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なぜ「人生100年時代」というキャンペーンが展開されるのか?

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去年からにわかに騒がれている「人生100年時代」という言葉。

私が最初にこの言葉を聞いた時に思ったのは

 

「嘘くさwww」

 

でした。

 

確かに日本人の健康寿命は伸びています。

厚生労働省が去年公表した報告では、介護を受けたり寝たきりになったりせず日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」が、2016年は男性72.14歳、女性74.79歳だったとのこと。2013年時点と比べ男性が0.95歳、女性は0.58歳延びたようです。

まぁ、ぶっちゃけ今の状況では厚生労働省の発表」の信憑性が著しく堕ちていることはさておき(笑)、健康寿命が伸びたことが即座に「充実した人生を送れる」「働ける年齢上限が上がった」と考えるのはあまりにも拙速です。

 

「介護が不要なら健康!」とか、そんな訳ないでしょ。

まず健康寿命の定義とは「介護を受けたり寝たきりになったりせず日常生活を送れる期間を示す」ようですが、「介護を受けていないから健康」などと誰が言い切れるのでしょう?

データ上では確かにそのような分類しかないかもしれませんが、実際には「介護を受けていない人」と「高齢者になってもバリバリ現役で働いている人」の間には、いくつもの段階があります。介護を受けるほどではなくても身体に何かしら支障が出ている人、昔患った病気の再発リスクのためにバリバリと働けない人など、多くの状況があるわけです。

 

それを統計上「健康寿命が伸びて72〜74歳になった」からと言って、即座に人生100年時代などと言って良いのでしょうか?

そもそも5年で1歳しか寿命が伸びないとしたら、「100年生きるのが普通」になるまであと20年以上掛かることになってしまいますが、そのことは一体どう考えているのでしょうか?(笑)

 

 私は別に言葉の厳密性だけの話をしている訳ではありません。

実際に「100年健康的に生きるのが普通」と「100年生きられるかもしれないけど、70代後半にもなったら亡くなってもおかしくない。」のでは、雲泥の差があります。なぜなら、前者の場合は70歳まで働いてもあと30年人生が残ってますが、後者であれば70歳まで働いたらあと10年生きられるかどうか分からないのです。定年後の生き方が全く変わります。

それを「人生100年時代」とか勝手に言われて、100年をベースに人生設計を考えろとか言われても困ります。

 

なぜ「人生100年時代」キャンペーンか?

そんなことは普通に考えればすぐに分かるはずですが、昨今では政府自らによる「人生100年時代のライフスタイルを考えよう!」という"ゴリ押し"が凄まじく、なかなか冷静に考えられないようです。

ではそのゴリ押しの大元である日本政府は、なぜそんな「人生100年時代ゴリ押しキャンペーン」を展開するのでしょうか?

 

その一つの理由がこれ。

自民党の厚生労働部会長を務める小泉進次郎氏が、積極的な公的年金改革に取り組んでおり、「人生100年型年金」を持論しているんだそうです。

この記事のインタビューに答えて、「小泉進次郎と愉快な仲間たち」がこんな事を言っています(一部抜粋)。

 

人生100年型年金では、「長く働くことが不利益にならない」「一人ひとりの生き方が多様化する中で、年金を何歳からもらうかは個人が選択できるようにする」といった考え方を示した。

 

人生100年時代は、長く働くことが不利益にならず、一人ひとりの生き方に合わせて前向きに働くことができる環境が必要

 

・仮に75歳まで働く社会をつくれれば、支える側が増えて支えられる側が減るため、2040年などの将来でも実は支える側と支えられる側のバランスは現在よりもよくなることがわかっている。

 

はい。これだけ読めば十分ですね。

また例の「日本財政は破綻する〜〜〜! 日本はお金ないから支出を絞れ〜〜〜!!」なんですよ。

うまいこと「これからの社会のあり方を考えた上で、国民みんなが充実した人生を生きられるように」みたいなポジティブな表現をしていますが、要するに

 

高齢化社会になったら社会保障費が増える。でも、それを払うお金はない。

高齢者は自分の食い扶持くらい自分で稼げるように何とかしろ。

働く場所だけは探せるようにしてやるからよ。どんな環境で、どれくらいの収入かは知らんけど、働いてりゃ何とかなるだろ。知らんけどなwww 」

 

っていうことです。

人生100年時代」とか気の利いたキャッチコピーを考えたつもりでしょうが、結局は「緊縮財政という経済政策」なのです。

 

真の人生100年時代に必要な政策とは何か?

これから健康寿命が伸び、本当に人生100年時代が訪れたとしましょう。その時に本気で「国民のため」を考えるのであれば、政府はどうするべきでしょうか?

それは、例えば60歳で仕事を辞めても人を年金で養っていけるような財政基盤を築くことです。この小泉氏が言うような「70歳、いや75歳まで働いて自分で稼げ!」ではありません。話の順番が逆なんですよ。

そして、そのような財政基盤を築くためには、一刻も早くデフレ不況から脱することです。デフレという状況においては、政府の財政基盤である税収が増えることはあり得ません。なぜならデフレとは国民の実質的な所得が減る現象のことであり、その所得の合計である「GDP=国民総生産」が伸びないからです。

政府の税収とは我々の所得から支払われているので、その所得が減ってしまえば伸びる訳がないのです。

 

だからこそ「緊縮財政なんかやってる暇があったらデフレ脱却しろ!!」と私は言っているのです。ましてや社会保障費を削るために「人生100年時代」とかバブル期のコピーライターが書いたような古臭いキャッチコピーでキャンペーンをやってるほど暇なら国会議員なんて辞めてしまえ!!! と言いたくもなるものですよ。

 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

 

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