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今年の春節(中国大型連休)はいつもと違う?

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さて早いものでもう2月。

2019年もあっという間に1ヶ月が過ぎてしまいましたね。

年明けからの仕事がなかなか怒涛のような勢いでしたので、「早く連休来ないかな」とか思ってしまうほどです(笑)。そんな私が待ち望んでいる連休ですが、お隣中国ではいよいよ大型連休が始まります。そう「春節」こと旧正月ですね。

 

私の会社も中国に支社があるのでその怒涛の休みのことはよく聞くのですが、正に「民族大移動」といえるほどとんでもない量の人が里帰りするようです。中には里帰りしたまま会社に戻ってこない人もいるそうで、一部の企業では旧正月明けに会社にちゃんと出てきた人に「お年玉」をあげるような取り組みも行われているそうです(笑)。

うらやましい〜〜〜(・∀・)

 

さて、そんな旧正月こと「春節」と言えば、日本にも観光客が大挙して押し寄せるのがここ数年恒例になっています。いわゆる「爆買い」をしていく中国人客です。

ですが、今年はちょっといつもと様相が違うとのこと。

 

春節景気を当てにしていたはずが・・・

 中国の法令変更が、日本の消費に影を落とし始めている。今年1月施行の中国電子商取引法(新EC法)では、海外で購入した商品を転売する者が同法の規制対象となり、転売目的の商品購入にブレーキがかかっている。中国経済の減速や円高・元安も重なり、インバウンド消費の先行きは、急速に不透明感が増している。

 

以前のような「爆買い」という状況はだいぶ落ち着いてしまったようで、小売業の経営者は頭を悩ませているのだとか。

 

ただ、面白いというか「やれやれ」と思うのが、この記事の中にある「花王」の社長の言葉とその背景事情です。いわく

 

「昨年11―12月に相当大きな落ち込みとなった」―――。花王の澤田道隆社長は、昨年末から中国向けのベビー用紙おむつの販売動向が急変したと話す。

背景にあるのは、中国で今年1月から施行された中国電子商取引法。EC出店者などに政府への登録を義務付け、納税を義務化。脱税者には刑罰を科すことも明記された。ECでの転売を目的に日本で商品を購入する「代理購入者」も、電子商取引法での登録対象者となった。

 

えーっと・・・・中国で今年1月に施行された電子商取引法では、海外で購入した商品を転売する行為が規制対象になり、違反者には刑罰を課されることになりました。それを恐れた中国人たちが日本で爆買いをしなくったから、売上が落ち込んだっていう話なんですが、

それ、おかしいだろwww

 

転売ヤー」が日本に来てくれないから売上落ちたwww

って、あんたそれ企業倫理としてどうなのよ???

 

少子高齢化と需要減は関係ない

ここ2,3年急激に「インバウンド」という言葉がもてはやされるようになり、観光客を呼び寄せる活動を日本政府が後押ししています。皆さんもちょっとした観光地に行くと、日本語よりも大きい表示で中国語や英語、フランス語、スペイン語、韓国語などで観光案内が書かれているのを観ることがあると思います。

下手すれば日本語の方が見付けづらくなっていて、「一体ここはどこの国なんだ?」と思ってしまう程です。

 

はっきり言って、この「インバウンド推進の方針」「観光立国化」による経済の立て直しは完全に間違っています。

今回取り上げたNewsweekの記事の最後に日銀大阪支店が「今後、本格的な人口減少局面を迎えるが、インバウンド消費の増加は、人口減に伴う需要減を補いつつ、関西経済を引き続きけん引することが見込まれる」とするリポートを作成したと書いてありますが、完全に馬鹿げています。

そもそも人口減と需要減は何の関係もありません。

 

ここで需要減と言っているのは、少子高齢化でモノやサービスを買う人が減っているという意味でしょう。しかし、核戦争でも起こって「日本人がある日突然5,000万人死んだ」とかならまだしも、現実にはそういうことではなく「高齢化」しても現実に人は存在している訳です。高齢化した人たちも生きています。生きている以上何かしらモノやサービスを購入しなくてはならないのです(医療サービスとか)。

少子高齢化でモノが売れなくなったとか言っているのは、単に「人口構成が変化したことによる需要の変化」に対応できていない言い訳です。

 

実際、日本の人口減少自体は総人口のせいぜい0.2%程度の話であり、はっきり言って誤差程度。それ自体は大した問題ではないのです。問題なのは少子高齢化そのものではなく、働き手・・・つまり生産年齢人口が減少していることです。

 

インバウンド頼りの景気刺激には日本を弱くする

したがって、本当に少子高齢化に対処するのであれば、人口構造変化に対応した柔軟なモノ作り、サービス作りの変化こそが必要です。それをインバウンドという外需頼みにするとどうなるか?

今回の中国の例が示している通り、日本の経済が海外の事情によって振り回されることになるのです。

本当に今回のことは恒例ですが

 

転売ヤーのお陰で儲かってた」も変。

「中国の法律が変わったから売上減る」も変。

ましてや「法律が変わっても中国人が来やすいように制度設計を見直そう」はもっと変です。

 

どうせこっちが制度設計見直してもまた中国が法改正をしてくるだけなので"イタチごっこ"です。なぜなら中国政府は自国の内需を強化するために、外に出ていくのを防ごうとしているのですから。当たり前です。中国としては自国の経済を発展させたいのであって、外国に儲けさせるために国家運営している訳ではないのです。

 

インバウンドなどという横文字を使って誤魔化していますが、外国頼みになると外国の経済状況や政治状況によって日本が右往左往することになります。はっきり言ってインバウンドを推奨するということは、経済を外国に人質として差し出してわざわざ相手の立場を有利にする政策なのです。そして、それはインバウンドが進めば進むほど増々強化されます。「外国様の言うことを聞いておかないと経済が〜〜〜」ということになってしまうのです。

 

日本は貿易立国というのは間違い。

日本では小学校から「日本は貿易で成り立っている国」だと教えられますが、あれは大嘘です。日本の貿易依存度はいまだに25%程度。ドイツ約70%、イギリス40%、シンガポールなんて230%ですよ!

実際2017年度の統計では日本の貿易依存度は世界で186位。アメリカのような資源大国はかなり例外的ですが、いわゆる先進諸国の中ではダントツに低いのが日本です。それは戦後から変わっていません。

日本はずっと内需型の国なのです。そのような巨大な内需国がわざわざ外国依存を高める必要はまったくないし、政策的にも行うべきではないのです。

 

そんなことをやっている暇があったら、たとえば社内留保を積み上げている大企業の法人税をもっと上げて労働者に還元することで消費を活性化し、弱った内需をもう一度鍛え上げるべきなのです。

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

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