お金の秘密がわかる。「MMTによる令和新経済論: 現代貨幣論の真実」
突然ですが質問です。
皆さんが普段使っている「お金」ですが、あの薄っぺらい紙や硬貨をなぜみんなが欲しがるのか分かりますか?
金貨や銀貨、あるいはダイヤモンドであれば分かります。でも、紙幣はただの紙ですし、硬貨もそんなに高価な物質ではありません。ましてや、最近流行りの仮想通貨なんかはただの「0と1」の電子信号でしかありません。なぜそんな物に価値があるのでしょうか?
この謎を知ること自体も知的探究心を掻き立てられますが、それ以上にこの「なぜお金は価値があるのか?」がわかると、なぜ私達が日々の生活にあくせくしてお金を稼いでいるのか。
そして、なぜみんなが頑張っているのに日本人の生活が良くならないのか? が分かります。
今回はそんな「お金ってなんだ?」という問いに答える画期的な本をご紹介します。
それがこちら!
藤井聡著「MMTによる令和「新」経済論: 現代貨幣論の真実」です。
この本のタイトルにもなっている「MMT」というのは「Modern Monetary Theory」の略。日本語では「現代貨幣理論」と言われています。
この現代貨幣理論ことMMTの理論を理解すると「なぜお金が価値があるのか?」ということが分かります。そして、それを理解すると今まで視ていた世界が180度ひっくり返って視えるような、驚きの体験を味わうことになるでしょう!
[目次]
MMTは異端の経済学?
MMT、現代貨幣理論という言葉は今年になってからニュースや新聞で少しずつ取り上げられるようになりましたので、もしかしたら聞いたことがある人もいるかもしれません。
ただ、その取り上げられ方というのはなかなか辛辣なものでして、
異端の経済学
トンデモ理論
などと言われ、日本では麻生財務大臣が「日本をMMTの実験場にするつもりはない」などと非常に手厳しい言葉で批判していました。また、国会でも財務省がMMTを批判する文書をわざわざ作成して批判しています。
経済分野だけでなく、何か特定の理論がこれだけ日本中のお偉いさんから叩かれるというのも珍しいことではないでしょうか。
でも、逆にそんだけ叩かれるとむしろ「ちょっと面白そうだな」と思ってしまうのが人の性な訳で・・・(笑)。
なぜMMTは批判されるのか?
そもそもなぜこんなにMMTは世間から叩かれるのでしょうか?
実はこれはとても簡単で
MMTは現代の貨幣の意義というのを非常に分かりやすく説明する理論であること。
そして、これを理解されてしまうと、ここ何十年も世界で流布されてきた経済理論が全くのデタラメだったことが分かってしまうこと。
だからこそこれを理解されてしまうと、現在偉そうに経済を語っている経済学者のほとんどが「嘘つき」あるいは「無知」ということが明らかになって、露頭に迷ってしまうから
です。
だからこそ、今の経済理論の上で偉そうに発言している経済学者や経済アナリストにとっては、絶対にこの理論を認める訳にはいかないという訳です。
そんな危険な理論ってどんな物なのかww
MMTの根幹は非常にシンプル
この本で詳しく紹介されているMMT。
とても分かりやすく書かれていますが、根本から理解しようと思うとかなり大変です。ただ、その中心となるエッセンスは非常にシンプルです。
まず「なぜお金に価値があるのか?」という疑問に対する答えは
「徴税権のある国家が”このお金で納税しろ”と規定しているから」
です。
日本という国で言えば、日本政府が日本国民に課す税金は日本円で払うことが決められている。だからみんな日本円を使うのだ、ということになります。
「え? そんだけ??」と思うかもしれませんが、考えてみれば当たり前ですよね。
もし来年から「税金はアメリカドルで支払いなさい」と言われたらどうしますか?
日本円で給料貰っても困りますよね? (笑)
当面は日本円で貰った給料を銀行でアメリカドルに両替して納税するかもしれませんが、所得税、地方税、社会保障費、消費税・・・それを全部アメリカドルに両替しますか?(笑)
そんなことになったら誰もがこう言うでしょう。
「給料はアメリカドルでくれ!!」
とwww
日本では税金を日本円で払うことになっている。だから日本円の価値があるのだ。
こう考えると実に当たり前で、シンプルな話です。
お金を生み出す方法
ではこの日本円という通貨はどこで生まれるのでしょうか?
