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前回のこちらの投稿でデフレとは何なのかについて取り上げました。

今日は肝心の「じゃあ、どうやったらデフレから脱却できるのか?」ついての解説です。 

 

 

[目次]

 

インフレとデフレの違い

まず前回のおさらい的にインフレとデフレの違いを簡単に振り返っておきます。

簡単に言えば、デフレとはお金の価値が上がる現象のことで、反対にインフレがお金の価値が下がることです。したがって

 

・インフレだったら、お金は早く使った方が得。

貨幣の価値が下がっていくので、同じお金でも時間が経つと買える量が減るからです。

 

・デフレだったら、お金は使わずに取っておいた方が得。

貨幣の価値が上がっていくので、同じお金でも時間が経つと買える量が増えるからです。

 

ということになります。実はこの理解がかなり大事です。

「インフレは物価が上がること」「デフレは物価が下がること」と思っている人が多いのですが (間違ってはいないんですけどね)、それだけだと何が悪いのかが分かりません。

 

 

デフレの原因はお金が足りないから

先程デフレとはお金の価値が上がる現象だと書きました。ではなぜお金の価値が上がるのでしょうか?これは現在大騒ぎになっている新型肺炎による“マスク不足”を考えるとわかりやすいです。

 

新型肺炎の拡散に伴って全国的にマスクの品薄状態が続いているのはご存知の通り。そして、それにつけ込んでネット界隈ではマスクの転売が相次ぎ、一箱5,000円とか考えら得ない値段で取引されています。お金の価値が上がるのもこれと同じ。

お金が不足しているからみんなお金を欲しがる。だからお金の価値が上がるのです。

簡単ですよね。お金が足りないからみんなお金を欲しがるし、お金を使いたがらず貯金する。当たり前です。

 

じゃあ、どうやって解決すれば良いのか?

それも簡単です。供給されるお金の量を増やせば良いのです。アホみたいな話ですが、基本的にはデフレ対策ってこれしかないんですよ。ただ問題は「じゃあ、誰がお金を増やせるの?」ってことです。

 

お金は誰が発行できるのか?

お金の供給量を増やせばデフレは解消できる。じゃあ、誰がお金の供給量を増やせるのか? 

多分多くの人がピンと来るのは「日本政府」だと思います。通貨発行権というのを学校で習ったことを覚えているでしょうか? あれですね。通貨を発行できるのは日本政府だけということに決められていますので、民間人が偽札を作ったら逮捕されます。でも、実は日本政府以外にもお金を生み出せる機関があるのです。それが「銀行」です。

というのが、お金には銀行預金が含まれているからです。

 

「お金」というと、皆さん財布に入っている硬貨や紙幣のことだと思うでしょう。あるいはLINEペイとかPayPayと言ったデジタルマネーもそれに入るでしょうか。当たり前と言えば当たり前なんですが、皆さんが銀行に預けている銀行預金もお金に含まれます。

そして銀行というのは個人が住宅ローンを組んだり、企業が設備投資のために借金をしたりするようにして、個人や企業の口座のお金を増やすことができるのです。これを専門用語では「信用創造」と呼ぶのですが、その名の通りお金を“創造”しているのです。

 

という訳で、お金の供給量を増やせるのは「政府」と「銀行」。この2つになります。したがって、デフレを脱却するためにお金の供給量を増やそう!と思えば、この2つのいずれかがお金の供給量を増やせば良いわけです。っていうか、この2つのどちらかでしか増やせません。

 

デフレ状況でお金を増やせるのは政府しかない

デフレを脱却するためにお金を増やせ!

お金を増やせるのは銀行か政府のどちらか

どっちでも良いからお金を増やせ!

 

ということになるのですが、残念ながらデフレという状況では銀行は事実上お金を増やせません。なぜなら先程も書いたように、銀行がお金を増やすのは個人や企業にお金を貸し付ける「信用創造」という手段だけだから。つまり“誰かに貸さない限り銀行はお金を増やせない”のです。 これが問題なのです。

景気が良ければ民間企業の投資が増えますので、銀行からの融資も増えます。ですが、デフレの場合はお金の価値が上がっていきますので、投資で使うよりも貯金しておいた方が良いということになります。これは民間企業も同じ。銀行は誰かに貸すことでお金を増やすのですが、企業は誰も借りてくれない。

これは何を意味するでしょうか?

