世界を救う読書

ビジネス書から文芸書までさまざまな本を通して世界の見方を考えるブログ

真の教養を身に付けられるカンタン読書

昨今テレビや書籍、そしてYoutubeなどでもよく題材として取り上げられるのが「教養」です。特に大人向けの教養。

Youtubeで検索すれば「大人が身につけるべき教養」みたいな動画はいくらでも出てきますし、本屋に行けばかならず教養コーナーがあります。

そんな話題の教養ですが、多くの人が勘違いしていることがあります。それは「教養とはたくさん知識を身につけることだ」と思っていることです。

確かに教養と知識は密接に関係があります。しかし、「知識=教養」ではありません。

 

たしかに日々のニュースについてよく知っている人を見ると「すごいなぁ」と思います。あるいは古典文学なんかをよく読んでいる人を見ると「教養がある人って格好いい」と思ったりもするでしょう。

でも、「多くのことを知っている」というだけで教養があるといえるのでしょうか?

ものすごく色んな知識を持っている人でも、事あるごとに「ねぇ、ねぇ、これ知ってる。これって実はね・・・」と知識をひけらかす人を“教養がある人”と呼ぶでしょうか?

逆に「うっとうしいな、コイツ」と思うのではないですか?

 

「知識が多い = 教養人」ではないとしたら、教養がある人というのはどういう人のことを言うのでしょうか?

私が思うに教養がある人というのは、いろいろな物事に対する知識があるというだけでなく

 

“その時々の状況を分析して、過去の歴史や教訓から、その状況にふさわしい知識や考え方を示すことができる人”

 

ではないかと思います。

言い換えると“知識を組み合わせて新しい価値を生みだすことができる人”です。

その知識がほとんどの人が知らない珍しいことだろうと、誰もが知っている常識的なことだろうとそれはどちらでも構いません。重要なのは知識と知識の新しい関係性を見抜けるかどうかなのです。

 

現代社会で「教養」が注目されている理由もそこにあると思います。

ただ単に知識を取り入れたいだけなら、スマホでググってしまえばそれで解決します。誰かに聞くよりウィキペディアで調べた方が圧倒的に速い。

20年前なら「歩く生き字引」的な人にも高い存在価値があったかもしれませんが、これからは知っているだけでは生き残っていけません。既存の知識や考え方を応用して新しい価値を生み出せるかどうか、そこが重要になってきます。

そして、その力の土台になるのが「教養」なのです。

 

では、そのような教養を身につけるためにはどうすれば良いのでしょうか?

私がお勧めしたいのは読書です。まぁ王道ですね(笑。

ただ、普通の読書ではありません。

今回はある本を通して一風変わった「教養を身に付ける読書法」をご紹介したいと思います。

 

 

参考にするのがこちら。

 ピエール・バイヤール著「読んでいない本について堂々と語る方法」です。

 

 

著者紹介

まずはサラッと著者のピエール・バイヤール氏について紹介しましょう。

ピエール・バイヤールは、パリ第8大学教授。専門は精神分析です。

精神分析家でありながら、その知見を文学に応用した独特な文学批評論を展開している。著作に『アクロイドを殺したのはだれか』『シャーロック・ホームズの誤謬』など。

正直なところ私もこの方の方は全然知りません。なんならこの本で初めて知りました(笑)。

ただ、序論やあとがきなどを見ると

 

・仕事上書籍の批評をすることがあるければ、全部読んでるわけじゃない。

・なんなら全く読んだことがない本に対して批評せざるを得ない時すらある。

・カフェなんかで本について議論している人の話を聞くと、その人たちがその本を全然読んでないことがわかる。

・ほとんどの人は本をよく読まずに好き勝手に批判してるんだ。

 

みたいなことがあけすけに書いてあり、大学教授らしからぬ非常に面白そうな人物であることが伺えます。

 

“読まない読書”が重要!

