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日本人は構造改革によって自分たちの社会を自らぶち壊した

いきなりですが、みなさん「構造改革」って聞くとどういうイメージがありますか?

何か古いことや、昔の意味のない風習を壊して新しく、近代的なものに作り変える!みたいな意味で、「構造改革 = 良いこと」みたいな印象が強いと思います。

 

ところが、実は

 

その「構造改革」こそが現在の日本経済の衰退をもたらした原因の一つだ

 

と言われたらどう思われますか?

先日の投稿で紹介した森永卓郎氏も仰っていますが、実は日本の「構造改革」こそが日本経済をどん底に突き落とし、現在の貧困化社会を作り上げたのです。

 

 これについては私も森永氏の意見には100%賛成で、構造改革がなければ日本の経済が衰退することもなかったと思います。

 

ですが、おそらく多くの人が「えええ〜〜〜? そんな馬鹿な!!」と思われるでしょう(笑)。

そこで今回は「なぜ構造改革が平成の日本経済衰退をもたらしたのか?」について考えてみたいと思います。

 

そもそも構造改革とは何だったのか

構造改革というのは、民間企業が自由に競争するための日本国内の規制を撤廃することで、民間企業が自由に競争できる環境を作り、国内に新しいビジネスチャンスを広げることで、消費者に利益をもたらすという理屈です。

言い換えると、日本の消費者の需要(みんながモノやサービスを買えること)を拡大することで、日本経済を成長させましょう! というものだったわけです。 

 

つまり構造改革が成功していれば、みんながモノやサービスを買える量が増えているはずなのです。しかし、現実はどうでしょうか?

一部の富裕層はさておき、ほとんどの国民は貧困化しています。実際、一世当たりの平均年収は1994年の664万円をピークに2012年には529万円にまで減少しています。一世帯あたり130万ほども年収が下がったわけです。

こんな状況で国民がモノやサービスを買える量が増えるはずがありません。

 

なぜ日本の構造改革が失敗したのか

じつはこの構造改革というのは日本独自で行われた訳ではありません。アメリカやイギリスでも同様の構造改革は行われました。

というよりも、構造改革の言い出しっぺはイギリスのサッチャー政権とそれに続くアメリカのレーガン政権ですので、日本は後追いなのです。

 普通は後追いの方が前例者の失敗や苦労を吟味してうまく行くはずなのですが、日本の場合は大失敗しています。日本のような経済停滞に陥った国は他にはありません。

では、なぜ日本だけが構造改革によって経済停滞してしまったのでしょうか?

 

その答えは非常にシンプルで「日本がデフレだから」です。もっと言えば、デフレ不況に突っ込んだ状態で、構造改革を推進したから不況がさらに深刻化してしまったのです。

 

構造改革とはインフレ対策である。

最初に書いた通り、構造改革というのは「構造改革というのは、民間企業が自由に競争するための日本国内の規制を撤廃することで、民間企業が自由に競争できる環境を作り、国内に新しいビジネスチャンスを広げる」というものです。平たく言えば、規制を緩和して新規参入をしやすくするということ。

一見何も問題がないように思えますが、これが大アリなのです。

 

新規参入が増えるということはそれだけ競争が厳しくなります。競争が厳しくなると当然ほとんどの企業は「同じサービスをより低価格で販売する」ようになります。消費者目線で言えばそれはありがたいことですが、生産者の立場からすれば利益が下がるので困るわけです。

でも、そうしなければ売れませんから、他の会社に合わせて値下げ競争を行うことになります。そうすると当然労働者への賃金も下がりますね。

 

そう。「消費者」と「労働者」というのは、別の人間ではなくて同じ人間なのです。消費者が払う金額が減れば、当然労働者に支払われる賃金も下がります。

賃金が下がれば、また買う量が減りますので、会社の売上も下がります。そうすると労働者の賃金もさがります。

以下、この繰り返しです。

 

「デフレ」というと単純に「物価が下がる現象」だと思われがちですが、「物価が下がる+それ以上のスピードで賃金が下がる」。これがデフレの恐ろしいところなのです。

 

つまり構造改革によって規制を取り払い、新規参入を促すというのは、デフレを促進する政策なのです。

 

先程アメリカやイギリスでは構造改革は成功した(短期的には、ですが)、しかし日本では失敗したと書きました。

アメリカやイギリスで構造改革がそれなりに成功したのは、どちらもインフレだったからです。インフレに苦しめられていたからデフレ化させる方策が成功した。当たり前です。

しかし、日本はデフレだったのです。

デフレで苦しんでいたところに、さらにデフレ化させる構造改革をやってしまった。

 

構造改革によって日本が衰退したのは当たり前

結局インフレ対策である構造改革、規制緩和というのは「インフレ経済を中和させるために、デフレ化させるための方策」なのです。そんな構造改革や規制緩和を”デフレ不況”に突っ込んだ日本でやってしまったのですから、そりゃ不況が悪化するに決まっています。

例えて言うなら、足を骨折した人に「健康には適度な運動が必要だからジョギングした方が良いよ。」と言って、無理やり走らせるようなものです。それで「ちゃんと運動してるんだけど、骨折がなかなか治らないんだよね…」って言ってるようなものです。「いやいや、まずは骨折治してからでしょwwアホかww」って話です。

 

デフレ不況の時に規制緩和や構造改革をするというのは、そういうことなのです。したがって、この平成30年間のうちに日本経済が衰退しまくったのは何の不思議もありません。当たり前です。

むしろ、餓死者とかが頻出したり、各地で暴動が起こったりと言った社会混乱が発生していない日本が異常というか、”奇跡”というレベルでしょう。

 

現在の日本の状況が構造改革が誤りだったことを証明している

それにも関わらず、日本ではいまだに「日本経済が停滞しているのは改革が足らないからだ」などと言っている人たちがいます。政府の力を弱くして、規制緩和を促進しろと。しかし、これは明らかな間違いです。

なぜなら、仮に日本が以前からの不合理な規制によって経済停滞が起こっていたとしましょう。それを受けて曲がりなりにも日本の規制はかなり緩和されました。むしろ緩和されすぎて、競争が激しくなり、ブラック企業による悪質なサービスがいまだに後を絶たないくらいまで緩和されています。

 

それを考えると、もし「構造改革を行って規制緩和すれば経済が良くなる」というのであれば、私達の生活は構造改革前よりも少しでも良くなっていなければならないはずです。ですが、国民の生活は苦しくなる一方です。

その一点を考えてみても「構造改革、規制緩和によって経済を良くする」というのは誤りであることは証明されているわけです。

 

時代に閉塞感が増すほどに、誰かがどこかで悪いことをしているんじゃないか。それを一気に打ち壊す改革が必要なんじゃないかと思う声が強くなります。それは日本だけではありません。

現在のEUやアメリカの混乱が正にそうですし、何なら第二次大戦の前の世界も全く同じ状況だったし、だからこそナチスのようなファシズムが力を持ったわけです。

そのような過ちを繰り返さないためにも、実は「規制緩和」や「改革」が持つ誤りを今一度私達は認識しし直す必要があるのではないでしょうか。

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

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