世界を救う読書

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「リニア新幹線」と漫画「スラムダンク」の意外な共通点

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さて、2027年に開通が予定されているリニア新幹線

これが開通しますと、現在1時間半以上掛かる「品川〜名古屋」間が40分弱で行けるようになります。「品川〜大阪」間がなんと67分で行けるようになるのです!

東海地方に住んでいる私としては、東京出張の時に今までより1時間多く寝られる計算になります(←早く起きろやww)

早い!! めっちゃ早いっす!!

 

なぜこんなにリニア新幹線は速いのか? 

それは「超伝導」という技術が新幹線の車体を空中に浮かせているからです。空中を飛びながら走る、だからリニア新幹線は時速500kmものスピードで進むことができるのです。

小さいお子さんがいるパパさんには、Goodな豆知識ですね!! ⤴⤴

 

つまり、この「超伝導」という技術がなければ、リニア新幹線は実現できないということになります。まさにリニアのコア・テクノロジーというわけですが、さてこの超伝導という技術は、果たして「リニア新幹線を建設するために生まれた技術」でしょうか?

そんな訳ありませんね。

なぜならこの超伝導という技術が生まれたのは、今から100年以上も前のオランダだからです。新幹線どころか、日本ではようやく全国に鉄道が敷設されたくらいではないでしょうか。リニア新幹線どころか鉄道を早く走らせるためでもなく、ましてや日本のためでもない。なぜオランダでこの技術が生まれたのか?

 

それは

 

「ともかく冷やしてみたい」と純粋に好奇心でいろいろな物質を冷やしている時に、たまたま気づいたから

 

です(笑)。

いや、でも本当にそうらしいんですよ。純粋に科学者の好奇心から生まれた技術だった、ということなのです。

 

このような何かのテクノロジーの基礎になる物を研究することを基礎研究、あるいは基礎学問と言いますが、それに関して面白い記事がNHKで取り上げられていました。 

 

この記事を書かれたのは村山斉 (むらやま ひとし)という方で、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構 教授という肩書でいらっしゃいます。素粒子物理学の研究が専門の方で、たまにテレビとかにも出演してらっしゃるのでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。固そうな肩書の割にとても気さくな方のようで、説明も本当に分かりやすく面白くて、この方の本を読んでいると何だか「私も素粒子研究してみようかな。なんかできるんじゃないかな」とかふざけた妄想を抱いてしまうほどです。絶対無理なんですがww

 

この方が上記の引用記事の中で「基礎学問の重要性」について、とても分かりやすく書いていらっしゃいます。私のような文系の人間にも分かりやすくて、なおかつ奥の深い記事です。さらに私達の生活にとってもこの「基礎学問」というのがどれほど重要なのかが、とてもよく分かりますので是非ご一読いただくことをお勧めします。

 

村山教授がこのような記事をあげられたことは、最近の日本の「応用学問」・・・特に"すぐ利益を生む研究"にばかり力(資金力)を入れて、基礎学問を大事にしないという風潮に危機感を感じておられるからでしょう。この事は多くの日本人ノーベル賞受賞者も、ここ数年よく苦言を呈されています。

 

基礎があるからこそ応用があり、応用があるからこそ基礎がある。

基礎と応用というのはとても密接に関わっている訳ですが、基礎というのはなかなか芽が出ない地味なものです。だからこそ(特に)民間ビジネスでは基礎研究よりも、短期利益が計算しやすい・・・つまり"コスパの良い"応用研究に資金を集中しやすいのです。

ただ、本来は基礎がしっかりしていなければ、応用の方法すら思いつかないわけで、この2つはバランスをとって行われなければなりません。だからこそ短期的な利益を追求する必要のない「国家」がしっかりと基礎研究にお金を投じなければならないのですが、それが最近(と言ってももう10年以上?)ないがしろにされています。

 

私はこの「基礎と応用」の話をする時にいつも思い出す話があります。

それは漫画「スラムダンク」の中の一コマ。

私のようなジャンプ世代はもちろん、そうでない人達にも広く知られているバスケット漫画の金字塔です。

 

これの最初の方の話で、バスケを始めたばかりの超初心者てある主人公"桜木花道"が「基礎が大事だ」ということで、他の部員が練習している体育館の隅っこで一人黙々とドリブルの基礎だけを1週間やらされます。元々ヤンキー気質の強い主人公はいよいよ我慢ができなくなり、キャプテンである赤木に食って掛かるのですが、その時に赤木キャプテンがこう言うのです。

 

「貴様はスポーツというもんが全然わかっとらん! 基本がどれほど大事かわからんのか!

