世界を救う読書

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遅読家にオススメの身になる読書法「精神科医が教える良質読書」

本が速く読めるようになりたい!

限られた時間でたくさん読書をしたい!

遅読を解消したい!

このような願望は多くの人が持っていると思いますが、そんな方にオススメの一冊を今回はご紹介。

それがこちら

 

名越康文著「精神科医が教える良質読書」です。

精神科医が教える 良質読書

精神科医が教える 良質読書

 

 

この名越康文さんという方は知る人ぞ知る精神科医の権威 (と言われると本人は嫌がるでしょうが (笑))。

ですが、いわゆる医者としての活動に加えて「精神を患っている」とまではいかないまでも、何かしら心に負担を抱えている人にアドバイスをするような活動を行っていらっしゃいます。

精神科医でありながら、歯に衣着せぬ物言いで多くの支持を集めています。

特に最近は超人気の占い師である「しいたけ。」さんとのコラボレーションなどで有名になっていますね。

 

さて、そんな精神科医の名越先生。実は本を読むのはあまり好きじゃないそうで(笑)。

「それじゃ、読まなければ良いじゃん」と思われそうですが、やはり精神科医という職業上、そしてメディア出演や講演の際のアウトプットに必要ということで努力して読書をしてらっしゃるそうです。

そして、名越先生が本を読まれるもう一つの理由は「自分に会うため」つまり「人間とは何か」を考えるためだそうです。何か深いですね・・・さすが精神科医。哲学的です。

ただ、基本的には読書嫌いで、読むのも遅い。

そんな読書嫌いの人が勧める「良質読書」とはどんな物なのでしょうか?

 

[目次]

 

良質読書は「速読」とは違う。

「精神科医が教える良質読書」というタイトル通り、この本の内容は“大量に”、“素早く”読むためのものではありません。いわゆる「速読」とは全然違います。

そこを勘違いするとこの本の評価は180度変わりますので、ご用心ください。

名越先生が勧める「良質読書」というのは、「素早く一冊の本を読み切る」ことでも、「読んだ本の内容を完璧に理解する」ということでもありません。むしろ一冊の本を綺麗に読み切る必要はない、というものです。

 

名越先生はこう書いています。

 

「つまらない本を最初から最後まで読むのは、私にとって悪です。人生は必ず終わりが来ますし、時間はどんどん減っていくのですから、自分の時間の無駄遣いです。

誰でも知っているけど意外と意識していないのが、この『人生は日々、減っていっている』ということです。私の読書術は、それが基本になっている読書術なのです。

 

と。

つまり、そもそも人生の時間というのは限られているのだから、自分が面白くないと思う本に時間を使うのは無駄だということです。そんなことに時間を使うくらいなら、自分にとって必要だと思う本の、しかも重要だと思うところだけを読んでしまえば良いという訳です。

 

良質読書にまず必要なこと

この本の中でも書かれていますが「本は一章を読めば大体内容が分かる」。だから自分が大したことないなと思ったら、さらっとななめ読みすれば良い訳ですし、何なら読むのをさっさとやめてしまった方が良いのです。

つまり、いきなり読み進めるのではなく、まず「この本がどの程度読む価値があるのか」を判断すること。そして、その価値に合わせて読み方を変えれば良いというわけです。

 

私もこれは完全に同意します。

真面目な人ほどよくあると思うのですが「こういうことを学びたいのだったら、この本は読んでおくべき」とか「ビジネスマン必読!」とか言われると、大して読みたいと思わなくても読んでおかなくちゃいけないのかな?と思って手を伸ばすことってありませんか?

しかも、それが理解できないと「全然分からない・・・。この位知っていないようじゃ、私は駄目かもしれない・・・」と余計に焦りを感じてしまう。

真面目な人であるほど、何か悩みや迷いがある人ほどその傾向は強くなると思います。

 

でも、そのような「出版社のプロモーション」に引っかかっていたら、特に自分が興味ないような本ばかりに埋もれて、本当に自分に必要な本を読む時間がなくなります。

そういう意味では、名越先生が仰るように「無駄な時間を使わない」「その本に自分の時間を使う価値があるのか考える」というが、良質な読書をする上で最も重要なことだと思います。

 

本の必要な部分だけ身につける方法

そのようにして自分が読むべき本を選別ができたら、後はその本の内容をいかにして身につけるか? です。

私は名越先生と違って読書が好きです。

読書をしているとストレス発散になるし、時間を忘れて没頭してしまいます。

ただ、それだけだと“本に飲み込まれて”しまって、その本から何かを身につけるということが弱くなってしまうことがあります。平たくいえば、読むだけで満足してしまう、という感じですね。

名越先生の言葉を借りれば

 

「1000冊読んでもバカなままの読書と、一日2行でも成長できる読書の差」

 

といったところでしょうか。

 

この本では、この「1日2行でも成長できる読書」の方法が書かれています。

どれも特殊な技術は不要で誰でもすぐにできる簡単な方法がいくつか書いてありますが、これをここで全部書いてしまうと著作権侵害で怒られてしまいますので止めておきます(笑)。

興味がある方は是非本書をお読み頂きたいのですが、私が「面白いな〜」と思った読書方法を紹介しておきます。

 

本を読むのに集中力は不要!