 

これは結局「デフレにおいては、銀行の信用創造でお金を増やすことは不可能」ということになるのです。まぁ「0 (ゼロ)」というわけではないですが、少なくとも景気を良くするほど巨額の信用創造はできないということです。

銀行が駄目となると、後はお金を増やせるのは日本政府しかありません。これはもうシステム的にそうなっているのでどうしようもないのです。

 

政府はどうやってお金を増やすのか

政府がお金を増やすというと、造幣局でお金をガンガン印刷するようなイメージが浮かぶと思います。ですが、実際に印刷したり、硬貨を鋳造すると経費がかなり掛かりますし、何より現代では個人でも民間でも現金での取引よりも口座での取引が圧倒的に増えていますので、紙幣や硬貨を作ってお金を供給するには限界があります。したがって、政府がお金を増やす時というのは、民間企業が持っているの銀行口座の金額を増やすことでお金を増やすのです。

 

民間企業の口座金額を増やすって言われても、多分「そんなことどうやるの? 銀行口座にお金を振り込むのか?」と思われるでしょう。

それができれば手っ取り早いのかもしれませんが、それはシステム的にできないことになっています。いろいろな理由があるのですが、一つには政府は民間銀行に口座を持っていないので、直接取り引きができないからです。したがって具体的な方法としては、公共事業などを発注しその支払代金として「政府小切手」という小切手を企業に渡します。企業はその小切手を持って銀行に行くと、口座に銀行からお金が振り込まれるという仕組みになっているのです。

 

つまり、政府が国内のお金を増やそうと思ったら公共事業を行うしかないということです。それによって初めて政府がお金を民間の市場に供給することができるのです。

 

公共事業を削れ!と言うのはデフレを脱却するな!と言っているのと同じ

ここまでの話をまとめると、“ある恐ろしい”ことが分かります。

それは

 

デフレはお金が不足している状況

デフレを脱却するにはお金の供給量を増やさなくてはならない

(デフレ下で)お金を増やせるのは政府だけ

政府がお金を市場に供給するには公共事業をやるしかない

結論

デフレを脱却するには政府が公共事業をやれ!

 

ということです。

「デフレ脱却」と「公共事業」はイコールなのです。

公共事業を減らせ! 公共事業は時代遅れ! 公共事業はやるな!と言う人は「デフレを脱却するな!」と言っているのと同じなのです。日本人のほとんどがそのことを理解していません。

 

もちろん公共事業と一言で言ってもいろいろな物があります。いわゆる道路工事もそうでしょうが、次世代通信規格の5Gへの投資、教育部門への投資、災害対策事業もすべて“公共に資する”のですから公共事業です。私も別に建設業界の人間ではありませんので(笑)、何に使っても構いません。ただ、何に使っても良いのですが、少なくともデフレという状況を脱するまでは政府はお金を使い続けろ! というだけです。

政府がそれをケチっている限り、どんな政策を打っても絶対に日本はデフレから脱却できません。絶対です。近代国家の財政システム自体がそういう構造になっているので、これはどうしようもないのです。

そしてデフレである以上は、われわれ国民の生活も苦しくなる一方です。しかし、国民のほとんどが「政府はお金を使うな!」の大合唱。それが実態です。

 

デフレとインフレ、その違いを理解している人は残念ながらほとんどいません。ましてやデフレとは何なのか?については、全くと言って良いほど理解されてないのが現実です。しかし、そのことが分かると、実は日本の景気が低迷し、私達の給料が増えない理由は、他でもない私達自身が「デフレを脱却するな!!」と叫び続けているからだということがわかってくるのです。この現実を一人でも多くの人が理解することが、私たちの生活が向上し、貧困の人たちが減り、社会格差を是正するために必要なのです。

  

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

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