世界を救う読書

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フランスを苦しめるユーロという共通通貨

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今もなお混乱の続くフランスの「黄色いベスト運動」ですが、マクロン大統領は抗議運動を受け、年金生活者向けの減税と最低賃金の引き上げを約束しました。

これで暴動が収まるとは思えませんが、収束の兆しは見えるかもしれません。もっとも問題の根幹がグローバリズムへの反発である以上、マクロン政権下では完全収束するとは思えませんが。

 

ただ、このマクロン大統領の対応に対して国際社会・・・とりわけEU諸国への影響を懸念する声があるようです。

 

このNewsweekの記事によると、今回の対策によりフランスの財政支出は80億─100億ユーロ増え、財政赤字の対国内総生産GDP)比率はEUが上限と定める3%を突破する可能性があるとのこと。

そして、それがユーロ圏全体に財政拡大路線が広がるのではないかということです。

 

これの何が問題なのでしょうか?

実は普通の国家であれば何も問題ありません。問題になるのはEUという「共通通貨ユーロを採用した共同体」だからです。

 

共通通貨ユーロの背後にある”新自由主義”という理念

そもそもEUとは、バラバラの国だった欧州を一つの市場としてまとめ、ヒト、モノ、サービス、資本の4つを自由に移動できるようにすることを実現するための組織です。この4つの移動の自由化を推進することで経済効率が最大化されるという考え方を「新自由主義」と言います。

「ヒト、モノ、サービス、資本が自由に規制が掛かっていると、企業が円滑な経済活動が行えない。そんな規制があることがいけないのだ。取っ払ってしまえ! 」という訳です。

 

そんな新自由主義と国家は水と油。

なぜなら今回のマクロン大統領がとった政策のように、国家というのは"国民の要望を聞いて財政拡大(つまり政府の支出を増やすということ)”をするからです。

新自由主義にとっては、そのような行動を国家に取られるとヒト、モノ、サービス、資本の移動の自由が妨げられることになるので、もっとも嫌悪すべき行動です。なぜなら、新自由主義の立場で言えば、そのような状況でも国家が手出しをしなければ”自然”と民間企業の優れたサービスによって、そのような国民の不満も解消されるはずだからです。

 

先程しれっと「EUでは国家の財政赤字GDPの3%以内に収まるように決められている」と書きましたが、これも国家に手を出させないための措置なのです。新自由主義的には本当は0%にしたいところでしょうが、さすがに一気にそこまでの改革はできないので現実的なところで折り合いをつけたのでしょう。

 

財政政策とは国家が当然持つべき権利であるはずなのに・・・

本来財政政策というのは、ある意味その国家が持つ当然の権利です。

国民がお金が不足して困っているのであれば、お金を供給してそれを解消するという当たり前の行為なのですから。しかし、EUでは・・・特に共通通貨ユーロを採用している国では、その当然の権利が剥奪されてしまっている訳です。

「剥奪」というと「何を大げさな」と思われるかもしれませんが、実際にそうなのです。なぜなら共通通貨ユーロを採用している国には、通貨を発行する権利がないのですから。つまりユーロというのは、そのような国家が持つ当然の権利を奪い去り、新自由主義マンセーの共同体EU支配下に置くための道具なのです。

 

それではなぜそんな共通通貨ユーロをフランスは採用したのでしょうか?

この説明はまたちょっと長くなりますので、明日の投稿にて。

待て! 次号!! (笑)

 

 今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

 

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