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モスバーガーは自分たちの味の源を忘れたのか? -生産性と効率性の勘違い-

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皆さんはマクドナルドとモスバーガー、どちらが好きですか?
 
私は断然モス派です! (マック好きの方ごめんなさいm(_ _)m)
 
私が初めてハンバーガーを食べたのは、確か小学校に上がる前か、上がった直後かくらいのタイミング (そう言えばもう40年近く前の話になるのかぁ・・・(TOT)。
マクドナルドというアメリカからのお店が遂に九州に上陸したということで(私が九州出身のため)、電車で1時間近く掛けてマクドナルドへ行ったことを覚えています。その時はその時で初めてのハンバーガー体験に感動したのですが、どちらかと言うと「へー、こんな食べ物があるんだ〜」という感じのものでした。
 
そこから始まった私のハンバーガー人生(?)を覆したのが、18歳の時に初めて行ったモスバーガーでした。正直最初の印象は悪かったのです。
 
・駐車場が狭い(実家の近くにあったお店は)
・値段が高い
・注文してからハンバーガーが出るのが遅い
 
ぶっちゃけ「おいおい、マジかよ。もう二度と来ないわ」と思ったのですが、出てきたモスバーガーを食べた瞬間にそんなネガティブな印象はすべて消し飛びました。
美味い! めちゃくちゃ美味い!! 今まで食べてきたハンバーガーは何だったんだ? と。
これだけ美味ければ高くても仕方ないわ、と思ったものです。
 
実はこの値段に対する価値の高さ、これが「付加価値の高さ」です。私がモスバーガーを食べた時に思った「この美味さなら、この位の値段がしても仕方ない。」という印象、それが付加価値の高さを表しているのです。
そして、この付加価値を高めることを「生産性の向上」と言います。モスバーガーで言えば“より美味しい”ハンバーガーを作ること、これが「生産性を高める」ということなのです。
 
おっと、ハンバーガーの思い出から一気に経済の話になりましたね! (笑)
という訳で。
そう。今日はモスバーガーに見る、「生産性の向上とは何か?」について書いてみたいと思います。
 
 

生産性と効率性に関する大いなる勘違い

学生時代の話から一気に現在に話が進みますが、先日出張で久々に東京へ行った際モスバーガーへ行ってきました。同じモスバーガーでもやはり私が住んでいるような地方都市と東京では違うんなと思うことがありました。なんと今は客自身が注文から会計までタッチパネルで処理するようになっているんですね!
・・・全然知りませんでしたよ。さすが東京!! (笑)
 
最初は驚いたものの、「人手不足、人件費高騰の折、経費節減のための設備投資は良いことだな」と思いながら、早速タッチパネルで注文をしようと思ったところ・・・全然分からん・・・(笑)。
バーコードを読ませてください」とか書いてあるのですが、そもそもそのバーコードがどこにあるんじゃい?? 皆目見当がつきません。私がタッチパネルの操作が分からなくてカウンターであたふたしてましたところ、結局店員さんが対応してくれました・・・orz
 
スマホの操作が分からないおじいちゃんのようで、まぁ恥ずかしい思いをしたことはさておき(笑)、この注文から会計までをタッチパネルで行うことになったのは、果たして「生産性の向上」といえるでしょうか?
 
残念ながら違います。
これは(正確には“これだけ”では)生産性の向上ではありません。
タッチパネルを導入しただけでは“効率性”の向上でしかありません。
さらに言えば、この効率性の向上は本来お店側が負担するべき労力を客に負担させて、その分お店側が得をする(=経費を削減する)だけのシステムなのです。
 
生産性と効率性の違いは何か
私が初めてモスバーガーを食べた時の話を書いた際、「この美味さなら、この位の値段がしても仕方ない。」という印象、それが付加価値の高さを表していると書きました。生産性の向上とは、この「付加価値の高さ」を高めることなのです。もちろん、付加価値の高さとは味の美味しさだけではありません。お店の作りや雰囲気など「モスバーガーに行く」ことまで含めたトータル的な価値も含まれます。
 
先程私は「タッチパネルによる注文、会計システムを導入した“だけ”では生産性向上とは言えない」と書きました。もし、これがタッチパネルを導入した“だけ”ではなく、そこで削った労力をより高い付加価値を提供できるサービスに振り分け、トータルでの付加価値が高まっているのであれば、それは生産性の向上になるのです。
色々な付加価値の高め方はあると思いますが、飲食店であることを考えればやはりより美味しいメニューの開発ということが王道でしょう。
 
つまり、「タッチパネル式になって注文が面倒になったけど、前よりも美味しいメニューが出るようになったのなら、やっぱり次もモスバーガーに来よう!」。そう思えるような付加価値の高いサービスやコンテンツが用意できるのであれば、それは生産性の向上といえるのです。
ですが、これが単に「タッチパネルを導入して、より少ない人数でも回せるようになり、人件費が削減できた」という生産効率の向上であれば、それは付加価値の向上には何の役にも立ちません。
 
 
なぜ生産性と効率性を混同してはならないのか。
私がなぜ生産性と効率性の違いにこだわるのか。
それは効率性の向上が目的になってしまえば、経費を安く買い叩けば解決する話になってしまうからです。それは結局経費の押し付け合いであり、人件費の抑制でしかありません。このデフレの最中、どこの企業も、どこの人も仕事や需要を求めているのですから、安く買い叩くことは馬鹿でもできるのです。しかし、「経費削減による利益向上が是」という考え方が蔓延したままでは、いつまで経っても実質賃金は上がらず、適正な物価上昇も起こらず、デフレから脱却できません。
 
そうではなく、「これだけ付加価値の高いサービスを提供してくれるならお金を払おう」と思えるようなサービスの提供を促進し、そこから売上と利益を上げていくことが本来の正しい経営の道です。私は今回のモスバーガーの新しいシステムの導入は、その意味で正しい道から外れた方策だと思っています。
 
以前モスバーガーの櫻田会長は次のようなことを仰っていました。
 

『食を通じて人を幸せにする』のがモスの経営ビジョン。モス対マックとか、勝った負けたは、どうでもいいんです。食に携わる人間として、心から人を幸せにしたいと思っています

 

『食を通じて人を幸せにする』のがモスの経営ビジョン。モス対マックとか、勝った負けたは、どうでもいいんです。食に携わる人間として、心から人を幸せにしたいと思っています

 

 

確かに経営者としては甘っちょろい理想かもしれません。でも、昔のモスバーガーにはこの理念が生きていたように思います。少なくとも初めて口にした時にはその理想を感じました。

もし、この言葉が本当の思いだとすれば「人を幸せできるサービスとは何か?」をもう一度考え直して欲しい。心からのモスバーガーファンだからこそ、私はそのように思うのです。

最近何かと良くないネタが多いモスバーガーですが、私が初めてモスバーガーを食べた時の感動をもう一度味わえるような商品開発とサービス提供を考え出し、「食べた人を幸せにして欲しい!」。

そのように思った東京でのモスバーガー体験でした。

 

 
今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆
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