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イギリスのEU離脱問題で揉める原因をわかりやすく解説①

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ご存知の通り揉めに揉めているイギリスのEU離脱問題。

日々ニュースを賑わせていますが、多分日本人の多くの人が

 

「国民投票で離脱するって決まったのに、何をそんなに揉めてるの?」

「何か揉めてるらしいけど、よく分からん。まぁ、いいや。関係ないし。」

 

と思っているのではないでしょうか?

確かにイギリスのEU離脱問題はいろいろな側面がある複雑な問題なので、一言で揉めている理由を説明するのは難しいです。でも、2つだけ。これが分かってるとなぜこんなに揉めているのか分かるポイントがあります。

そして、そのポイントこそが「日本人には理解できない」ポイントなのです。

そのポイントとはズバリ、宗教問題とイギリスの国名です。

 

宗教問題というと日本人のほとんどの人は普段「私は◯◯教だから」と自覚していないと思います。だから「宗教問題」って聞くだけで「うわ〜無理無理。恐そうだし、難しそうだから嫌だ」と拒絶反応を示すのではないでしょうか(笑)。

一方「イギリスの国名」と言っても「そんなもん、イギリスでしょw」としか思わない人がほとんどだと思います。でも、これがそんな簡単じゃないんですよ。

これらの側面が分かっていると、EU離脱がなぜ揉めているのかスッと分かるようになりますので、是非知っておいて貰えると良いんじゃないかと思います。

 

[目次]

 

キリスト教の内輪もめ

では、まずクイズから。

「イギリスで一般的な宗教と言えば何でしょうか?」

 

多分多くの人は「キリスト教」と答えると思います。

でも、それだと半分正解、半分不正解です。

答えは「イギリス国教会というプロテスタント」です。

学生の時に16世紀にルターの宗教改革というのがあって、カトリックとプロテスタントに分かれたという話を勉強しましたよね? あのプロテスタントです。

 

どっちもキリスト教じゃんww って思うかもしれませんが、これが結構な違いで別の宗教と言っても良いくらいなんです。

カトリックというのはローマ帝国以来、がっつり時代の権力とコンビを組んで来ました。そういうと「既得権益ゴリゴリの悪い集団」みたいに思えるかもしれませんが、教皇を頂点にちゃんと組織化されていて、地方都市や町や村の共同体を支える共同体を築いていたんですね。そして、そのような共同体や教会を通して神とつながっているというような考え方です。言うなれば共同体重視派です。

 

一方プロテスタントというのは、聖書主義、万人祭司主義と言ってカトリックのような組織ではなく、それぞれの個人が聖書を通して神と繋がっているんだという考え方。ですので、プロテスタントの方が一般的に個人主義を重視しがちになります。

プロテスタントにもたくさん宗派があるので一概には言えませんが、ざっくり言うとそんな感じです。従って、同じ神を信じていても世界観というか社会観が全然違うので、考え方も全く変わってくるわけです。

 

そして、イギリスはプロテスタント。その中でもイギリス国教会という独自の宗教になります。

 

イギリスの正式名称は「イギリス」ではない??

そしてイギリスの問題を理解する上でもう一つ必須の知識があります。それは「イギリスの正式名称って何?」ってことです。

おそらく多くの人が

「イギリスはイギリスでしょ?」

「イングランドだよね」

という答えが返ってくるかもしれませんが、実はこれも半分正解で半分不正解。

正確には「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」。日本語で言えば「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」です。

これはイギリス本国に加えウェールズ、スコットランド、そして北アイルランドを4つの国が合わさった"連邦”のことを指しています。

 

日本の場合は、北海道とか九州とか沖縄がそれぞれ別の国で「日本という国はそれらの連邦国家なんだ!」とかいう訳ではありませんので、ちょっとこのような話は「単なる名前だけの話でしょ? そんな細かいこと気にしなくても・・・」という感覚を持つ人も多いかと思います。ですが、これは当のイギリス連合王国の方々にはかなり重要な意味があります。

例えば私の経験で言えば、私がとあるブランドのFacebookの運営に関わっていた時ですが、このイギリスのEU離脱問題が勃発した頃、イギリスの代理店から「Facebookのアカウント名を“ブランド名 UK"から"ブランド名 GBI”に変更してくれ」という要請が入りました。

UKとはもちろん「United Kingdom」の略。そしてGBIとは「Great Britain and Northern Ireland」の略。わざわざ「北アイルランド」を国の略称に入れてくれというのです。

 

これがEU離脱問題の根幹に関わる部分で、今イギリスが脱退する、脱退しないで揉めているのは、この「北アイルランドをどうするのか?」という問題が強烈に関係してくるからなのです。

日本では「イギリス離脱問題」として報道されますが、実はこれが日本人にとってこの問題をわかりにくくしている原因の1つなんです。この離脱問題というのは「イギリス、ウェールズ、スコットランド、そして北アイルランドという4つの連合王国がEUから離脱しようとしている問題」だと理解していないと、何をイギリスが揉めているのかさっぱり分からないのです。

 

まとめ

さて、今回ご説明したイギリスを取り巻く2つの問題。

1) イギリスで一般的な宗教は(プロテスタント系の)イギリス国教会である

2) EU離脱問題とは「イギリス連合王国のEU離脱問題である」

この2つの問題、「宗教」と「国家体制」を理解していると、イギリスのEU離脱問題がなぜこんなに揉めているのかが、ぐっと分かりやすくなります。

 

次回はこの理解を基にして、さらに深く突っ込んだイギリスのEU離脱問題について見ていきましょう。

今回はここまで!

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

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