世界を救う読書

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消費増税という絶望の選択。増税を促したのは誰か?

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「絶望とは愚者の結論である」
 
これは19世紀のイギリスの政治家ベンジャミン・ディズレーリの言葉です。
歴史に残る明言の一つ。
 
・・・ですが、そうは言ってもここまで愚かな選択をされると絶望したくもなりますぜ!ディズレーリの旦那よーー! (ジョジ◯の奇妙な冒険のスピードワゴン風)
 
何のことかと言われれば、言わずもがな、一昨日安倍首相が表明した消費税の10%への引き上げです。
 
麻生副総理や黒田日銀総裁
 
「5% > 8%の増税の時ほどの影響はない! ( ・`ω・´)キリッ」
 
とか世迷言を言っているようですが、正に寝言は寝てから言え! です。
 
本当に影響がないと思っているのだったら、クレジットカードで買ったら2%分ポイントつけるとか、軽減税率を導入するとかいった“対策”を打つ必要はないはずです。「そのような対策をしなければ景気に(あるいは選挙に)多大な影響が出る」と分かっているから、そのような対策を講じるのです。
 
もう一度言いましょう。
 
寝言は寝てから言え! (# ゚Д゚) ムッカー
 
・・・・という怒りで満ちている私ですが、その一方で考えなければならないことが2つあることも分かっています。
 
一つはもはや首相が表明してしまった以上、この決定を覆すのはほぼ不可能です。であれば、この増税によるインパクトを是正するために何をなすべきかを考えること。
 
そしてもう一つ。
それはこのような愚かな選択をなぜしてしまったのか。その構造をもう一度考えることです。もちろんそれはさらなる愚策を講じないために、です。
 
※最初に書いておきますが、私は安倍政権や自民党を擁護するつもりはこれっぽっちも、微塵もありませんので、その点はご理解の上ご覧ください。
 
誤解を恐れずに言いますが、私は安倍政権への批判だけしていても仕方がないと思っています。勿論、政権を担当している訳ですから、その方針が間違っていれば批判すること自体は構わないのです。
ですが、私は安倍政権を批判し続ければ問題が解決するとも思えません(特に経済政策において)。
 

野党の時は反対し、政権につくと賛成する。それが消費税

思い出して頂きたいのですが、自民党が野党で民主党が与党だった時、安倍総裁や麻生氏は消費増税に反対していました。逆に当時与党だった民主党の方が消費増税を進めようとしていたのです。
その後、消費増税に反対する姿勢を示した自民党民主党を破り、再び与党に返り咲きました。しかし、その期待を裏切り自民党政権は2014年4月に8%への増税を実施しました。
さらに言うと、そもそも民主党が与党になる前も「消費増税反対」を旗印に選挙を戦い、政権の座についたのです。
 
つまり、消費税の増税とは実は安倍政権がどうとか、民主党政権がどうとか、というよりも
 
野党になると反対し、与党になると賛成する
 
という構造なのです。
 
私が安倍政権の批判“だけ”をしていても仕方がないと思っているのは正にここです。
この構造そのものが問題な訳で、そこに乗っかっただけの安倍政権を批判し、仮に選挙で大敗させたとしても根本的な解決にはならない。私はそう思っています。
※繰り返しますが、私は安倍政権を批判するなとか言ってませんよ。実際に引き上げを判断したのは安倍政権ですからね。その責任は充分にある。
 

組織において絶対的権力を持つのは予算を握る者

では、この構造を生み出しているものは何か?
それは他でもない財務省です。
どの組織でもそうですが予算を握る者が全てを握ります。
ましてや財務省は日本の中でも有数の(学歴上の)エリートが揃う巨大な組織です。そんじょそこらの政治家がちょっと経済の勉強をしたからと言って、理論で彼らをねじ伏せることはできないでしょう。
 
しかし、実は財務省の官僚のほとんどは法学部出身で経済の勉強などほとんどしたことがない“経済には素人”たちなのです。経済は何も勉強していないけどいわゆる“勉強”だけはできる素人たちが、現在の経済学において主流派と呼ばれる新古典派の学者から入れ知恵された知識で考え出しているのがほとんどの経済政策なのです。
もちろん、主流派による経済学が正しいのであれば何も問題はありません。ですが、彼らの経済政策とは「人間とは理性的な生き物であり、正しい情報が共有されればみんな正しい道を進む。だから、みんな自由に競争できる世の中にすれば経済は自動的に発展するのだ」という子供のように自由を信奉する(経済学史的には)特殊な学派なのです。
 
そんな人達に入れ知恵をされているものですから、財務省が打ち出す経済政策というのは、どれほど難しい言葉で表現されていたとしても、現実に国民が生きる社会を何も知らない学生が空想で考えた「正しいお金のつかい方」程度の机上の空論でしかないわけです。
 
本来であれば、現実社会を知らない官僚達の机上の理論の空虚さを政治家が吹き飛ばすべきなのですが、「世間の生きる知恵」よりも「学校で学んだ理論」に理解を示す“良い子ちゃん政治家”がはびこってしまったために、財務省の官僚達にやり込められてしまっているのが現状なのです。
そして、何より国民の多くがそのような財務省の“現実離れした机上の理論”を「偉い人たちが言ってるんだからそうなんだろう」と無批判に受け入れてしまっていることが、政治家から現実社会に根差したまともな判断能力を薄れさせてしまっているのです。
 
(どのような政党であろうが)与党が財務省の現実離れした机上の空論に“教育”され、財務省の望む通りの経済運営を行うという構造が存在し続ける限り、今回の消費増税のような愚策は何度でも繰り返される。
まずはそのことを認識することが、私達が自分たちの生活に関わる経済政策をより真っ当なものにしていく上で、なすべきことではないかと思うのです。
 
今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆
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