日本の財政破綻があり得ない本当の理由
日本がデフレ不況から一向に抜け出せない最大の原因である、「日本は財政破綻する」論が全く嘘っぱちであることが、少しずつ世の中で浸透しはじめました。
「お金がない。財政破綻する」という妄想に基づいて緊縮財政
↓
必要な政策が打てない
↓
デフレ悪化
↓
財政破綻するという妄想がさらに強化
という実に馬鹿馬鹿しいループ。
自分で首を締めていながら「首を締めているのは誰だ?」と叫ぶ喜劇。
それから逃れるためには良い傾向だと思います。
ですが、時々というか、よく日本が財政破綻す?わけがない理由を
「国の借金以上に民間に金融資産があるから」
と説明する人がいらっしゃいます。
「財政破綻する!」という妄想よりは遥かにマシなのですが、うーん惜しい!残念!
これは分かりやすい理由ではあるのですが、この理由を元に日本は財政破綻しないと考えると、それはそれでやはりマズイことが起こるのです。
そこで今回は、まずこの理由で「日本が財政破綻しない」と考えると何がマズイのか。
そして、日本が財政破綻しない本当の理由について考えてみたいと思います。
まず、なぜ「民間の金融資産が多いから日本は財政破綻しない」と考えるとマズイのか。
なぜなら結局それは「今は民間資産が多いから大丈夫だけど、将来的に民間の金融資産が減ったら日本は破綻する!」ということになってしまうからです。
今は大丈夫だけど、やっぱりいつ破綻するか分からないじゃないか!という話にはなってしまうのです。
実際、そういう理屈で「日本が財政破綻しないと言っている奴は嘘つきだ!」と主張する人達がいます。
ですから、「日本が財政破綻するなどあり得ない」という結論は正しくても、その論拠が間違っているとややこしいことになるのです。
では、日本が財政破綻しない理由とは何なのでしょうか?
一つは日本の借金…つまり国債が日本円で発行されているからです。
歴史上、何らかの政治的意図で支払い拒否をした場合以外で、自国通貨で国債をまかなっている国が破綻した例はありません。
自国で発行できる「自国通貨立ての国債」で国家が破綻することはあり得ません。
実はここまでの事は「民間金融資産が多いから破綻しない」と言っている人の中でも主張する人は多いです。
では、彼らはどこから間違えているのか?
それは「お金に対する根本的な理解がそもそも間違えている」のです。
そもそも彼らがなぜ民間の金融資産が多いから財政破綻しないと主張するのかと言えば、
「民間金融機関が所有している資産を政府に貸しているから」
と考えているからです。
分かりやすく言うと、貸す方(銀行や保険会社)の資金が借りる方(日本政府)の借金の金額より多いからということ。
つまり、仮に日本政府が返せなくなっても、金融機関がそれ以上の金額の資産を持っているから破綻することがない、ということです。
一見もっともらしいのですが、ここにお金に対する根本的な誤解があります。
一般的に、銀行というのは「国民や企業の預金を元手に貸し付けを行うことでお金を稼いでいる」と思われがちなのですが、実はこれは誤解です。
実を言うと、銀行がお金を貸しつける時には、単に貸しつける相手の口座に一億円とか、十億円とかって書き込むだけなのです。
それによって実際に貸付相手の口座には「一億円」とか「十億円」という金額が記帳されます。
これはどういう事を意味するかというと
銀行は預金を元手にお金を貸し付けているのではない。
逆に銀行が貸し付けを行うと預金が生まれる
ということです。
そうなると元手となる銀行の資金量は、貸し付けることができる金額の制約にはならないということになります。
では、貸し付けられる金額の制限はないのでしょうか?
いくらでも銀行は貸し付けられるのでしょうか?
そうではありません。
“貸し付ける相手が返済をできる限り”いくらでも貸し付けが可能なのです。
つまり貸し付ける相手の資金力が、貸し付ける金額の制限となる訳です。
では、日本の財政を考えるために、これを
・お金を貸し付ける銀行=日本銀行 (政府は民間銀行の口座を持っていませんので、日銀経由でしかお金は借りられません)
・お金を借りる人=日本政府
と置き換えてみるとどうなるか?
先程も書いたように「借りる側の資金力」が問題なのです。
では、日本政府の資金力とはどうなのでしょうか?
ご存知の通り日本政府には日本円を発効する権限、すなわち「通貨発行権」があります。
そうです。
お金を貸し付けるに当り日本銀行の資金力は関係ない。
さらに一方で、日本政府に通貨発行権がある以上、貸し付け上限になる“借り手の資金力”も制限がありません。
貸す方にも、借りる方にも、制限がない。
だから、日本が財政破綻することなどあり得ない。
これが日本が財政破綻しない理由です。
ちなみに、これは別に私が思いついた話でも何でもありません。
実は、近代的な通貨システムが誕生した時の歴史的事実が、実際にそのようになっているのです。
ウルリケ・ヘルマンというドイツの経済ジャーナリストによる著書「資本の世界史」に詳しいので、機会があれば読んで頂けると良いのですが、元々近代貨幣が誕生したのは1694年にイギリスでイングランドが創設された時のことです。
当時イギリスはフランスとの度重なる戦争で多大な戦費の調達が必要でした。
そこで、イングランド銀行が120万ポンドを8%の利子で政府に貸し出したのです。その代わりに、その資本金の範囲内で銀行券を発効する権限を議会から取り付けました。
「イングランド王が120万ポンド+利子を必ず支払う」という、いわば架空の約束によって、その銀行券はたちまち証券として流通するようになりました。
その際に「実際に王が払うかどうか」は関係ありませんでした。
「王が払うと言っていると皆が信じている」ということが重要だったのです。
実際、その銀行券が税金の支払いにも使用することが可能になったため、正に「通貨」として通用するようになったのです。
つまり、何もなかったところにイングランド銀行が「王が支払う」という約束の元に資金を貸し付けた。
その貸し付け証明書として「イングランド銀行券」というお金が誕生したのです。
「そんな狐につままれたような話が信じられるか」と思われるかもしれませんが、歴史的事実がそうなんですからどうしようもありません。
正に「事実は小説より奇なり」なのです。
今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