大学生の半分が奨学金頼り。国は教育への投資をケチるな!
今、大学生の二人に一人が利用しているもの。
皆さん、何か分かりますか?
それは“大学の奨学金”です。
私が大学生だった20数年前は奨学金を利用している人はほとんどいませんでした。国立大学だったので、そもそもの授業料が私立大学に比べたら安かったというのもあるかもしれませんが、私立に通っている友人でも奨学金を使っている人はそれほどいなかったと思います。
それがいまや二人に一人!
ちょっと驚きの数字です。
タダで貰えるならまだしも、奨学金は基本的には借金です。それをなぜこんなに多くの学生が利用しているのでしょうか?
高すぎる授業料
私が大学に入学した20数年前は、入学金と授業料で40数万円だった記憶があります。
ところが、先日毎日新聞が報じていたところによると、2016年度入学者の入学金と授業料の合計金額は
国立大学: 81万7800円
公立大学: 93万1200円
私立大学: 113万1200円
だそうです。高い!
平成初期と比較すると、国公立大は約2倍、私立大は約1.5倍にまで上がっているとのこと。めっちゃ高いですね!
奨学金で経済破産した人が1万5千人以上
下記の朝日新聞の記事によると、奨学金で破産する人数は2016年までの5年間で1万5,338人にのぼり、そのうちの7,230人は連帯保証人や保証人。つまり、破産した人の半数が両親や親戚などの親族が学生本人の本人の代わりに連帯保証人になって、奨学金を返済できず自己破産せざるを得なくなったということです。
教育というのは将来世代の育成のためにとても重要なインフラの一つですが、そのために破産する人が増加しているというのは、ちょっと異常な事態だと言わざるを得ません。
なぜ公的資金が投入されないのか
これほど学費が高くなった理由は、大学教育への公的資金の投入額が少ないことが大きな原因です。その一方で、家計の負担は大きく、その割合は経済協力開発機構(OECD)加盟国中、英国に次ぎ2番目に高いと言われています。
では、なぜ公的資金・・・つまり政府からの補助金が少ないのでしょうか?
答えは簡単。
「日本の財政危機」です。
またこれか・・・って感じで嫌になりますが、実際そういうことになっています。
実際、1980年には私立大学ではその収入の3割が政府からの補助金(いわゆる私学助成金)でした。ところが丁度この頃から例の「日本は借金で経済破綻する!」というデタラメが広まり、私学助成金は削減。今では私立大学の収入に対する割合は1割にまで減少しています。
その分大学側の収入は、学生の「学費」への依存度が高まっているわけです。
同じことは国公立大学でも言えます。特に2004年の独立法人化以降は補助金は減少し、2016年までの12年間で約12%も減額されました。
そりゃ、大学側の立場に立てば学費値上げせざるを得ませんよ。
財政危機で教育への投資が間違っている理由
しかし、そもそもこの「財政危機だから教育費を削る」考え方は少なくとも二つの点で間違っています。
1) 人材育成を劣化させる
まず第一に、教育への投資を削減することは、将来の日本を担う人材の教育を損なうことです。
財政危機を解消しようというのなら、税収を増やさなければなりません。
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税収はGDP (国民総生産)が基盤になっています。
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そのGDPを生み出すのは人間の生産活動です。
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国民がより多くのGDPを生み出せるようになるためには、国民の生産性を向上させなくてはなりません。
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したがって財政危機を解消するというのであれば、生産性を高めるための教育により投資をするべき。
というのが本筋です。
ところが、それと逆に国による人材教育への投資を減らせば、その分私たち家庭が負担する割合が増加していきます。もちろんバブル期のように民間企業の景気が良くて、サラリーマンの給料も右肩上がりの状況であれば、それでも良いかもしれません。
ですが、今はデフレ不況です。民間も家庭もお金がなくて困っている時に、政府までが教育投資を絞ったらその分教育の質は低下してしまいます。
ですから、「財政危機のために支出を絞る」という緊縮財政はすごく短期的な目で見れば正しくても、5年、10年、それ以上という中長期で見れば財政危機を助長させることになります。
2) そもそも日本に財政危機はない
上の(1)のような話をすると必ずと言って良いほど「じゃあ、その補助金の財源はどうするんだ? 日本は借金まみれで財政危機なんだぞ!」という声が上がります。
ですが、そのような反発は完全に的外れです。なぜなら日本にはそもそも財政危機は存在しないからです。
財務省やら、テレビや新聞と言ったメディアがデタラメの「日本は財政危機!」論を展開しているので、まだまだ多くの人たちが「日本は借金大国だ! いつか破綻する!」と思っていますが、日本が財政破綻することは絶対にあり得ません。
その理由をごく簡単に説明すると
日本の借金1,000兆円とか言いますが、私達国民が借りている訳ではない。
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お金を借りるのは日本政府。
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日本政府が借りるお金は日本円です(ドルやユーロではありません)
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日本政府は通貨発行権があるので、日本円をいくらでも発行できます。
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つまり日本政府はいくら借りても全部返済することが可能です。
※インフレ率が正常な範囲に収まる限り。
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というわけで、日本政府が借金返済不能に陥ることはあり得ない。
です。
※このことは以前にもブログに投稿しましたので、良かったらこちらもご覧ください。
という訳で、ありもしない財政危機を理由に補助金を削減し、学生やその親世代に負担を強いることはナンセンスです。
全くの嘘、デタラメをもとにして学生や親の生活を困窮させるのですから、「政府による国民いじめ」以外の何物でもありません。そしてそれによるツケ・・・つまり国内の富を生み出す力が衰えることによる損害は私たちが被ることになるのです。
大学生やその親が借金漬けになることなく、自分が学びたいことを精一杯学べる環境を作る。衰えたとは言っても世界第三位の経済大国なのですから、そんなこと当たり前じゃないでしょうか。
少なくとも自分の子どもたちが「お金がないから・・・」という理由で、大学に行くことすら躊躇するような社会であることは絶対におかしいというのは間違いありません。
今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