を学んでいく生活応援バラエティー番組でした。

深夜番組らしい「ゴールデン」じゃ絶対やれない、ちょっと変わった人たちの恐ろしい貧乏生活をある意味面白おかしく紹介していたのですが、これが単なる「貧乏いじり」ではなかったのが好印象。ある種のリスペクトを持ってご紹介して、その貧乏さんたちの人生哲学みたいなものが伝わる番組でした。

まぁ、ゴールデンにありがちな「人気が出る > ゴールデンに移動 > つまらなくなって終了」というパターンで、終わった時はちょっと残念でしたね。

 

それはさておき。

そんなある意味「普通の人とはちょっと別世界だった」貧乏生活を多くの人が経験しなくてはならないかもしれない、という恐ろしさを感じさせる本の紹介です。

 

それがこれ↓ 堤未果(つつみ みか)氏の「日本が売られる」です。

日本が売られる (幻冬舎新書)

日本が売られる (幻冬舎新書)

 

 

安倍内閣が進める移民政策はもとより、医療福祉、学校教育、などなど様々な分野で日本の共有財産が"民営化"の名の下、次々と外資中国企業に売りつけられている実態が詳細に書かれています。

正直どれも内容が凄すぎて、いつもの本の紹介のように「この本のポイントはここです」みたいな紹介の仕方ができません(笑)。いや、笑い事じゃないんですけどね・・・。

 

中でも私が衝撃的だったのをピックアップすると

 

1) 消費税増税が避けられない! と言われる理由の一つが「医療費40兆円」です。これは一般的に高齢化社会による医療費増が原因と言われていますが、何とこれが実は1980年代に中曽根首相(当時)とレーガン大統領(当時)の間でかわされた「MOSS協議」というものなのだそうです。

この協議によって日本は医療機器と医薬品の承認をアメリカから得なければ、製造販売できなくなりました。それまでは世界トップクラスだった日本の製薬会社や医療機器メーカーが一気に凋落。今ではアメリカ製の医療機器と新薬を他国の3〜4倍の値段で購入しなくてはならなくなった。その御蔭で日本の医療費は莫大な金額に膨れ上がったという訳です。

 

2) 今年の通常国会でも大騒ぎになった「高度プロフェッショナル制度」。既に成立してしまいましたが、これもまた恐ろしい。

一般の報道では「年収1075万円以上の専門分野」ということになっていますが、なんとこの法律自体にはどこにも「年収1075万円」という数字は出てこないそうです。具体的な金額は国会を通さずに厚生労働省が独自に設定できる。

 しかも基準となる給与は「見込み」でOKなので、仮に1000万円で契約した後に仕事が多すぎて終わらせられず給料が半額になったとしても、高プロの対象のため残業代は支払われない。

 

3) 最近話題になることが多い水道事業の民営化。コンセッション方式という所有は自治体のままで水道事業の運営だけを民間に委ねる方式が注目されていますが、その決断も地方議会の判断を経ることなく、首長の独断で決定できるように法律を変更。

その上、電気やガスの場合は法律により安定供給の責任が事業者に課せられるが、水道にはそのような法律が存在しない。したがって運営は民間企業がやっても責任は自治体がとることになる。運営や管理から切り離され、水道料金も手に入らない自治体がどのようにして安定供給の責任を取るというのでしょうか?

しかも、水道料金には設備費用だけでなく、株主や役員への報酬、法人税内部留保などの全てを合法的に上乗せすることが可能。誰とは言いませんが、今話題沸騰の某自動車会社の会長に支払われる役員報酬を上げるために、私達の水道料金が値上がりすることになるのです。

 

という感じでしょうか。

もうなんか書いているだけでも恐ろしくなってきますし、このような国民の人生を左右するようなことを国民に知らせず、平然とやってのける人たちに怒りを感じざるを得ません。

 

堤未果さんと言うと「貧困大国アメリカ」などで、徹底した現地取材を元にした詳細なルポが持ち味です。ただ、私は個人的に堤さんの今までの本は「すごく面白いことを書いているんだけど、説明が長すぎてポイントと筋道が分かりづらく、読んでいて疲れる」という印象を持っていました。すみませんね・・・。

でも、今回の本は取り扱う分野が広すぎるせいもあってか、ひとつずつのトピックは比較的短くコンパクトにまとめられています。それでも充分書いてある情報は深いです。

別に全てに目を通す必要はないでしょうし、ここに書いてある全ての出来事を「日本人として知っておかないと!」とまで言うつもりはありません。

 

ただ、書かれている分野が非常に多岐にわたるので、誰が読んでもこの"日本が売られる"という状況が大げさな比喩でも何でもなく、本当に「自分たちや子どもたちに密接に関係している事実なんだ」ということがリアリティを持って感じとってもらえると思います。

 

私はあまり詳しくありませんが、堤さんの主義主張に関してはちょっと違和感を感じる方々もいらっしゃるようです。しかし、彼女の主義主張は横においておいて、その詳細な取材に基づいた分析は確かなものだと思います。

全員に買えとは言いません。本屋で見かけたら数ページ立ち読みするだけでも良いです。ただ、このような事実があるということを多くの人に知ってもらいたいという思いで、今日の投稿を書きました。

 

是非手に取っててお読みくださいm(_ _)m

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

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