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馬鹿げた“無職の専業主婦の年金半額案”

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 何かと世間を騒がす年金受給の問題ですが、いわゆる「第3号被保険者」と呼ばれる専業主婦の女性達への「年金支給額を削ろう」あるいは「 徴収する額を増やそう」という動きがあるようです。 

記事によりますと

共稼ぎの妻や働く独身女性などから「保険料を負担せずに年金受給は不公平」という不満が根強くあり、政府は男女共同参画基本計画で〈第3号被保険者を縮小していく〉と閣議決定し、国策として妻たちからなんとかして保険料を徴収する作戦を進めている。

そうで、具体的には

  • 国民年金保険料を払ってもらう案
  • 妻には基礎年金を半額だけ支給する案
  • 夫の厚生年金保険料に妻の保険料を加算して徴収する案

などが挙がっているそうです。

これに関してネット上では専業主婦の方々から「専業主婦だからと言って何も働いていないわけではない!」と怒りの声が溢れているようです。

専業主婦と言ってもほとんどの人は何もしていない訳ではないでしょうし、それどころか子育てしている女性にとっては、「子育て馬鹿にすんな!」と声を上げたくなるのも当然でしょう。

 

ただ、この年金受給を含んだ社会保障に関しては、いろいろと誤解されているところがあると思いますので、今日はそのことをちょっと話してみたいと思います。

 

日本の財政危機と社会保障の危機は関係ない

今回の年金受給金額の半減策や、年金を徴収する手段を増やす策のどちらにも言えることなのですが、これらは基本的に「日本は財政危機でお金がない。お金をどうにかして調達するか、支出を絞らないと日本の社会保障は破綻する」という考えが基盤になっています。

 

ですが、そもそもこれが間違えているのです。

 

理由は至極簡単で、日本が財政破綻するなどということは絶対にありえないからです。まぁ、第三次世界大戦とかが起これば別ですが、それを考えてたら何もできませんからね。

したがって、日本の財政危機が問題になって年金を始めとした社会保障が提供されなくなるなどということはあり得ません。

 

なぜならお金が足りないのであれば、「通貨発行権」がある日本政府が発行すれば済む話です。それだけです。

実際今の日銀総裁の黒田氏が財務省に在籍していた際、海外の格付け会社が日本の「信用が落ちた」として格付けを落とした時に、「通貨発行権を持つ日本が財政破綻することなんてありえない! おたくの会社は何をもって日本が財政破綻するなどと言っているのか!」と言って、クレームをつけたことがあるんですよ。

お金の話であれば、それで解決するはずなのです。だから、専業主婦だからと言って受給金額をへらすとか、徴収金額を上げるとかする必要はないのです。

 

社会保障の問題点

社会保障において「日本が財政破綻する〜」などというお金の問題は、全く問題にはならない。では何が問題なのか?
問題は例えば高齢化して受ける必要が出てくる介護サービスや、何かの商品を作るための生産能力が日本になければ、お金がどれだけあったとしても意味がないということです。
だってそうじゃないですか?
将来不安のために今からすごくお金を貯めていたとしましょう。1億でも2億でも良いです。でも、介護をする人がそもそもいなかったらどうしますか?
介護をするロボットが完成していなかったらどうしますか?
入院するための病院がない、ベッドがない、医者がいない、そんな状況だったらどうしますか?
 
そんな時に1億とか2億のお金があっても、何の意味があるのでしょうか?
 
問題はお金ではないのですよ。
私たちが年をとって介護などのサービスが必要になった時に、そのサービスに応えられる供給能力があるかどうかが問題なのです。お金なんて日本政府が発行すれば何とでもなります。でも、そのサービスの供給能力は、お金を発行するように生み出すことはできません。
今から将来のサービスを提供できる人間を育て上げる人たち、そして社会、教育といった環境をより強化していくこと。それこそが大事なのです。
 
そうであれば、むしろ専業主婦の方がより高度なサービスを生産でき、社会貢献できるような立派な人間を育てる時間や環境を確保することの方が、よっっっっぽど大事なことなんですよ。
(もちろん、専業主婦だけじゃありません。共働き世帯にとっても同じことですよ!)
 
もう一度言いますが、社会保障において「お金をどこから調達するか」とか「お金が出ていく量を減らす」とかいうことは“どうでも良い”のです。
そのことをちゃんと国民で共有しない限り、「あいつらばかり良い思いしやがって」というような恨みつらみが増加する「憎悪の連鎖」を断ち切ることはできません。そんなことをやっていても誰も幸せになれないのだということに気づかなければならないのです。

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

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