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騙されて気分爽快!全国民が見るべき「映画コンフィデンスマンJP」

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かつては隆盛を誇りながら、すっかり勢いがなくなってしまった日本の映画産業。ここ数年話題になる物と言えばアニメ映画ばかりです。

しかし、状況でも数少ないながら名作というものは生まれています。

そのひとつが今回レビューをお届けするこちらの映画「コンフィデンスマンJP〜プリンセス編〜」。

出演者である三浦春馬の自殺など、色々な事情で内容以外のところで話題になっている今作ですが、内容は近年まれに見る良作です。

これを知らないなんて、確実に人生を損しますよ!(笑

※ネタバレを含む内容がありますので、閲覧注意でお願いします!

 

 

コンフィデンスマンJPとはどんなドラマ?

ご存知の方も多いと思いますが、コンフィデンスマンJPとはフジテレビ制作のテレビドラマです。2018年にテレビで放映されて、2019年に映画初作品「コンフィデンスマンJP〜ロマンス編〜」が上映されて大ヒット。今回はその映画二作目となります。

長澤まさみが演じる「ダー子」という天才詐欺師が、仲間詐欺師の「ボクちゃん (東出昌大)」「リチャード (小日向文世)」とチームを組んで、暴力団や美術品詐欺師、スポーツ興行詐欺師などとコンゲーム (騙し合い) を行い、悪者からお金を搾り取って懲らしめるドラマ。

 

最大の観物は悪役との間で繰り広げられる騙し合いバトルですが、実はそれを観ている内に視聴者も天才詐欺師ダー子に騙されてしまう“仕掛け”も観物。最後に「実は視聴者も最初からダー子に騙されていた」と判明する、緻密で大胆な騙し術が“騙されてもなお面白い”という爽快感を演出します。

 

テレビドラマでは国内での撮影でしたが、映画では舞台は日本を飛び出し海外へ。今回は南国マレーシアのランカウイ島。

北大路欣也が演じる大財閥の当主レイモンド・フウが亡くなり、莫大な遺産を巡る壮絶な争いが勃発。ダー子、ボクちゃん、リチャード、そして新しく仲間になった「コックリ」の4人が、その遺産を奪い取るためにランカウイ島に乗り込みます。

ところが、そこには今までダー子たちと騙し合いを演じた多くの一流詐欺師たちが集結。誰が敵で、誰が味方か分からない、命を賭けたかつてない規模の騙し合いバトルが勃発する!

 

こんな感じのストーリーになっております。

 

なぜコンフィデンスマンJPを好きになったの?

私がこの映画を観たのはテレビドラマ時代からのファンだったからですが、そもそもなぜファンになったのか?

理由はいろいろありますが、最大の理由は物語の最後の種明かしの時にわかる

 

「そこから騙されていたのか〜!」

 

という“騙された爽快感”です。

人間って不思議なもので、みんな心のどこかで「騙されたい」という気持ちがあると思います。

もちろん、詐欺とか実生活に被害が及ぶようなものは駄目に決まっています。

しかし、たとえば手品なんかも騙されるのが嫌な人ばかりなら、エンターテインメントとして成立しません。しかし、騙される分かっていながらも観てみたいと思うから、昔からエンターテインメントとして続いている訳です。

 

人間はちょこっと騙されるとイラッとしますが、根本から、壮絶に騙されると、逆にスカッとするんですよね。その壮絶な騙しが非常に面白い。

 

こんな人にオススメ

すでにファンの人にオススメなのは当たり前ですが、コンフィデンスマンJPのことを知らない人でも、こんな人にはオススメです。

 

  • 推理モノ好き
  • 人間成長ドラマ好き
  • オーシャンズ11とか、007シリーズとか、ちょっと大人向けのエンターテインメント好き

 

今作品で響いた言葉

  • 人はなりたいと思ったものには何にでもなれる
  • 私達は所詮偽物だから
  • 他人より優れていることが高貴なのではない。本当の高貴とは過去の自分自身より優れていることにある

※映画の中でのセリフなのでうろ覚えのため詳細は違うかも(笑)

 

プリンセス編は過去作よりドラマ性が高い

今回のプリンセス編を観て感じたのは、過去作に比べて人間ドラマ的な要素が強くなっていることです。

 

このドラマの紹介でも書いたように、コンフィデンスマンJPという作品は「人を騙す」というある意味ダークサイドの人間を主人公にしています。基本はエンターテインメント作品ではありますが、その主人公の特殊性によって人間の持つ闇の部分と光の部分というものをより深くあぶり出しているのが特徴です。

それによって単純な「悪者からお金を絞りとる」という勧善懲悪なドラマにならず、かといって「どんな悪者にも良い部分がある」みたいなエセ人情ドラマにもならない、深さがあります。

 

もともとそういうドラマ的な要素はありましたが、今回はとある理由で主人公と同じダークサイドに堕ちたひとりの少女を育て上げ、ダークサイドから表の世界へ送り出すというストーリになっており、よりドラマ的な要素が強くなっています。

ところどころで、主人公ダー子が今まで見せなかった人情味あふれるセリフを言ったり、ひとりの少女が少しずつ自分の努力で強く成長していくシーンがあったりして、思わず涙をそそるところがあります。

 

今回のプリンセス編はそういうドラマ性も含めて大変面白かったのですが、このドラマ性の高さが「良かった点」と「(敢えて…)イマイチだった点」につながっているのが複雑なところです。

次はその点について解説してみます。

 

