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消費増税を「仕方ない」と思う前に知っておいて欲しいこと

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さて、みなさん、消費税って10%に値上げして欲しいですか?

一介の民間企業に勤めるサラリーマンの私としては大反対です。困ります。

自分の小遣いも減りますしね!(笑)

家計をやりくりしている方であれば、当然反対派が多いのではないかと思います。

 

でも一部の富裕層の方は「いつでもOK! むしろWelcome!!」って方もいらっしゃるようで・・・。

 

先日とある会社経営の方とお話をする機会がありました。

その方は「消費税2%なんてさっさと上げれば良いんですよ。2%くらいで何も生活なんて変わりませんよ。これから高齢化で社会保障費は増えて、人口減少で負担する人が減るんだから早くやらないと!」と仰っていました。

 

正直「ズレてんな、こいつww」と思ったのですが、それと同時に思ったのです。

やっぱり経営ができるからって経済が分かってる訳じゃないな。いや、むしろ経営のことが分かっているという自負があるせいで、余計面倒だな。」と。

 

経営と経済は別物

これは多くの人が混同していると思うのですが、「経営」と「経済」は全然別物です。経営のことが分かっているからと言って、経済のことが分かっているとは限りません。いえ、むしろ経営者に限って経済のことが分かってないと言っても良いでしょう。

 

経営というのはあくまで「民間企業という利益追求団体の運営」に関わるものであり、経済というのは「国民の生活を守るための活動」であるので、それぞれ全く違うものです。

しかし、経済が国民生活を守る上で「お金」の使い方が大きな比重を占めているので、どうしてもイメージ的に一緒くたになってしまうんだと思います。

 

ですが、先程書いたように経営と経済というのは、そもそもの目的が違うので、当然お金に対する考え方が根本的に違います。たとえて言えば

 

「サッカーとバスケって"ボールをゴールに入れるスポーツ"なんでしょ? じゃあ、同じじゃん。」

 

って言っているくらい違うのです。

 

それはそれとして、ではこの混同が何か問題あるのでしょうか?

大アリです。

メチャクチャ問題なのです。

それどころか、この混同があるから日本が貧困化していると言っても過言ではないくらいです。

 

経営と経済の混同の何が問題なのか

「経営と経済の混同」がなぜ問題なのでしょう?

経営は"金銭的利益の追求"という目的から「効率」とか「節約」といった個人の生活感と近い考え方が導かれます。また、その効率とか節約を考える時の「時間感覚」も"個人の人生"ば基本になりますので、どうしてもスパンが短くなります。

 

一方、経済は"金銭的利益の追求"が目的ではありません。あくまで国民生活を守ることが目的ですので、むしろ金銭的利益を追求しないということの方が大事だったりするのです。その上、この「国民」というのは将来世代のことも含まれますので、時間間隔も数十年あるいは100年先のことも考えなければなりません。

5年くらいは損をしても30年、50年先のことを考えれば逆に国民ためになる、そういうこともあり得るわけです。

 

したがって、「国家経済」のことを「個人生活や企業経営」のレベルで考えると大きな間違いを犯すことがよくあります。

その典型的な例が「消費税の10%への増税」です。

 

「国民のための経済」で考えれば消費増税は絶対駄目 

下記の記事で、京都大学の教授で、前内閣官房参与(内閣へのアドバイザー)であった藤井聡教授が、この消費増税に関する国民の、そして政府の間違いを的確に説明していらっしゃいます。

 

分かりやすく消費増税の問題点とその原因を説明していらっしゃいますので、是非全文お読み頂きたいのですが、非常に面白いところを一部引用すると・・・

 

現在の最悪な状況から脱却するには、10%消費増税を「凍結」すると同時に、10~15兆円規模の大型経済対策を行えばよいのです。極めてシンプルです。このことを多くの国民のみならず、大多数の経済専門家と政治家、官僚たちも認識できていません。今、日本が成長できない真の理由は、国民が、日本経済について、根本的に間違った『物語』(日本は少子高齢化でもう成長できない。一方、国の借金が拡大し、社会保障費も年々拡大するので、その財源を「消費税」で確保する)を信じているからに他なりません。

 

(中略。そして日本経済が停滞している真の理由は何かという流れで)

 

今の日本は、バブル崩壊で傷ついた状況下で断行された1997年の消費増税によって、デフレ・スパイラルが展開するデフレ経済へ凋落してしまった。その結果、日本の経済成長率は世界最低に凋落し、国民は貧困化し、格差は拡大し、そして、財政は大きく悪化してしまった。そもそもデフレ下では、民間は投資を減退させ、黒字を貯めこむようになるため、必然的に政府の「赤字」は拡大する。だから、政府の赤字を縮小し、財政を健全化するには、デフレ脱却を果たす以外に方法は存在しない。そして、デフレ脱却を果たすためには、「消費増税を凍結」し、―ないしは減税し―大型の財政政策を2、3年間継続する他に道はない。それができれば、デフレ・スパイラルが終わり、インフレ・スパイラルが駆動するようになる。そうなれば、自ずと経済は成長し必然的に財政は健全化していく。」

 

 

個人生活の延長上で考えれば、確かに赤字は駄目だし、無駄な出費は控えるべき。節約も重要でしょう。しかし、「国民生活のための経済」という視点で考えれば、答えは全く逆になるのです。

上記で藤井聡教授が仰っているように、そもそも日本がデフレになったのは1997年の消費税3%から5%への増税がきっかけです(今回の8%から10%への増税と同じ2%アップ)。

そして、そもそもデフレ下では、民間は投資を減退させ、黒字を貯めこむようになるため、必然的に政府の「赤字」は拡大する。つまりデフレである以上、政府の赤字が拡大するのは当たり前ですので、デフレ化で財政再建することは不可能です。

 

民間企業の理論は国家経済では通用しない

じゃあ、どうすれば良いのか?

個人や民間企業の経営的価値観とは真逆の考え方をすれば良いのです。

つまり、政府が赤字を拡大してもっと投資することです。それしかありません。

 

「それじゃあ、赤字がどんどん増える一方じゃないか!」って?

そうですね。その通りです。でも問題ないんですよ。

なぜなら政府には通貨発行権があるためいくらでもお金を発行できるからです。

 

そんなのインチキだ!と思いますか?

そうですね。インチキかもしれません。でも国家経済ってそういうものなんですよ。

それが国民個人や民間企業とは違う「国家の特権」なのです。だからこそ「偽札作り」は国家的な大犯罪なのです。

 

民間企業の経営と国家経済は全く別物。民間企業のアプローチとしては正しくても、国家経済では間違っているということはいくらでもある。国家経済を民間経営の延長線上で考えること、そしてそれが正しいと信じて疑わない社会心理こそがいまの日本の問題点なのです。

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆 

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