世界を救う読書

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NHKドラマ「まんぷく」で描かれる「国民の食を守る」という気概は既に失われた

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私はあまり普段テレビを観ないので当然CMもあまり観ません。
ですが、その中でも私の好きなCMを出してくるメーカーのCMは時々観ます。何ならYoutubeで探して観ますww
そのようなメーカーの一つが日清食品です。特にカップヌードルのCMが好きなんですよね。良い意味でぶっ飛んでるというか、「カップヌードル関係ないじゃんww」って思うんだけど純粋に楽しめて心に残る、みたいな感じです。
 
その日清食品創始者である安藤 百福(あんどう ももふく)とその妻・仁子(まさこ)の半生を描いたドラマが現在放送されています。他でもない、NHK連続テレビ小説まんぷく」です。
あくまで創始者夫妻をモデルにしたドラマですので、二人の名前は立花萬平(たちばな まんぺい)と福子という名前に変更されています。
 
一週間分のダイジェストしかほとんど観ないので、詳しくは追っかけられていないのですが(笑)、今週萬平と福子にめでたく子が生まれました。毎日観ている訳ではありませんし、妊娠してから出産までが現実世界で二週間くらいでしたので、あれ?もう生まれたの?という感じでしたが・・・・。
 
このまんぷくが描いている時代は第二次世界大戦の直後。
食料もまだ充分に行き届かないような状況でしたので、子供を産むとそれによる栄養失調で母親が体調を崩してしまうことが良くあったようです。
昔は「鳥目(とりめ)」とか言っていましたが、主人公の妻・福子も栄養不足で夜中に目が見辛くなるほど栄養失調に陥っていました。夜盲症(やもうしょう)と言っていたようですが、最悪の場合は本当に失明してしまうこともあったようで、本当に大変な時代だったのだなと感じてしまいます。
 
そのような時代だからこそ、主人公・萬平は多くの人の栄養不足を解消するために、日本で誰も作ったことのない「健康食品」を作ることになる・・・・というのが来週からの展開のようです。
 

萬平の思いを形にしたような法律

多分今回のドラマには出てこないでしょうが(多分じゃないな。絶対出ないなww)、そんな萬平の思いを反映するかのような法律が1952年に成立します。「主要農作物種子法」・・・通称「種子法」です。
これは正に戦後の食糧難を経験した先人たちが、このような食糧難を二度と起こさせないために「コメ、麦、大豆」の三大主要作物がどんな時にも安定供給されることを整備するために成立しました。
 
具体的に言うと、その主要作物の元となる種子の生産と管理は非常に手間がかかるので、なかなか一般の農家レベルでは管理し続けることができません。また、普通に農協などで維持管理したとしても、通常の手間賃を乗せてしまうととても高価になってしまうため、農家もしくは消費者である国民に負担を強いることになってしまいます。
 
そこで、その種子の開発と管理維持にかかる予算を都道府県が負担するように定めたのが、この種子法という法律なのです。
 この種子法によって日本の種子は農業協同組合から「公共種子」として安く販売され、農家も安く購入でき、私達もコメを安く購入することができる、という訳です。
 

そもそも農作物はどんな種子を使おうがどんな土地でも育つというものではありません。当然その土地や水に合った種子というのがある訳です。
ですから、各都道府県にその地域に合った物を奨励しなさいという、ごくごく当たり前の法律です。そして、国民の食生活を守るためのものですから、そのために補助金をつけましょう、ということも何も不思議ではありません。

 

ところが、実はこの私達の食生活を守るための種子法が来月4月廃止することが決まっています。
 

種子法が廃止された後どうなるか

これにより農家は安い公共種子を買うことができなくなりますので、その分高価な民間企業が生産した種子を買うしかありません。当然その価格上昇分は私達国民が負担することになります。
 

そうするとより安い種子を求める動きが出て来るのは避けられないでしょう。

そこで出て来るのが、海外のいわゆる穀物メジャーが提供する遺伝子組み換え種子です。遺伝子組み換え種子に拒否反応を示す人達であっても、日々の家計を直撃する話になれば「安全だけどこんな高い物買えないから仕方ないか・・・」と徐々に遺伝子組み換え食品が当たり前になっていく。

