世界を救う読書

ビジネス書から文芸書までさまざまな本を通して世界の見方を考えるブログ

5Gのメリットは? 知らぬ間に整備費用を負担させられる総務省の計画

f:id:Kogarasumaru:20200122174327j:plain


去年、一昨年頃からにわかに注目を集めている「5G」。

「なんか凄い早いネット回線なんでしょ?」くらいしかご存知ない方がほとんどだと思いますが、そんな国民をよそに5Gの基盤整備費用をネット利用者から徴収しようと総務省が検討を始めたようです。

 

「総務省が、光ファイバー回線を全国的に維持するため、負担金制度の設置を検討していることが20日分かった。光回線は高速大容量の第5世代(5G)移動通信を支える重要な基盤となるが、離島や山間部などでは整備や保守が難しい。大手携帯会社を含む通信事業者から幅広く負担金を徴収して、基盤を維持する案などが浮上している。 」

 

「5Gって何? おいしいの?」と言っている間に早くもお金を徴収されようとしている・・・恐るべし総務省!!

お金が取れるところからは片っ端から取れ!!という考えなのでしょうが、この総務省のやり方はそもそも政府のやり方として間違っています。今回は5Gってそもそも何なのか?というおさらいをして、そのためのお金を国民から徴収しようという政府の考えがなぜ間違っているのかを解説してみたいと思います。

 

[目次]

 

5Gとは何か

では、まず「5Gって何なの?」というところから始めましょう。

5Gというのは皆さんが普段使っているパソコンやスマホのインターネット回線の通信規格のことです。「G」というのは「Generation (世代)」のG。つまり5Gというのは5世代目の通信規格ってこと。今の主流は「4G」ですので、第4世代ということです。

iPhoneが出始めの頃は3Gでネットにつなげてもしょっちゅう接続不良になったり、つながってもメチャクチャ読み込みが遅く、イライラした経験がある人も多いでしょう。4Gになってかなり速くなりましたが、5Gになるとそのスピードが圧倒的に速くなります。

 

5Gのウリ文句は

 

1) 超高速&大容量通信

2) 超低遅延通信

3) 多数同時接続

 

この3つです。

それぞれの意味をちょっと詳しく紹介すると

1) 超高速&大容量通信

ただでさえ速い4Gですが、5Gの速度はなんと4Gの10~20倍以上!!

2時間のHD画質動画を数秒でダウンロードできるらしいです!

 

2) 超低遅延通信

現状の4GだとHD動画などの重いデータを読み込むときに、時々止まったり、動きが遅くなったりすることがあると思います。あるいはFace Timeとかでネット通話の時に、微妙に会話にズレが生じたりします。それが5Gの場合はほぼ“0”になるようです。

 

3) 多数同時接続

家でスマホを観ている時と違って、街中での人が多い場所でスマホを使うと動きが遅くなる時がありますよね? あれば大勢の人が1つの基地局に集中してアクセスしているのが原因です。いくら元が優れていても、同時に多数が押し寄せるとさばききれないってことですね。でも、これが5Gになると同時接続可能数が4Gの100倍以上!!

街中だろうが、電車の中だろうが恐いものなし!

 

5Gによって可能になること

5Gが凄いのは分かった。

では、それで何ができるようになるのでしょうか?

ネット接続の環境が良くなること以外でよく言われているのは、IoT・・・いわゆる「モノのインターネット」ですね。あらゆる物がネットでつながり、遠隔操作が可能になると言われています。

もう少し詳しく具体的にみてましょう。

 

1) 医療技術への応用

たとえば医療機器をネットで接続し、遠隔地から手術を行えるような技術です。これはロボット技術開発との兼ね合いも重要ですので、5Gになったらすぐ実現という訳ではありませんが、それでも5Gの超高速通信、超低遅延通信によって技術的にはかなり実現に近づきます。

遠隔地 & 緊急の場合などに、現在では不可能な高度手術を遠隔で受けられるようになる可能性があるのです。

 

