世界を救う読書

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欧州でのディーゼル車規制がなりふり構わなくなってる件

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さて皆さん

 

「RoHS(ローズ)」

「REACH(リーチ)」

 

とかいう言葉をご存知でしょうか?

これらは欧州連合が欧州内に流通する商品に対して課している環境規制の通称です。

RoHSはテレビ、スマホ、イヤホンなどの電子機器に関しての規制。REACHはもっと広い製品…Tシャツとか容器とか、世の中に出回っている製品のほとんどについての化学物質に関する規制です。

 

RoHSの許可マークは、私たちが普段買う電化製品のパッケージにも印刷してあることが多いので、そのマークを見れば「ああ、なんか見たことあるな〜」という方も多いと思います。

 

RoHSにしろREACHにしろ、本当に事細かく規定されていて、欧州市場に製品を輸出する時にはその規制に適った物であることを証明するための膨大な資料が必要になります。

一応名目上は「環境保護のため」ということになっていますが、ハッキリ言えば欧州域外からの商品の参入を防ぐための非関税障壁です。

 

そんな風に過剰とも言えるほど環境規制が厳しい欧州ですが、中でもドイツの厳しさは異常。そんなドイツで活躍する日本人の作家、川口マーン恵美氏が2019年1月4日に投稿された「現代ビジネス」にて面白い記事を書かれていました(現地の方々は全くおもしろくないでしょうが)。

 

日本ではトヨタのプリウスが登場して以来、ハイブリッド車や電気自動車が主流になっていますが、欧州ではそれと同じ頃からディーゼル車が環境に良いとして主流になっていました。自動車メーカーのマツダが欧州で一世を風靡したのは、そのディーゼル車に早くから先鞭をつけていたからです。

昔の煙を吐いて走るディーゼル車のイメージと違い、技術進歩により今は「クリーンディーゼル」と言われるほど環境に良い車として認知されています。

 

と・こ・ろ・が、です。

 

何と川口氏の記事によると

ディーゼル車は排ガス基準によりeuro1からeuro6までのレベルに分けられている。そして、そのうちeuro1から4までが、元旦よりシュトゥットガルト市内に入れない。今のところ、無視して入っている人もいるようだが、本来なら違法行為だ。euro5は執行猶予中で、この1年で大気汚染が改善されなければ、来年からやはり市内侵入禁止となる。

 とのこと。

欧州と言えばクリーンディーゼル、という程ディーゼル車先進地域の欧州で何が起こっているのかというと・・

 

問題になっているのはPM、つまり、ばい煙、粉塵、硫黄酸化物などの微粒子で、その最大の犯人がディーゼル車とされている。そのため、以前よりDUH(ドイツ環境支援)という環境保護団体が大気汚染のひどい町でのディーゼル車の走行禁止を求めて裁判を起こしており、去年、いくつかの判決が出たが、一番厳しかったのがシュトゥットガルトで、市内全域が走行禁止となった。

例外は救急車、タクシー、配送車など。また、身障者や手工業者は、申請すれば走行が許されるそうだが、その他の市民は、3月末までの猶予が与えられているだけ。皆、「だったらどうすればいいの!?」というところだ。その他、郊外から市内に車で通勤している人も7万2000人おり、困っている。

 

・・・・うーむ・・・・「環境保護」のためなら、自分の国で生きる人達にも容赦しない。恐ろしい国ですね(笑)。

 

こういう事実を知るたびに私が思うのは、こんな状況の欧州と「日欧EPA」などという自由貿易協定を結んで本当に良いのか? ということです。

先に挙げたRoHSやREACHもそうなのですが、いくら口では自由貿易だとか言ったところで、「環境保護」ためとか自分たちの都合の良い理屈でいくらでも”非関税障壁”を作ることができるのです(日本人はそういう手口がものすごく下手で、逆にすぐに騙されます)。

さらに、今年になってそうそう進行している円高によって、欧州への輸出はより厳しくなるに違いありません。EPAによる関税撤廃で輸出が有利になるなどと言っていますが、元々低い関税が多少下がったところで、その利益分の金額など数円の円高で一瞬にして吹き飛ぶのです。

 

自由競争だからと言って「公明正大な競争」だとは限りません。

自由競争というのは「どんな汚い手を使っても勝てば良い。勝てば官軍負ければ賊軍。」ということなのです。

アメリカ一国との貿易協定でさえやられっぱなしの日本が、果たしてこのドイツやその他大勢の外交百戦錬磨の国々と対等にやっていけるのか。今回のドイツの話題を見ると先の暗さを感じざるを得ない・・・そう思ってしまったのであります。

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😊

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