そんな未来がすぐそこまで迫っているのです。
 

種子法の廃止により国民の健康より民間企業に儲けを優先

なぜそんな事態になったのか?
それはそのような「安い種子」が出回っていては、民間企業が農業ビジネスに入り込めないからです。
 
 その民間企業のビジネスを推し進めるのが、パソ◯グループの会長である竹◯氏や楽◯の代表である三木◯が「民間議員」として列席している規制改革推進会議。彼らはその提言の中で、種子法によって農協が農家に"高く"売っていることが問題であり、民間活力を導入することでより安く農家に種子などの農業生産に必要な資材を提供できる。だから民間企業が入りやすいように種子法を廃止するべきだと主張しています。
 
ん?
んんんん?
何かおかしくないですか?
農協が「安く売りすぎているから不当だ」というならまだしも、「高く売りすぎているから不当だ」というのは変ではないでしょうか?
だって、それなら農家は別に農協から買わなければ良いだけの話です。実際には、三井グループの企業が作っている種子があり、積極的に販売攻勢を掛けているようですが、これの値段が農協から販売されている種子の3〜4倍の値段がするので、全然売れないそうです。
 
そうなんです。
「高すぎて農家に負担を掛けている」あるいは「消費者に価格転嫁されている」などという事実はどこにもないのです。事実は全く逆で農家が市場価格よりも種子を安く入手できている状況なのです。
では、農家にとっても一般消費者にとってもWinWinなこの状況の何が問題なのか? それが、先程書いたように安すぎて民間企業が参入できないから」という問題です。
もちろんここは
 
「 いやいやいや、全然問題じゃねーだろwwww」
 
と速攻でツッコミを入れるところです。
ところがこのツッコミを国会で誰も入れられなかったのです(あるいは入れたけど無視されて法案を通された)。結果、種子法は廃止。日本国民はめでたく高いコメを買わされる道が開かれた訳ですね。どうですか! これがメディアの好きな「民間活力の活用」ですよ!!
 

アメリカのグローバル企業に日本の食は支配される

ちなみに、これで儲かる民間企業とはどこでしょうか。
それはもちろん
 
モンサント=バイエル
ダウ・デュポン
 
といったアグロバイオメジャー企業です。みんなの大好きな「グローバル企業」ですね(笑)。
 
彼らは強力な農薬を使った徹底的なコストカットによって素晴らしい価格で世界中に種子を販売。その種子は強力な農薬にも全く影響を受けないように遺伝子操作された強靭な人工種子です。この種子とこの種子を守るための農薬をセット販売することで、莫大な利益を上げています。
しかも、その種子は雄性不稔(ゆうせいふねん)といわれる品種改良(改悪?)がなされており、花粉が作られないため受粉することができません。つまり、一度実をつけたらそれっきり。次の収穫の際にはもう一度そのグローバル企業から種子と農薬を買わなければなりません。これをF1品種と言います。
なお、この農薬も最初はよく効くのですが、年々雑草の方に耐性がついていくため徐々にさらに強力で多くの種類の農薬を使わなければならなくなります。一旦F1を使い始めると一生逃れることができない、という素晴らしい収益システムになっている訳です。
 

中国ではすでに雄性不稔のF1種が、イネ全面積の60%。アメリカも、すでに30%近くです。それに対し、日本は1%弱。まだ大丈夫ですね・・・・まだね。


しかし、種子法が既に廃止された以上、中国やアメリカの二の舞になるのは避けられません。種子法を復活させる、あるいはそれに相当する法律を新たに成立させない限り、日本の農家は雄性不稔F1(しかも遺伝子組み換え)の種子を、毎年外国企業から購入せざるを得なくなります。そして、私達国民もまたそのF1種によって作られたコメを食べざるを得なくなるのです。

 
そのような未来を避けるために私達にできることは、まずは実態を知ることです。
「種子法」でググればいろんな情報が出てきます。兎にも角にも実態を知り、私達がどうするべきか? 何ができるのか?を考える。そこから全てが始まるのです。
 
今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆
 
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