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「子連れ出勤」をなぜ政府が推進するのか?

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先週私が住んでいる東海地方のとあるニュース番組で、「子連れ出勤制度」について取り上げられていました。

まだ小学校に上がっていないような子を会社に連れていき、子の面倒を見ながら職場で働く「子連れ出勤制度」。これを国が後押ししているということでした。

 

正直かなり違和感を覚えたのでブログで取り上げようと思いまして、ちょっとググってみましたところ、何かえらい騒ぎになっているようですね(笑)。笑い事じゃないですが。

私が見た時は"成功例"として紹介されていた企業も東海地方の会社でしたので、東海地方だけかと思っていたら、どうもフジテレビの「とくダネ!」でも同じような内容が報道されていたようで、そちらで話題になっている様子。

特に事件や事故でもないのに、別の番組、別の地域で、同じタイミングでニュースになるというのが、何とも"政府のヤラセっぽい"感じがしますね・・・・ま、確証はありませんが。

 

反対派が多数のようだが・・・

で、今回のニュースがかなり話題になっているというのは、「子連れ出勤制度、賛成!」の声ではなく「反対」の声がかなり強いからのようです。

Business Insider Japanが1月中に行ったアンケート調査では、反対が77%。「子連れ出勤」賛成派は12%で少数派という結果になった。1割は「どちらとも言えない」。

圧倒的多数だった反対派の理由で多かったのは次のとおり。

1位.保育園を拡充するなど他にやるべきことがある。(28%)

2位.仕事にならない。(18%)

3位.子どもにとって環境がよくない。(12%)

4位.職場で周囲に迷惑がかかる。(10%)

ちなみに、子連れ出勤を認めている職場はどの程度あるのか。「周囲にない」が6割、「ある」は15%程度だった。

 

とのこと。

このアンケートだけで全てが語れる訳ではありませんが、ネット上の反応を見る限り反対派が多いですね。ただ、ちょっと興味深いなと思ったのは、意外に(というと失礼かもしれませんが)冷静に反対している意見が多いように思えることです。

「子連れ出勤」という勤務体系そのものを否定しているというより、それができるかどうかは家庭や企業の都合もあるのだから、政府が「制度」として押し付けようとしていることに違和感を感じているようです。

 

私も全く同感なのですが、ではなぜ政府はこの「子連れ出勤制度」を推進しようとするのでしょうか?

 

子連れ出勤制度の推進は緊縮財政の一環

結論から言うと、

政府が「子連れ出勤制度」を推進するのは緊縮財政の一環です。

 

ほぼそれしか理由はないと思います。

ちょっと詳しく説明します。

 

日本の少子化が進んでいることは皆さんご存知かと思います。

ただ、問題なのは日本の"少子化"自体よりも生産年齢人口・・・つまり働ける年齢の人口が減っていることです。もし"一人あたりの生産能力"が変わらないのであれば、働ける人口が減ると、それだけ経済力が落ちていくことになるからです。

 

根本的な解決には少子化対策、つまり子供を生みやすい社会環境を整備することが大事です。ただ、仮に何か素晴らしい解決策が見つかって今すぐそれを実行したとしても、成果が出るのには20年位かかります。ま、当たり前ですね。生まれてから成人するまでそれくらい掛かってしまいますから。

 

生産年齢人口減少への対策は2つ

では、その間にこの生産年齢人口の減少による経済衰退にどうやって歯止めを掛けるか?方法は超ざっくり言うと2つあります。

 

1) 今の人の数で、今と同じくらいの生産ができるように設備を投資する (機械化、IT化、インフラ整備はもちろん人材育成も含む)

 

2) 今働いている人をこきつかって生産能力が落ちないようにする

 

の2つです。

 

(1)の設備投資というのは、今まで1日に一人当たり100個しか作れなかった物を、120個作れるように機械化やIT化を進めるということ。また、その機械やITを使いこなせるように人材を教育することです。

ただし、もちろん投資ですのでお金は必要になります。

 

(2)は今まで1日に一人あたり100個しか作れなかった物を、一日当たりの労働時間を増やすことで120個作れるようにする、ということです。

ただ、この場合、注意しなくてはならないのは、労働時間が増えたからと言って、同じ比率で所得が増えるわけではないということです。なぜなら日本は「デフレ」だからです。デフレの場合、値段が下がることはウェルカムでも、値上がりは受け入れられません。

労働者に払う賃金が増えてしまえば値上げせざるを得ませんので、賃金はほとんど上がりません。それでもデフレ不況である現状では"働かざるをえない"。それが実態です。

 

さて、ここで質問です。あなたが会社の経営者だったら、どちらの方法を選びますか?