ダンクができようが何だろうが、基本を知らん奴は試合になったら何もできやしねーんだ!!

 

と。

 

これ、本当にその通りなんですよ。

何でもそうなんですが、基礎ってやっぱりつまらないんです。時間がかかって、地味で大変な割に成果がすぐ出る訳じゃない。何より面白くないんです。基本的にパターン化されたものを黙々と繰り返す作業になるので。でも、その基礎がないと「いざ」という時には何もできないのです。


例えば私はドラムの演奏が趣味ですが、ドラムの基礎練習なんて死ぬほど退屈です。メトロノームの「ピッピッピッピッ」っていう練習用の丸い板を規則正しく「タカタカタカタカ」と叩くのです。それもスティックの軌道が横ぶれしてないか、鏡を見てチェックしながら。


ピアノとかと違って音階もメロディもない「ただの丸い板」を、そうやって30分とか1時間とかひたすら叩き続けるのです。
時々ストレスが溜まると「タカタカ(音が4つ)」を「タカタン(音が3つ)」にしてみたりして、「お! 今の3つ目の音はキレがあったな!! よっしゃ!!」とか言って、一人でニヤニヤしたりします(笑)。もうね、アホですよ。完全に。それか変態です。

もし、あなたの知り合いにドラマーがいたら、その人は99%の確率で「アホか、変態か」のどちらかです(笑) (※自社調べ)。

 

でも、そういうまるで苦行のような基礎をどれだけやったかで、ライブやセッションという本番で真の実力が分かるのです。スラムダンクのキャプテンが言うように「基礎ができないないヤツは本番になったら何もできない」のです。

 

日本がいち早く近代化できた理由は基礎学問の力が高さにある

引用記事の中で村山氏は基礎学問の重要性と、それが私達の生活にどのような影響を与えたかを述べられています。その中で「自らの国で基礎学問を徹底して行うことの重要性」ついてのこのような記述があります。

ちょっと長めですが、とても興味深いので引用します。

 

こうして基礎学問が真のイノベーションを生み出しているわけですが、基礎学問は世界共通のものなので、わざわざ日本が投資する必要があるのでしょうか。例えばアメリカでの発見を、すぐさま吸収し使えるようになれば、日本の国として投資する必要はないようにも思えます。

 

実は先日ノーベル委員会のメンバーとお話しする機会があり、この質問をぶつけてみました。スウェーデンは基礎学問のサポートが厚い国ですが、王立アカデミーのメンバーはこう説明しているそうです。「別の国で大きな発見があっても、自分の国にその重要さを理解し、すぐそれに取り組む素地のある研究者がいなかったら、競争に乗り遅れ、産業がそだたない」まさしく、明治維新の前の日本のように基礎学問の素地があるかどうかが重要だ、というわけです。

 

先にも書いたように応用と基礎は密接に関係しています。基礎が分かっていなければ 「どのように応用すれば良いのかも分からない。」それが現実です。

確かに短期的利益が推測しやすい応用研究に民間が投資しがちなのは仕方ありません。民間企業は利益を出してなんぼですので。

しかし、国家は違います。

国家は何百年、いえ日本の場合は1,000年以上も続く共同体なのであり、「短期の利益」を追い求める必要はありません。国家が今後も継続していくために必要なものは金銭的利益が取れなくてもやる。それができるのが民間企業と国家の決定的に違うところです。

 

日本の政治家や官僚には今一度その国家の意義を考え直してもらいたい。

そのような熱い想いを私はこの村上氏の記事に感じたのでシェアさせて頂きました。是非一度ご一読ください。 

 

 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

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