政府の就職氷河期世代支援が酷すぎる。この世代の本当の苦しみを教えてやる。
就職氷河期世代。
この言葉をご存知でしょうか?
Wikipediaの説明ではこのように説明されています。
就職氷河期(しゅうしょくひょうがき)は、社会的に就職難となった時期の通称。
就職氷河期に該当する世代は、様々あるが、一般的には、1990年代半ばから00年代前半に社会に出たり、2000年前後に大学を卒業した、2019年(令和元年)現在40歳前後の世代のことだとされる。
要するにバブル崩壊直後に大学卒業や高校卒業を迎え、就職が非常に難しかった世代のことです。
その影響は今でも続いていて、未だにまともに正社員として働けていなかったり、あるいは働いたことすらなく家族に養って貰っている人たちも数多くいます。
そんな就職氷河期世代を支援しようと政府が昨今積極的に動いているように見えます。
・・・が、本当にそうでしょうか?
あまりに遅すぎる支援
記事によりますと
政府はバブル崩壊後に高校や大学を卒業した「就職氷河期」世代の就職支援を本格化させる。30代半ばから40代半ばの人たちは、他の世代に比べ国内外の厳しい経済情勢の影響で不遇な労働状況に置かれたとみて、年齢層を絞る異例の対策を講じる。正規雇用で半年定着したら、研修業者に成功報酬型の助成金を出す。支援対象は100万人規模で、経済や社会保障の支え手になってもらう狙いがある。
とのことです。
最近ちょこちょこ話題に上るようになったこの就職氷河期世代への支援。
世代のど真ん中である私としては
「今頃何言っとんじゃーーー!! 10年、いや15年遅いんじゃーーー!!」
というのが正直な気持ちです。
記事にもある通り就職氷河期世代は既に30代後半〜40代半ばという年齢に達しています。
本来であれば社会の中核として頭角を現し始め、もう間もなく日本の屋台骨を支える人材に育っていて良い年代。
既に結婚し、子育て真っ最中。さらには親世代の介護も視野に入れなければならない。そんな世代です。
もちろん"まともに就職してキャリアを積めていれば"です。
ところが、就職氷河期世代のうち非正規で働く人や非労働力人口、完全失業者は合計で600万人を超えており、非常に多くの人達が不安定な生活を余儀なくされています。
この世代の人口は2,000万人に上ると言われますが、厚生労働省の「人口労働調査」によると、この世代の未婚率は30%以上。以前は当たり前だった生活が突然当たり前でなくなった世代。それがこの就職氷河期世代なのです。
そもそも支援策の内容が酷すぎる
それではその支援策の中身がどういう物かというと・・・
支援の柱になるのは成功報酬型の民間委託だ。専門知識やスキルを教える民間教育機関が非正規雇用者に半年程度の訓練や職業実習をした場合、国から経費の一部として最大20万円出す。さらに受講者が訓練などを始めてから8カ月以内に正規雇用の職に就き、半年間きちんと働ければ追加で最大40万円を支給する。
おいおいおい・・・・マジですか。
「マジですか?」と思ったのは私だけですか?
「これ考えたやつって、とんでもないアホなんじゃない?」と思ったのは私だけですか?
そもそも就職氷河期世代がこのような状況になってしまったのは、完全に国の政策が誤ったからです。
バブルが崩壊し日本経済が大混乱になっていたのに5%へと消費税を増税(1998年)。
緊縮財政によるデフレ強化政策。
労働の自由化、雇用の流動化などと言って、労働者を守っていた規制の撤廃や緩和(規制緩和推進による1999年には派遣業務を原則自由化。2004年には製造業への派遣業務を解禁)。
などなど・・・デフレ化を推進する政策を実行しまくったからです。
その責任を取らずして「成功報酬型の民間委託が支援の柱」???
しかも、民間業者が半年間教育を行ったら20万円プレゼント!
さらに、8ヶ月以内に正社員になれたら追加で40万円プレゼント!
こんなの絶対に支援金目当ての悪徳業者が違法スレスレの行為をするに決まってるじゃないですか!
例えば
ハローワークとかで就職口を探している人を見つけてきて、半年間教育を施し20万円ゲット。
↓
適当に付き合いのある就職先に就職させて40万円ゲット。
↓
ほとぼりが冷めた頃に解雇。
↓
再度半年間教育を施し、再び20万円ゲット。
という無限ループも可能じゃないですか(笑)。
いくら何でもそこまで露骨なことは・・・と信じたいですが、何と言っても内閣の非常に近いところにいる人が、あの人材派遣会社パソ○の竹○氏ですからね。
自分たちに都合の良い抜け穴なんぞ、いくらでも作り出せるでしょう。
要するにこれは「就職氷河期世代をエサにした、特定民間企業への利益供与」なんですよ。
「やらないよりはマシ」は本当か?
