世界を救う読書

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このままでは日本はあと5年以内にノーベル賞を獲れなくなる

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皆さん既にご存知の通り京都大特別教授の本庶佑(ほんじょたすく)さん(76)がノーベル医学生理学賞を受賞しましたね!

 


いやー、めでたいですね!めでたい!

(↑本庶教授の研究ががん治療に具体的にどれほどの役に立つのか分かってませんけどね!(笑))


特に2000年代に入ってからのここ数年は、立て続けに科学方面の分野で日本人が受賞しているので、何か感覚が麻痺して

 

「え?また獲ったの?」

ノーベル賞って毎年日本にくれることになってるやつだよね」

 

とか"ノーベル賞バラまき"みたいなイメージすらあるかもしれません。
もちろん、そんなことはない訳です(笑)。
それどころか、これから先…5年先とか10年先というスパンで見ると日本人はノーベル賞を受賞することができなくなるのではないかという可能性が非常に高くなっています。

 

日本の科学技術が急激に弱まっていると政府が公式に発表

今年の6月に政府が閣議決定した今年度の科学技術白書の内容は「日本の科学技術は力が急激に弱まった」という恐るべき内容でした。
それによると、日本の論文数は2004年の6万8000件をピークに2015年は6万4000件に減少。主要国で減少しているのは日本だけ。その一方で中国は約5倍に増えて24万7000件に、アメリカも23%増の27万2000件に増加しています。


そして日本で作られた論文が引用される数、つまり引用数は、2003-2005年の4601から2013-2015年は4242となり、順位も4位から9位に後退。一位は当然アメリカですが、なんと二位には中国がランクインしています。
つまり、日本よりも中国で作られた論文の方が引用する価値が高くなっているということであり、その分日本の研究の影響力が世界で低迷しているということです。

 

日本の科学技術予算は主要国最低レベル


それもそのはず、なんと科学技術関係予算の伸び率を見ると、2000年をベースにして考えると


日本は2018年度で1.1倍
米国は2017年度で1.8倍
韓国は2016年度で5.1倍
中国は2016年度で13.5倍


と伸びが顕著となっているのです。
日本が1.1倍にしか増えていないにも関わらず、韓国でさえ5.1倍、中国に至っては2016年でも13.5倍ですので、この差はもっと開いているでしょう。

 


これだけ諸外国と予算に開きがあれば、「日本の科学技術は力が急激に弱まった」のも当たり前です。そのような状況で日本人がこれだけノーベル賞を受賞できているのはいるのは奇跡!
…ではありません。単純にノーベル賞を受賞しているような重鎮の研究者たちが若い頃に研究に没頭できる環境があり、しっかり予算もつけられた上で必死に努力をされたからです。


以前の投稿にも書いたのですが、今の大学ではとにかく研究以外の雑務が多すぎて、研究に割く時間が取れないことが大きな問題になっています。

というのは、「国から配分される予算に競争原理が持ち込まれている」ことにより、その予算獲得のために、行政側にプレゼン資料を作らなければならないというような、無駄な実務仕事が増えているのです。
実際、大学等教員の職務活動のうち研究が占める割合は、2002年の46.5%から2013年には35.0%に減少。これも5年前の数値ですから、今はもっと下がっているでしょう。 

 

  
予算を増やさず、研究時間も減らしておきながら「成果を出せ」と言ってもそりゃ無茶でしょう。あと5年くらいはまだ何とか持ち堪えられるかもしれません。しかし本庶教授のような重鎮が引退した後には、もう日本は二度とノーベル賞が取れないような科学後進国に落ちぶれているでしょう。
当然そのような国では若い研究者も育ちませんし、科学の道を志ざす子供も出てこないでしょう。出てきたとしても「これからは研究しようと思ったら中国だね!日本語より中国語を勉強しよう!」と満面の笑みで未来を語るかもしれません。


そのような未来を避けるためにはどうすれば良いか?
まずは予算。予算です。それも単発では駄目です。しっかりと長期的な研究計画を立てられる予算。そして研究をするための施設と、何より研究者を育てられるのに十分な予算をつけることです。今のように若手の研究者を短期雇用でしか雇えず、将来不安を抱えさせたまま日々の生活に四苦八苦させるような環境は間違っています。


そして、私達にできることは、そのような予算をつけるだけの十分な経済力がこの国にはあるのだということ再認識することです。もっと簡単に言えば「日本は財政破綻する!」などという根も葉もない嘘っぱちに騙されないことです。

国民の一人でも多くがそれを理解することが遠回りですが、確実に日本をまともな国に戻していく力になると私は思います。

財政破綻論の「嘘っぱちさ」については何度かこのブログでも取り上げていますので、ここでは割愛します。よろしければ下記の投稿もご参照ください。

 

今回も長文を最後までお読み頂き有難うございました😆

 

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