世界を救う読書

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パリの惨状を見ても、まだ民泊を支持する覚悟があるか?

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先日いよいよ「民泊」が解禁され、一部では「新たなビジネスモデルが生まれる」とか「ホテルビジネス2.0だ」とか騒がれています。

 

 

が、本当にそんな甘い物でしょうか?

 

民泊の本場と言えばヨーロッパ。

特に世界随一の観光立国であるフランスのパリがその花形でしょう。

当然パリでは民泊業が盛んですが、その有り様は惨憺たる結果を生んでいるようです。

 

例えば、アパートなどの所有者が普通に賃貸として貸し出すよりも、民泊に回した方が利益が上がるということから民泊営業に物件を回したため、パリ市内の家賃相場は数年で急上昇。既に賃貸として貸し出している物件を民泊物件へ回すために、わざと賃貸契約を延長せず住民を事実上追い出すようなことも横行。

 

しかし、追い出された住人も他の物件が同様に値上がりしているため、敢えて高額な物件で契約をするか郊外へ引っ越すなどせざる得なくなったそうで、住民が減って学級閉鎖に陥る学校も出ているとのことです。

 

また、パリでは民泊が死亡事故・性的暴行・盗難・火災・売春の温床になっている上、恐るべきことに、2015年11月に発生したパリ同時多発テロでは、その主犯格が潜伏先として民泊を利用していたことが明らかになっています。

しかしながら日本ではこういった負の側面はほとんど報道されていません。

 

パリでさえこの有様ですから、外国の方を招き入れる文化的下地が薄く、警戒心も薄い日本では一体どうなるのでしょうか。

 

そもそもこの民泊解禁の流れは主に国を挙げての「観光客を招いてビジネスに繋げるんだ」という、いわゆる観光立国論が下地にあると思います。

ですが、本当にそれは正しいのでしょうか?

 

以前騒がれた中国人の爆買いのように、一時的には確かに経済的に潤うでしょう。

しかし、その中国人におもねった結果、例えば大阪市内ではもう町中で聞こえる声が中国語ばかりで、この町はどこの国なんだ?という有様です。

 

そして、何より観光ビジネスのような外需頼みになるということは、自国の政策を決定する上でも常に外国の顔を伺わなければならなくなるということを意味します。

特に中国などは外交問題で少し日本とこじれると、すぐに人民が日本への観光がしづらくなるような規制を掛けますし、中国にある日本企業に露骨に圧力を掛けたりします。

 

いわば観光ビジネス頼みになるということは、わざわざ自国が不利になるようなカードを相手にプレゼントするような物なのです。

決して国が諸手を挙げて推進すべきような方策ではありません。

 

そもそも、トヨタなどが世界への輸出量が多いせいなのか、かつての日米貿易摩擦の記憶が根強いのか分かりませんが、日本が貿易立国だと思っている人が大勢います。ですが、それは明らかな勘違いです。

 

日本の輸出依存度はおしなべて低く15%程度。

ドイツや韓国が40%を超えているのに比べれば明らかに低く、日本経済は内需型なのは明白です。

 

それをわざわざ外需頼みにしようとしているのが、今の政府のやり方です。全くナンセンス。

GDP世界第三位の経済力の80%以上を叩き出すことができる強力な内需がデフレで弱まっているのですから、その内需を再度押し上げるのが本来あるべき姿です。

それをわざわざ海外の反応に右往左往しなければならない状況に追い込もうとするのは、どう考えてもおかしい。統計も見ずに「日本は貿易立国」だという思い込みで動いているとしか思えません。

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

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