私はあなたの答えを知っています。そう、メンタリストのDAIGOばりに!!
2ですね!?

あなたが選んだのは2のカードですね‼️(笑)


そう。これがハンドパワーです!! (←違う)

 


さておき。
ほとんどの方が2を選ぶと思います。
別におかしなことではないです。むしろ合理的な判断です。
だって、今はデフレですから。
みんな貧乏になって物が売れない時代です。設備投資をしたところで、その投資を回収できるだけ物が売れる保証はない。それどころか売れ残る可能性の方が高い。
そんな状態で誰が貴重なお金を払って、1のような設備投資するでしょうか?


2の方法で労働者をこき使った方が圧倒的に合理的です。

しかしながら、話はここで終わりません。

 

民間企業には正しいからと言って国家でも正しいとは限らない

さてここで、そもそもの問いである「なぜ政府が子連れ出勤を推進するのか?」を考えてみましょう。

ま、既に明らかですね。

先程書いた通り「1のような投資をするより・・・つまり設備にお金を払うよりも、2の方法で労働者をこき使った方が圧倒的に合理的だから」です。

このように投資を控え、支出を押さえて効率的にお金を回そうとする考え方を「緊縮財政」と言います。これが政府が子連れ出勤を推進する理由です。ざっくばらんに言えば

 

「保育所を作ったり、保育士の給料を上げたりしたらお金が掛かるじゃねーか。

なんで政府がそんなことしなくちゃいけないんだ?

民間企業がそれぞれ"自己責任"で頭使って、効率化して何とかしろよ! それが"民間活力の活用"だろうがww

子供が小さいからとか言い訳してねーで、さっさと働けやwww」

 

ってことです(笑)。

いや、笑い事じゃないですけどね。

でも、そういう理屈なんですよ。本当に。

 

政府と民間企業の根本的な違い

ただ、ここに大きな落とし穴があります。

それは民間企業は利益(お金)を追求する団体だが、国家は利益(お金)を追求する団体ではない、ということです。言うなれば国家はNPO法人なのです。「お金」という利益を追求する必要はありません。

 

そして国家が「お金という利益」を追求しなくて良い理由がもう一つあります。

それは国家は通貨発行権という唯一無二の権限があり、経済的に破綻するなどということがあり得ないからです。日本は借金大国だと言われていますが、その借金というのは半数が日本政府の子会社である日銀から借りていますので、返済する必要はありません。また、外国から借りている訳でもないので、誰かに取り立てられる訳でもないのです。

そこが民間企業と全く違うところです。

 

先程書いたように政府が子連れ出勤を推進するのは、緊縮財政の一環です。しかし、その「緊縮財政」という考え方がそもそも間違えているのです。

家族を持っている方、特に小さいこどもがいるような家庭においては、今回の子連れ出勤制度のような事案で気付かれることが多いと思いますが、それは物事の表層に過ぎないのです。

その奥にある根本原因は日本政府の「緊縮財政」という考え方そのものにあるのです。

そして、今の日本においてその緊縮財政という考え方は完全に間違っていて、それこそが日本という国をどんどん衰えさせていっているのです。

 

普段の生活をしていると中々「政府が何をやっているのか?」とかを考える余裕はないと思います。特に子供がいる家庭、共働きの家庭ではそうでしょう。

でも、こういう出来事があった時に、ほんのちょっとでも良いので考えてみてください。別に結論が出なくても、解決策が出なくても良いです。ただ「ちょっと待てよ」「なんでだ? 何でこんなことになるんだ?」と考えること、そういう心持ちこそが実は世の中を良い方向に導いていくために案外大切なことなのです。

 

大分長くなってしまいましたが、そのことが少しでも伝われば幸いですm(_ _)m

 

 

 今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

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