世界を救う読書

ビジネス書から文芸書までさまざまな本を通して世界の見方を考えるブログ

「国が個人をハッキングするのはOK!!」にする法改正

f:id:Kogarasumaru:20190127114930j:plain


今朝このニュースを見て愕然としてしまったのですが、日本も中国に負けず劣らずの「監視社会」になりつつあるようです。 

個人情報の流出やハッキングが度々騒動となる昨今、総務省が恐ろしい調査を行うことになりました。朝日新聞が2月1日に報じたところによると

 

家庭や企業にあるインターネットにつながれた家電などの「IoT機器」をサイバー攻撃から守ることを理由に、総務省は1日、最大で全国約2億台の機器にアクセスして安全性を確認する調査「NOTICE(ノーティス)」を20日から実施すると発表した。

 

だそうです。

・・・・何じゃそりゃ⁉

 

それっていわゆる「ハッキング」というやつですよね。それを「国」がやるということでしょうか?

私も全く知らなかったのですが、なんと去年5月、情報通信研究機構の業務を定める

法律を"改正"して、5年間に限って国家がハッキングするのはOK!!

ということにしており、法律上は何も問題がないということになっているようです。

凄いですね。個人や民間がやれば犯罪になるけど、国家が「国民のため」と言えば犯罪でなくなるようです。17世紀に活躍したイギリスの政治思想家ジョン・ロックが「市民政府二論」という本の中で

 

「大盗人は小さい盗人を処罰して、彼らを服従させる。しかも大盗人は月桂冠や凱旋式で報いられる」

 

と言っていますが、正にその通りのことが行われている訳です。

 

ルールを作り変える立場の者が「ルールに沿って」とか意味不明

この計画は総務省の指示に基づき「情報通信研究機構」という独立法人が実施するようです。その情報通信研究機構はこのようなことを言っていますが

 

「セキュリティーの弱い機器が見つかった場合、内部に侵入はしますが、機器の種類を特定するなどの通信は一切行わないとしています。」

 ↑百歩譲ってセキュリティの弱い機器を見つけることに意義があるとしても、内部に侵入する必要はないですよね。

実際に「中身の特定をしたかどうかを調べる」ことは外部から不可能なのですから、仮に特定したとしても「いえ、内部には侵入したけど特定しませんでした」と言われれば、それ以上は追求できません。口では何とでも言えるのです。

 

さらに、調査で得られたデータの管理を厳重に行い、情報の保護につとめるとしています。

↑「務める」じゃ困るんですよ。「務めたけど失敗しました。情報漏れましたww」となった時に誰も責任取れませんよ。仮に関わった人間が全員辞職したとしても、「情報を漏らされた被害者」にとっては無意味ですが? 

 

「目的以外のデータを得たり、調査で得たデータが外に漏えいすることが一切無いように厳格なルールを設けている。この調査は国民の安全安心のためのものなので、ルールにのっとって運用していく」

ルールを作り変えられる人たちが「ルールにのっとって」と言っても、これっぽっちも説得力ありません。意味不明です。

去年も外注委託しないということが法律で決まっていたデータの分析を、外部の会社に委託し、しかもそれが中国系企業だったことで大問題になったはずです。情報通信研究機構そのものが中○政府にハッキングされたらどうするのですか?

 

データの戦略価値を認識してない国が"合法ハッキング"する狂気

今や「データ」は個人にとっては生命線であることはもちろん、国家戦略においても重要な「戦略物資」です。どのような手段を用いてでも、その獲得を目指す国が出てきてもおかしくありません。

もし情報通信研究機構にどこぞの国の諜報員が忍び込んでいたら、どうするのですか?

 

また、この機構は

 

・国際推進部門

・産学連携部門

・産業振興部門

 

などがあり、民間企業や"外資系"民間企業を含む「外部団体」とも密接に関係があるようです。

国際推進、産業振興という理由で、今回のハッキングによって得られた情報が漏洩しないという保証があるのでしょうか? 

先程も書きましたが、いまや国家にとって「データ」はとてつもなく重要な戦略的価値を持っています。それを入手するためなら、どのような手段を使って来てもおかしくありません。極端な話、在日米軍の引き上げをカードにアメリカから個人データの提供を強要されたら、日本は断れるのですか? 絶対に断れないでしょう。

 

国民の安全のためであれば、国民を牢獄に入れても許されるか?

この記事の中で、総務省サイバーセキュリティ統括官室の人物が、この目的について

「IoT機器が増加する中で、機器をねらうサイバー攻撃も増加している。東京オリンピック・パラリンピックを来年に控え、国民の皆様には今回の調査にご理解いただくとともに、セキュリティー対策に関心を持っていただきたい」

 

と話しています。

ぶっちゃけ、「そこまでして東京オリンピックやらなくていいわww」と言いたいところですが、オリンピックを開催し、国民の安全を守るという"水戸黄門の印籠"を出せば何でも通ると思っているのでしょうか。

 

確かにセキュリティの強化は非常に重要です。しかし、だからと言って国民の全ての行動を監視することが正当化される訳ではありません。

かつジャン=ジャック・ルソーは、その著書「社会契約論」の中で

 

「ひとは牢獄のなかでも安らかに暮らせる。だからといって、牢獄が快適だといえるだろうか?」

 

と述べました。

私には今回の総務省の行いが「安全のために牢獄に入ってろ」と国民に強いているようにしか思えないのです。

 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございまし

このサイトについて プライバシーポリシー
Copyright ©2020 Sekadoku (世界を救う読書管理人)