プリンセス編の良かった点

ではまずドラマ性の高さ故の良かったです。

実は今までの作品では、出演者…特に主人公である天才詐欺師ダー子の心情を表現するようなシーンはあまりありませんでした。

それはこの作品の根幹であるエンターテインメント性を高めるために必要だったものだと思います。あまり人間性を出しすぎると“爽快に騙されて、笑える”という良さが失われてしまうため。

 

ところが今回はとある事情でダー子が拾った「コックリ」という女の子を育て上げる“母親役”をダー子が担ったせいもあり、親が子にかけるような愛情の片鱗が見えます。

ダー子が劇中で発した

 

「本物も偽物もない。あなたが信じればそれが真実よ。」

「あなたのいるべき所はここじゃない。あなたにしかできないことがあるのよ。」

 「私たち(詐欺師)は何にでもなれる。でも所詮偽物でしかない。」

 

といった言葉の数々には、

「人を騙すためにシチュエーションに応じて何者にでもなれる。でも、所詮自分たちは偽物でしかない。しかし、だからこそ“自分が信じたものこそ真実なんだ”と信じたいんだ。」

そんな一流の詐欺師(コンフィデンスマン)だからこそ感じる、哀しさや諦観が感じられました。

 

その寂しさを埋めるために何億、何十億というお金を稼ぐ。でも、結局お金ではその心の穴を埋めることはできない。

でも、それでも自分たちにはそれしかできることがない。

だったら、それで精一杯生きるしかないんだ。

そんな悲壮な決意が垣間見えるような気が・・・。

 

普通の人はそんな騙し合いのような人生を歩むことはありません。でも、ダー子がこの時思ったような悲壮な決意をしなければならない局面は、誰の人生にもあります。

自分だって望んだわけじゃない。けれど、これしか道がなかったんだ。だったら、徹底的に、そして楽しく歩んでやろうじゃないか!

そんな儚くもたくましい心の叫びに共感できる人は多いのではないでしょうか。

 

プリンセス編のイマイチだった点

では、次にプリンセス編のイマイチだった所について。

基本的にすごく面白かったのですが、敢えて言えば・・・というレベルです。

 

それはドラマ的要素が強くなった分、

 

少し表現がストレートになっていて、流れが先読みできるシーンがちょっと多かった

 

という点です。

例えば・・・・著しくネタバレなので文字色反転させますね。

<ここから>

コックリという新キャラが周りが敵だらけという状況の中で、少しずつ成長していく過程が描かれていくのですが、そのコックリの優しさに敵だった人達が徐々にほだされていきます。そして、その優しさの深さと強さに惹かれて、結局ひとりの人間として認めざるを得なくなるという流れなのですが、「ダー子のことだから何か裏があるに違いない」と思っていたら、実は何も裏がなかったという・・・。

もう一捻りあっても良かったんじゃないかと思いますが、あまり複雑にしすぎると“騙し合いバトル”という本筋に影響があったせいなのか、ちょっと単純な流れだったなという気がします。

<ここまで>

その分「騙された〜〜!」という爽快感は若干前回に及ばなかったかなぁと。

まぁ、それでも十分騙されたんですけどね(笑)。

実は最初から最後まで”とある人物”による壮絶な騙しだったのですが、それは映画を最後まで観た人だけが分かるお楽しみということで。

「そういうこと???そこまでは読めんかったわww」と思うこと請け合いです!(笑)

まとめ

という訳で、映画コンフィデンスマンJP〜プリンセス編〜をご紹介してきました。

イマイチだった点も書きましたが、元々がかなり面白い上で“敢えて苦言を述べるなら・・・”程度の話ですので、面白いのは間違いないです。映画館で観ても絶対損はないです。本当にオススメ。多分ね!

 

それと最後に一つだけ。

蛇足かもしれませんが、これだけは書いておかないといけないことが。

それはこの映画に出演した三浦春馬君が上映直前に自殺を遂げたことについてです。

私はブラディマンディーというドラマで初めて彼の演技を観たのですが、その時は正直言って「何だこいつは。なんでこんなやつにやらせるんだ。」と思いました (漫画の原作が大好きだったのでギャップが・・・)。

でも、その後、「陽はまた昇る」という別のドラマを観た時の上達ぶりに驚いたものです。その後もいわゆる代表作みたいなものはないものの、数々のドラマで演技を見るにつけ、彼の魅力に引き込まれていきました。

 

そんな三浦春馬君がコンフィデンスマンJPの世界にやってきたのは前作のロマンス編。

どんな女でも口説き落とすという恋愛詐欺師「ジェシー」という役でした。

イケメンだけど、頭が良く、上品な立ち振舞いはもうまさに「三浦春馬のための役」と言っても過言ではないほど、はまり役だったと思います。今回もジェシーが出るのをとても楽しみにしていました。

その三浦春馬君がまさかこのタイミングで命を落とすことになるとは夢にも思いませんでした。

若く、イケメンで、演技が上手で、歌も上手い。

何も不自由のない華やかな人物のように見えますが、心の中にとても大きな悩みがあったのでしょう。

間違いなくこれからもっと伸びる人物だっただけに、もうただただ残念です。映画の中で彼が出てくるたびに涙が出そうになりました。

今回は前作と違いメインキャストではありませんが、それでも彼の魅力が十分伝わる演技だったのは間違いないと思います。もし、このレビューを読んでこの映画を見る人がいてくださるなら、彼が演じた「ジェシー」の笑顔を記憶に焼き付けて頂きたいです。

三浦春馬君のご冥福を心からお祈りします。

 

 

という訳で、最後がしんみりしてしまいましたが、今回ご紹介した映画はこちら「コンフィデンスマンJP〜プリンセス編〜」でした!

 

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