2) 自動運転

自動運転と言えばAI (人工知能)の分野だと思われていますが、大量に行き交う自動車の運行状況を絶え間なく把握し、AIによる迅速な操縦を可能にすることで、車の衝突を回避したり渋滞状況に合わせて的確なルート設定をすることができます。

 

3) 防犯 & 防災

日々の安全な生活は誰もが関心を持つことだと思います。これも例えばセコムやdocomoなどが「バーチャル警備員」というものを開発しています。ディスプレイに警備員を映像化し、周囲の警戒監視や来客への自動応答などを行うそうです。

また災害の際には現在よりもはるかに細かい地域や地区の状況をリアルタイムに観測し、避難指示や避難ルートの情報を提供できるようになります。しかもスマホを通して、一人ひとり個別に適した情報を、です。

 

この他にも農業分野への展開で考えれば、気象衛星からのリアルタイム情報をドローンやトラクターと連携させて遠隔操作を行ったり、台風や大雨などの災害規模を予測して素早い事前対策を行うなどといったことも可能でしょう。
例を挙げればキリがありませんがこのように5Gの活用とは「スマホが速くなるんだよね」程度に収まらない、私達の生活を根本的に変えていく可能性がある技術です。

 

インフラ費用を国民に押し付ける愚策

ここまでいくつか5G活用の具体例を挙げて来ましたが、ここから分かるのは

「5Gとはビジネス分野だけでなく、医療や防災など幅広い分野での生産性を飛躍的に向上させるものである」

ということです。
つまり、この技術の導入は広い意味での生産性向上のために国として絶対欠かせない事業なのです。先立って導入されるのは東京や大阪などの大都市、あるいは大勢の人が集まる巨大商業施設が予定されていますが、そう遠くない内に全国レベルで展開しなければなりません。むしろ国民生活の利便性や安全性の向上という意味では、地方の方がこの技術を必要とする局面は多いと思います。

・・・であればこそ。
そうならばこそ、このような巨大事業は国が責任を持って推進するべきです。
そして責任を持つということは「お金を出す」ということが必ず含まれます。民間のお金に頼っていれば、(民間なので当たり前ですが)必ずその企業にとって有利になるようにことが運びます。そしてそれは多くの場合、日本国民の利益とは合致しません。例えば先程このような技術は地方にこそ必要だと書きましたが、民間の論理で言えば「なぜそんな儲からない所に金を出さないといけないんだ? 地方なんてこれから疲弊する一方なんだから放っとけ」となっても仕方ありません。
そのような国民の利益に反するようなことにならないためにも、国がお金を出して、責任を持って主導しなければならないのです。

最終的にいくら国民から徴収するつもりなのかは分かりません。

現時点では「国民から数円ずつ」などと言っていますが、この類の話は必ず「5円が良いなら、10円でも良いだろ。10円でも良いなら100円でも良いだろ。100円でも良いなら・・・」という感じで値上がりします。消費税が3%、5%、8%、10%と上がったのと同じ手法です。

具体的な金額がいくらであろうとも関係ありません。値段の問題ではないのです。

国民から徴収するということになれば、必ず
「今の4Gでも十分。なんで5Gなんかのために金を出さないといけないのか」
「全国に展開しようとするんだから金がかかるんだろ。人口減少する一方の地方なんかほっとけ。」
という不満が出ます (というか、ネット上では既に噴出しているようですが)。

“国民のための技術”が論争の的になり、国民を分断する論点になる・・・こんな馬鹿馬鹿しい話があるでしょうか?

5G技術によって得られるモノやサービスは非常に優れたものであり、我々の生活を一変させる可能性があります。そのために必要なお金を国がチマチマけちっている場合ではないのです。

 

ちなみにこういう話になると必ず「日本は財政赤字だから」「無駄を削れ」ということを言い出す人が必ずいます。ですが、それは間違いです。日本が財政破綻するなどということはあり得ません。この点については下記の投稿でも取り上げましたので、よろしければこちらもどうぞご覧ください。 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😄

このサイトについて プライバシーポリシー
Copyright ©2020 Sekadoku (世界を救う読書管理人)