世界を救う読書

ビジネス書から文芸書までさまざまな本を通して世界の見方を考えるブログ

実は8%への消費増税をやらない方が税収は伸びていたという話

老後の資金が2,000万円必要という報道が流れて以来、世間での社会保障費への注目が集まって来ました。素直に考えれば「老後に2,000万円必要なんだから消費税なんか払っている場合じゃない!消費税廃止しろ!」という話をになりそうな気がします。
ところが下記の日経新聞の世論調査によると、逆に消費税増税に賛成する人の割合が反対する人の割合を超えたそうです。 

日本経済新聞社とテレビ東京が11~12日に実施した緊急世論調査で、10月の消費税率10%への引き上げに賛成は52%で、反対の42%を上回った。消費税率10%への賛成が5割を超えるのは初めて。社会保障費の膨張に何らかの対策が必要かをたずねたところ「必要だ」は85%に上った。


正直「老後に2,000万円必要だと言われても、増税に賛成する人が過半数」というのは驚きです。みんなお金あるんですね…羨ましい(笑)。
まぁ、冗談はさておき。

今回はこの「お金がもっと必要になるのに増税に賛成する」という不思議な心理について考えてみたいと思います。

 

なぜ増税に賛成するのか?

今回の調査によると「消費増税が日常の消費に影響がある」と考えている人が71%に上ったそうです。また、「社会保障費の膨張に対する対策が必要だ」と考えている人が85%に達したとのこと。

そして、消費増税に賛成している人の中で社会保障費への対策が必要だと考えている人は90%に上ったそうです。

 

このことから分かるように、消費増税に賛成する人のほとんどが「社会保障費への対策として消費税の増税が必要である」と考えているようです。

 

2014年の消費増税分で税収は増えたのか?

確かに政府も消費増税の理由として社会保障費の財源として必要だということを繰り返し主張しています。そういう意味では多くの人が政府の言うことを素直に信じているのでしょう。

しかし、本当にそうでしょうか?

 

実は2014年の消費増税の時も同じように今後増え続ける社会保障費の財源確保として必要だと言われていました。では、2014年の消費増税によって税収はどれくらい増えたのでしょうか?

2010年に消費税が10兆円を突破して以来、消費税による税収は地味に上がり続けましたが基本的には10兆円〜11兆円弱という程度でした。それが2014年の消費増税により一気に16兆円を突破。その後もまた地味に上がり続け2018年には約17兆6,800億円となりました。

つまり2014年の消費増税により約7兆円が税収として増加したということです。したがって、これに関しては増税の効果があったと言えます。「なんだ、頑張った甲斐があったのか」と思われる方も多いかもしれません。

しかし、事はそれほど単純ではありません。

 

税収全体で見ると意外なことが・・・

税収というのはもちろん消費税だけではありません。所得税や法人税などいろいろな税金があります。社会保障費だの何だのと言っても「同じ財布」から出ている訳ですから、消費税だけを見ていても全体の流れはつかめません。

 

実は消費税以外の税金も含めた税収全体では、消費増税前は年率2.1兆円のペースで税収が増えていました。

税収というのはGDP (国内総生産)がその基になっていますので、税収が増えていたということはそれだけのペースでGDPが成長していたということです。ところが、なんと消費増税後にその税収が年率0.8兆円ペースにダウン。つまり年率で1.3兆円も税収のペースがダウンしてしまったのです。

 

それはつまりこういう事です。

年率2.1兆円で税収アップというペースが続いていれば、5年後には10.5兆円税収全体は増えていたはず。

ところが消費増税によって5年後には「0.8兆円 x 5年間 =4兆円」、プラス消費増税による7兆円で税収全体は11兆円増加ということになった。

 

・・・・ん?

これって増税する意味なかったんじゃね???

むしろ増税せずにいても大して税収変わらないなら、増税しなかった方が国民の生活は困窮せずに済んだんじゃね??

 

 

海外頼みの経済成長

ちなみに、上記の数字は元内閣官房参与である藤井聡京都大学教授の本「10%消費税が日本経済を破壊する」が元ネタです。

 

 

そして、藤井教授によるとさらに恐ろしい事実が明らかになります。

それはこの0.8兆円という税収の伸びも実は外需頼みだった、つまり海外(特にアメリカ)の経済が好景気だったからということです。

アメリカ経済が好調だったという"ラッキーパンチ”があったにも関わらず、上記の通り増税しなくても5年程度で増税した場合の税収を上回る・・・言い換えればもしアメリカの好景気がなければ、日本経済はもっとひどいことになっていたということです。

 

結果的には「最悪な状態よりはまだマシだった」訳ですが、これは決して喜べることではありません。なぜなら海外の景気は日本の力では何ともしようがないからです。

ましてやご存知の通り、昨今は米中貿易戦争を始め、イギリスのEU離脱問題、イランとアメリカの関係悪化など、世界経済に関してはとても楽観できるような状況ではありません。

このような中で10%への増税を行ない、その後になって世界経済を後退させるような事件が起こったら、一体どうするのでしょうか?

 

ズバリ言いますが、そのような事態になっても誰一人政治家は責任を取りません。彼らは必ずこのように言うでしょう。

 

「想定外の出来事でした」

 

と。

よく「日本の政治は決断が遅い」とか「スピードが大事だ。トップダウンで決めていかないと世界の流れについて行けない」」とか言う人がいます。

はっきり言ってそのようなビジネス感覚で政治を語る人に、政治のことをとやかく言う資格はありません。政治とはビジネスと違い、一旦間違いを犯したら100年あるいはそれ以上に、その過ちがついて回るのです。

政治においては「石橋を叩きすぎても、叩き過ぎることはない」のです。

 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😊

このサイトについて プライバシーポリシー
Copyright ©2020 Sekadoku (世界を救う読書管理人)