大きく言うとそれには2つの方法があります。
ひとつは政府が発行する日本円。そしてもう一つが銀行が発行する銀行預金です。
みなさんも学校で習ったと思いますが、政府には通貨発行権というのがありますので(いろんな制限はあるものの)自由に通貨を発行する権利があります。これはわかりやすい。
でももう一つの「銀行が発行する銀行預金」。これはちょっと「????」と思う人も多いのではないでしょうか?
「だって、銀行ってみんなからお金を集めて、それを運用してるんでしょ??」と思いますよね。
実はこれは間違いなのです。
お金を好きなだけ生み出す万年筆マネー
詳しい説明は本書をお読み頂くとして…(笑)、結論だけ言えば銀行はみなさんからお金を集めなくても、銀行預金を発行できます。実は銀行は元手の資金がなくても銀行預金を生み出すことができるのです。実際に銀行が企業などにお金を貸し付ける時は、借り手の口座に1億円とか数字を書き込むだけ。これを万年筆マネーと言います(昔の銀行は万年筆で口座に金額を書き込んでいたから)。
これはニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授も仰っていましたが、もし本当に銀行が私達から集めたお金を運用しているのだとしたら、お金を投資する時には私たちに「あなたのお金を使わせてください」と連絡をしてこなければならないはずです。
でも、そんな連絡が来た経験は誰もありませんよね?そうなんですよ。別に銀行がお金を運用する時は私達の口座のお金を使っている訳ではないのです。
元手となる資金がなくてもお金を貸し付けられるということは、貸し手である銀行側には貸し付け金の制約はないということになります。
その代わり、「貸したお金が返ってこない」とその銀行はその貸し付け金をまるまる負担しなければなりません。下手をしたら倒産します。
つまり、銀行がお金を貸し出す時に発生する制約は「借り手の返済能力」だということなのです。
これは世間の常識からはかけ離れています。でもこれが本当なのです。
理論的なことは本書に譲りますが、これが実際に起こっていることなのです。
「日本は財政破綻しない」というのはMMTから導かれる必然
MMTによると
・現代の貨幣は誰かが誰かにお金を貸した時に生まれる
・お金は貸し手の元手が仮にゼロであったとしても貸し付けることが可能だが、借り手が返済できなければ貸し手も破綻する
ということが証明されています。
この2つを日本という政府に当てはめるとどうなるでしょうか?
まず、日本政府にお金を貸し付けているのは日本銀行です。日本政府は民間の銀行からお金を借りているようなイメージがあるかもしれませんが、日本政府は民間の銀行には口座を持っていませんから、民間銀行から借りることはできません。あくまで日本銀行からしか借金できないのです。
したがって、日本政府がお金を借りる時は日本銀行からお金を借りることになるのですが、先程書いた通り日本銀行は日本政府にお金を貸し付けるときに元手は必要ありません。日本銀行が日本政府にお金を貸す時に、日本銀行の元手の額は何も関係ないのです。
しかし、これも先程書いた通り、借り手の資金力つまり「日本政府の返済能力」には縛られます。もし日本政府が借りたお金を返せなければ、日本銀行は破綻してしまいます。
では、日本政府の返済能力はどうなのでしょうか?
ここで関係してくるのが日本政府にだけ認められた「通貨発行権」です。日本政府は日本円を自由に発行できるのです。
そう。日本政府の返済能力に限界はありません。
これは何を意味するのでしょうか?
簡単です。
日本銀行はいくらでも日本政府にお金を貸し付けることができる。そして日本政府はいくらでも返済できる。
そうなんです。
日本の財政が破綻するなどということは原理的にあり得ないのです。
多くの人は「そんなバカなww」と、にわかには信じられないと思います。でも、これが現実なのです。実際、財務省自身が公式に「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と発表しています(※)。
(デフォルトというのは債務不履行のことで、「破綻」というのと同義です。)
※下記財務省HPに記載
という訳で、読書レビューの割にえらく長くなってしまいましたが(笑)、この本で紹介されている「現代貨幣理論 (MMT)」が示す「お金の正体」について説明してきました。
世間一般の常識からすると容易に受け入れることができないことばかりだと思います。しかし、このMMTから引き出される結論と同じこと、つまり日本の財政が破綻するなどということは理論的にあり得ないということは、日本が海外に示している公式見解なのです。「日本は財政破綻する!」と騙されているのは、私達日本国民だけ、というわけです。それが現実なんですから仕方ありません(笑)。
それでも「本当かよ???」と思う人は是非本書をお読みください。私のブログでは紹介しきれなかった理論的な内容を詳しく、わかりやすく説明してくれています。
今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