ネット上ではこの怪しい支援策でも「やらないよりはマシ」という声もあります。
しかし、敢えて誤解を恐れずに言わせてもらうなら「こんな政策ならやらない方がマシ」です。
なぜならこういう中途半端な対策でも「一応政府は必要ない対策を行った」という実績が出来てしまうからです。
その先にあるのはいつもの自己責任論。
「政府は必要な対策を行ったのだから、それでうまく行かないやつは自己責任。」
「就職氷河期世代を甘やかせるな!」
「日本は借金づけなのだから、やつらだけ甘やかす余裕はない!」
という就職氷河期世代への反発が必ず生まれます。
本当に申し訳ないのですが、あえて誤解を恐れずに言わせて頂くと、「やらないよりはマシ」だと言っている人たちは就職氷河期世代の苦しみを全く分かっていません。
就職氷河期世代の最大の苦しみとは何か?
そもそも就職氷河期世代の抱える問題は、雇用の不安定やそれに伴う経済的不安だけではありません。
この世代を表現する言葉にロストジェネレーションというものがあります。
日本語で言えば「失われた世代」ということですね。
これは単に経済的な意味で稼ぎの中核となる力を失った人たちという意味だけではありません。
私はこの世代は「社会から切り捨てられた世代」だと考えています。言い方を変えれば「失われた世代」ではなく、「社会がこの世代を失うことを選択した人たち」です。
バブルで浮かれまくった直前の世代の人たちは、バブル崩壊という大事件に全く対処出来ませんでした。
左右を行ったり来たりして、自分の資産がどれだけ目減りするかだけを考え、これから社会を担う人間のことなど全くお構いなし。
自分たちはたまたま時代の流れに乗って良い思いを散々してきただけにも関わらず、「就職困難者は自分の努力が足りないだけだ。自己責任だ。」と言って、バブル崩壊による社会混乱のツケを支払わされているロスジェネ世代を切り捨てました。
インターネットが発達した現在であれば、企業側が就職希望者に対して不道徳な行いをすれば、それがあっという間に拡散しますので、下手なことは出来ません。
ですが、当時はまだSNSなどもありませんでしたので、どれだけブラックな言動をしてもお咎めなし。
この世代で就職活動をした人のほとんどは、自分がどれだけ努力をしても報われないどころか、少なからず非人間的な扱いを受けた記憶があるはずです。それでも「就職できただけでマシ。命拾いした。」と思っていた。
また、当時はまだ就職活動がそこまで厳しい状況に激変したということが世間で認知されていませんでしたし、「フリーター」などというものも"穀潰し”程度に思われていました。
したがって、就職が決まっていないというだけでご近所さんや親戚などから「大学卒業して就職も決まってないなんて・・・」と白い目で見られることもありました。
その上、学生を送り出す大学側の方もバブル期の”黙っていても学生は勝手に就職していく”時代の空気にどっぷり浸かっていたので、学生の就職支援をするなどという考えはほとんどありませんでした。
※この点は学校によって違いがあると思いますが、私の学校は国立だったことが逆に災いして、企業からの募集用紙を掲示板に貼り付けているだけでした。窓口に相談しても、「そこの掲示板に企業の連絡先書いてあるから勝手に電話して。」程度の扱いでしたね。
要するに、会社からも、学校からも、社会からも、下手すれば家族からも“要らない子”扱いされた人たちが数多くいた世代。
それがこのロストジェネレーション世代、あるいは就職氷河期世代なのです。
彼らにとっての最大の苦しみは就職できなかったことそれ自体ではありません。
それよりも「社会に切り捨てられた。」こと。
そして、バブル崩壊という一個人の努力ではなんともしようがない状況を「お前の努力が足りないからだと社会に見放された。」という事実です。
だから、彼らに必要なのは「あなたの存在が社会にとって必要である」という確信を得させることです。自分が必要とされているという確信がないこと、そしてそれによる人間としての尊厳の喪失。それこそがこの世代が抱えている闇なのです。
これを見落としてはなりません。
ところが政府の支援策から見て取れるのは、単なる「就業支援」であり「お前ら仕事欲しいんだろ?」と、自分たちの失政をこの世代のせいにして見下している姿勢です。
しかも、最初に書いたように支援金を支払うのは民間業者に対してであり、これは国民の税金を社会ではなく、特定企業に再分配するための単なる利益供与でしかありません。
政府よ。
官僚よ。
そして、利権に群がる民間業者たちよ。
就職氷河期世代をなめるのも大概にしろ!
この世代の闇を理解することができなければ、必ず日本という国を食いつぶす時が来るぞ!!
今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