ペンス副大統領が突きつけた声明はエクス”ペンス”(費用)負担の強要だよ!
導入からいきなりインテリジェンス溢れる(笑)知的ダジャレから入ってみました(ダジャレに知的があるのかどうかは分かりませんが、そういうことにしておいてください・・・)。
冗談はさておき、アメリカのペンス副大統領が来日し安倍首相と会談を行いました。
会談の詳細は後日外務省のHPででも取り上げられるでしょうから、そちらを確認したいと思いますが、ニュースサイトの記者会見の要旨を見る限り
これはまた安全保障を盾に足元見られたな
という印象です。まぁ・・・いつものことですが・・・。
安倍首相とペンス副大統領の間で下記のような内容が確認されたようですが
- 原子力分野の研究開発、産業協力で覚書
- LNGの供給やインフラ建設で高水準の投資を促す意図有している
- 開かれた競争力のあるエネルギー市場の推進、企業間連携促進などにコミット
- 持続可能な経済成長へ、インド太平洋における投資プロジェクト促進で覚書
要するに、エネルギー分野でアメリカがインド太平洋へ進出するに当たり、日本は技術と金を負担しろ、ということでしょう。
現在のアメリカが抱える課題はいくつもありますが、その内の大きなものが
1) 中国の国際的影響力の拡大を抑えること
2) 将来にわたる太平洋地域における影響力を保持すること
3) 対外貿易赤字を縮小するために国内の生産力を高めるとともに、海外の市場を開拓すること
です。
1番目の中国はさておき、他の2つはTPP協定によって賄うことが可能でした。
しかし、恐らくアメリカは想像以上に長きにわたるTPP交渉を見て、こう考えたのでしょう。
「こんなことを悠長にやっていては埒が明かない。それより自分たちが得意な二国間交渉に持ち込んで、ガチで譲歩を迫った方が早いし、利点が大きい」
と。
もちろん、TPPによってアメリカ国内の農業も悪影響があるという言説が広まったことも”社会格差の犠牲者たち”からの支持が強いトランプ政権としては、TPP交渉から脱退した理由の一つでしょうが。
しかし、アジア太平洋地域の市場を開拓すると言っても単純にアメリカ産の商品を売り込めば良いというほど単純な話ではありません。何しろ物価が違いすぎますので、高価な米国産商品でアジア太平洋地域の市場を席巻することは流石に困難です。
だとすれば、まずは民間市場の前にその基盤となるインフラ整備という国家ビジネスの市場を奪い取ることです。インフラはそれ自体がビジネスになるということもありますが、インフラをアメリカ式に作り上げてしまえば、それに沿って発展する分野のルールもアメリカ方式にしたがって進歩させるしかありません。
簡単に言えば、一旦Windowsというインフラを買わせてしまえば、その後のソフトウェアもMac用ソフトではなくWindows用ソフトを買うしかなくなる。つまり、最初にWindowsで環境を整えればそう簡単にMacには乗り換えられなくなる、ということです。
そうしてアジア太平洋地域が育って行けば、そのままその市場を総取りできる可能性がある。勿論、実際にはそんなにオセロみたいに総取りはできませんが、少しでも陣地を多く確保する可能性を上げるためには、それ相応の下準備が必要なのです。
しかし、もちろんそれらの地域には中国も同様に影響力を強めようと虎視眈々と準備を進めていますので、そこに割り込んで行くにはそれ相応の資金力が必要となります。
そこで。
日本の出番という訳です。
何しろ日本は独力で中国から自国を守ることもできません。アジア太平洋地域における中国の影響力が拡大するのは防ぎたいと思っても、自分からその地域に踏み込んでいくこともできないのです。日本は以前「アジアを侵略した国」ということになっていますからね。
ですが、そこにアメリカの主導があれば別です。
あくまで主導するのはアメリカで、日本はそれに協力をするだけ。そうすれば日本は大手を振ってアジア太平洋地域へと投資することが可能になる訳ですし、アメリカに協力することで「中国の脅威から守ってもらえる」ということになる訳です。
まぁ、本当に守ってもらえるかどうかは不明ですが、一応建前上はそうなります。
つまり、ざっくばらんに言ってしまうと
「中国の軍事的脅威を削ぐためにもインド太平洋地域へのアメリカの支配力を増強した方が日本にとっても良いだろ? どうせお前達は自力で中国から自国やインド太平洋地域を守ることなんてできないんだ。アメリカがやってやるんだから、お前たちは金くらい出せよな?」
とペンス副大統領に言われて
「はい。分かりました。お金は出しますので日本を守ってください。」
と頭を垂れた、ということなのです。
そのことの是非はここでは問いません。
ただ、どれだけ「日本とアメリカは共通の価値観を持った国だ」とか「強力なパートナーシップ」とか言ったところで、自国で安全保障を賄えない国というのはその程度の扱いしか受けないということは理解しておくべきではないかと思います。
そして、タイトルの通り
ペンス副大統領が突きつけた声明により、日本は高いエクス”ペンス”(費用)の負担を強いられることになるでしょう。
今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