これは「読書法」というか「読書に対する考え方」みたいなものなのですが、それは

 

集中力ならぬ”散漫力”によって読書の効果を上げる

 

というものです。

集中力はよく聞きますが、散漫力はあまり聞きませんよね(笑)。

半分謙遜だとは思うのですが、この名越先生は読書嫌いの上に集中力が低く注意力が散漫で、1つのことに集中できない質なんだそうです。ただ、その名越先生がカウンセリングの先生にこんなことを言われたそうなんです。

 

「名越君はつくづく集中力がないね。でも散漫力はとてもある。いや、きみの散漫力はすごい。その散漫力を生かして勉強しなさい。」

 

と。その散漫力を生かした読書法こそが自分に適しているのだと思ったのでしょう。

具体的には難しい本を一冊集中して読むのではなく、自分がすらすら読めるレベルの本を何冊か代わる代わる読むのです。そうすると集中力がない人でも飽きないだけでなく、「あ、この本とこの本のこの部分ってつながってるな〜」とか新しい発見があって、より深く本の意味を理解できるようになるのだと。

 

真面目な人であればあるほど一冊の本をしっかり最初から最後まできっちり読もうとします。で、長すぎて挫折する。

まぁ、よくあるパターンですね。私もあります(笑)。

でも、本当に面白い本だったら「最後まで読もう!」と力まなくても面白くて最後まで読みたくなるはずなんです。それが苦痛だと感じるなら、その本がつまらないだけ。読めない人のせいでもなんでもないのです。

つまらないと思えば無理して読む必要はないし、当然そんな本を買う必要もない。さっさと別の本に移り変えれば良い。そして、どんどんと新しい本と出会っていけば良いのです。興味がある分野であれば10冊もパラパラと読めば1冊は本当に面白い本に出会えるでしょう。むしろ、そんな風にパラパラといろんな本を”注意力散漫に”読むことで、逆に理解が深まることの方が多い。そんな「散漫力読書」も全然アリだと思います。

 

本の読み方は無数にある

先程紹介した散漫力読書の他にもこの本では名越先生オリジナルの面白い本の読み方がいくつも紹介されています。

たとえば

 

・「直感力」で20ページで一冊を理解する

・多ジャンル組み合わせ読書

・「読むに値する本」か、「ただの紙の束」かを見分ける方法

 

などなど。

どれも面白い内容ですが、ひとつ共通していると思うのは「本にとらわれず、本との適度な距離を保つことでいかに本を”自分の物”にしてしまうか」という本との向き合い方が基盤になっているということです。

私もそういう所があるのですが、本をちゃんと読もうとすればするほど本の著者の言葉に引きずられて、都合が良いように思考を誘導されてしまいがちです。そうすると本の内容は理解できるのですが、それを応用することができないんですよね。

その著者が本を書く上で作った枠組みや前提条件の下では通用しても、自分の生活や考え方に取り入れようとするとどうも上手くいかない。薄っぺらい感じになってしまう。

 

やはりそれは「本に引っ張られてしまっているから」だと思うのです。言い方は悪いですが「本に洗脳されている」と言っても良いかもしれません。

それを避けるためにはちゃんと本との距離を保って、著者と対話するかのように読むことが大事だと思います。偉そうに言えば「わざわざ俺様が時間を取って話を聞いてあげようっていうんだ。ありがたく思え!」くらいの感覚で読む方が、意外と冷静に著者が言おうとしていることを把握できるように思います。

人間関係と同じでそういう距離感の保ち方というのは人によって全然違います。逆に言えば読書に「正しい読み方」なんて物は存在しません。人によって違って良い。この名越先生の本はそんな「人それぞれに合った自由で楽しい読書方法」を考えさせてくれるきっかけになるような本ではないかと思うのです。

 

文章もくだけた表現が多く、文字も大きく読みやすい!

読書に苦手意識がある人、もっと本を読む時の理解力を深めたいと思っている人にはぜひオススメしたい一冊です。

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

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