DA PUMPの“U.S.A.”を観て思う〜U.S.A.がウケる社会心理〜
たまにはちょっと肩の力を抜いたような話も良いかと思いまして、今日はこちらを取り上げたいと思います。
そう。皆さんご存知、巷を賑わせているDA PUMPの名曲「U.S.A.」です(笑)。
これを最初に聴いた時の私の印象は
「く、くだらね〜〜〜!!」
でした(笑)。
でも・・・です。
ちゃんと聴くとこの印象が360度・・・じゃない180度変わりました(笑)。
「なんだ。ISSA (DA PUMPのボーカル)って凄いじゃん。口だけじゃないんだ。」
と。
正直私は日本のダンスミュージックというのがあまり好きではありません。
これは自分が音楽をやっているからだと思いますが、日本のダンスミュージック界は音楽の表層だけをなぞった、ただチャラチャラしただけの人が多すぎです。
テクニックはあるけど哲学が全くない。
本当にダンスミュージックをやる価値のある凄い人は多分1%もいないと思います。
そういう意味で私はISSAを完全に舐めてました。
ぶっちゃけた話、私はISSAのことをただの
“しくじり先生芸人”
だと思っていましたので(笑)。
ですが、この曲を聴いてその評価は完全に逆転しました。
まず音楽的な側面ですが、これだけの声量とハイトーンボイスをキープしながら、あれだけキレのあるダンス・・・しかも簡単に見えて案外難しいダンスを繰り広げられるのは並大抵ではありません。
これだけのパフォーマンスができる人が日本に何人いるのか・・・。
純粋に「凄ぇやつだ」と思います。
そして、この曲を聴いて感じたもう一つのことは、これを「面白い。(ダサ)格好良い。」と思える"懐の深さ"が、まだ日本にはあるという事を実感させてくれたことです。
「U.S.A.」というタイトルも秀逸だと思うのですが、歌詞がまた面白い。
一部抜粋すると
C'mon, baby アメリカ
ニューウェーブ寄せる ウェストコースト
C'mon, baby アメリカ
どっちかの夜は昼間
C'mon, baby アメリカ
ユナイテッドする 朝焼け
まぁ、下らないですね。ダサイですし(笑)。
ただ、私はこのアメリカとの距離感というか“アメリカ文化に対する無邪気な憧れ”との距離の保ち方が絶妙だと思うのです。
そして、これが“ウケる”ということは、我々の間にもそれを受け入れる下地が充分ある、ということではないかと思うのです。
言い換えるなら、この歌詞と曲が世間に受け入れられるのは、日本人の中に「日本という国にちゃんと軸足を置いて、アメリカ文化との適切な距離感を保とうとする価値観」が深層心理にあるからではないかと思うのです。
もっと噛み砕いて言うと、
もし、今の日本がアメリカ文化にどっぷり心酔しているのなら、このようなDA PUMPの「アメリカに憧れを抱く人を小馬鹿にしたような表現」は反感を買ってしまうでしょう。
逆に、本当にアメリカ文化に嫌気が差しているのであれば、この曲はもっと苛烈なアメリカ批判の表現になるはずですので、この場合も反感を買ってしまいます。
ベクトルがどちらであっても、本当にアメリカ文化に捕われてしまっていれば、このような表現は必ず叩かれます。
しかし、実際には「ダサ格好良い!」といってウケているわけです。
この“ウケる”・・・すなわち“楽しく、好意的に受け入れる”姿勢というのは、私は本当に大事だと思っています。
何かに真剣に取り組むことは本当に大事です。
しかし、あまりそれにとらわれてしまうと周りが見えなくなり、世界が狭くなってしまいます。
ですが、ここに“楽しむ”あるいは“笑い”という要素が入ることで、真剣な取り組みの中にあっても必要以上にとらわれ過ぎず、物事を相対的に見つめる視点というのを保ち続けることができるのです。
現在の日本は法制度や経済制度などの社会システムがかなりアメリカナイズされています。
もちろんアメリカ式が全て悪いなどという意味ではありませんが、アメリカに適しているからと言って日本に適しているとは限りません。
それにも関わらずアメリカの文化やシステムを無批判に受け入れようとする現在の風潮を思うと、「この国は大丈夫か・・・」と暗い気持ちになることがよくあります。
しかし、この曲が“ウケている”のであれば、少なくとも日本の世間には、まだまだアメリカに対する無邪気な憧れを笑い飛ばせる文化的な器量が残っていると期待しても良いのではないか。
そんな事をこの「U.S.A.」で感じたのでした。
という訳で締めの言葉。
ISSA、舐めててごめん!!
そして「U.S.A.」最高だZEEEEEE!!!!!
今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