私は先程「ある本を通して誰でも教養を身に付けられる方法をご紹介したい」と書きました。

そうすると恐らくみなさんは私が「この本を読めば教養を身に付けられる」みたいな本を紹介するのだと思うでしょう。

それは半分正解で、半分不正解です。

たしかに私はこれから教養を身につけるのにオススメの本を紹介します。

しかし。

私が紹介する本というのは「本を読まないことのススメ」なのです。

 

「読まないことをオススメする本をオススメする」???

なんかのトンチみたいですね。

 

本を読みすぎることは危険

著者であるピエール・パイヤールはこのように言います。

 

「教養ある人が努めるべきは、個別の知識を知ろうとすることではなく、さまざまな知識の“連絡”や”接続”である。」

「教養があるというのは、自分や該当する事象がどの位置に存在するかが分かっているということ。つまり、知識や物事が形作る全体像を把握し、それぞれがどのような関係性で位置づけられているのかを理解することである。」

 

※本書の中ではもっと詳しく書いてあるのですが、分かりやすいように抜粋・簡略化しました。

 

つまり、知識や事象そのものではなく「その関係性を見抜くことが重要」だと言っているのです。

 

たとえば読書についていうと、真面目で努力家の人ほど、一つの本を隅から隅までしっかり読もうとします。さらに順番もきっちり最初から順を追って最後まで。それが学校で習った「正しい本の読み方」だからです。

ただ、これは案外危険なのです。

ショーペンハウアーという19世紀のドイツの哲学者がいるのですが、彼も「読書について」という著作の中で

 

・本を読むことは他人に物を考えてもらうことである。

・読書ばかりして自分で考えないのは「習字の練習をする生徒が、先生の鉛筆書きの線をペンでたどるようなもの」

 

だと言って、読書の危険性を説いています。

我々は「教養を身につける」と言うとついつい「読書」に走ってしまいます。

しかし、実はこの「教養を身につける = 読書」という考え方はかなり危ういのです。

 

教養を身につけるためのクリエティブな読書

それではここまでを踏まえて、教養を身につけるために効果的な読書をひとつご紹介します。

これはピエール・パイヤールが本書の中で紹介している方法と、齋藤孝さんが「速読塾」という本で学生を指導する時に使う方法を合体させたものです。

誰でも簡単にできるし、お金もかかりません。

 

その方法とは

 

「買った本の"隣にあった本"をなぜ買わなかったのかを考える」

 

ことです。

 

ちなみにこの場合、実際に本を買ったかどうかはどちらでも良いです。「これを買おうとレジまで持って行こうとしたけど、スタバでコーヒー買えなくなるからやめた」でもOKです。

大事なことは自分が選別から落とした本に対して、なぜそれを買わなかったのかを考えることです。

 

書店で本を買うと大体買った本のことで頭が一杯になると思いますが、これはもったいない。

本屋に行けば必ず購入した本の近くに何冊か本が置いてあります。良い書店であるほど「これを探しに来たんじゃないけど、この本もメチャクチャ面白そうだな」という本が必ず陳列されているものです。

 

同じジャンルで、似たような内容の本が他にもあった。

それなのに「なぜあなたは他の本を選ばなかったのか」。

自分が選んだ本が他と何が違うのか。

この本とあの本のアプローチの違いは?

それぞれの著者の主張や根拠はどのように違うのか?

そもそもこの本はどういう社会的需要に応えようとして書かれたのか?

 

などなど、考えるべきことは山ほどあります。

しかもこういう思考をするために必要な手間は驚くほど簡単です。

せいぜい本の目次や序章を見れば十分ですし、下手すれば本のタイトルを覚えておくだけでも可能です。

しかもお金は一切かかりません!

しかし、このような本と本の関係性を考える思考こそが、情報を分析し、物事の関係性を見抜き、さまざまな状況に適した答えを導き出す真の教養を磨くことになるのです。

 

必要なのはあなたのやる気だけ。

それだけで単に本を読むだけ以上の教養が身に付けられること間違いなしです。

是非トライしてみてください!

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😊

今回の記事が気に入って頂けたら「イイネ!」してくれると嬉しいです😃

 

このサイトについて プライバシーポリシー
Copyright ©2020 Sekadoku (世界を救う読書管理人)