厚労省大臣自身が分かってない“働き方改革”のツボ
引用記事とは直接は関係ないのですが、昨日たまたま昼食を食べながら食堂で見た国会審議の中で、加藤厚生労働大臣が次のようなことを言っていました。
「プライベートを充実させたりできるよう働き方を変えていくことで、労働生産性も上がっていくだろうと思われます。」
※テレビで見ただけなので若干言い方は違うかもしれません。
これは大いなる勘違いです。
この程度の理解で働き方改革がどうのとか言う資格はありません。
加藤厚生労働大臣が言っているのは「労働生産性」ではありません。
この方が言っているのは、与えられた時間の中で、自分が持つ条件を駆使して最大の成果を上げること。つまり「効率性」です。「生産性」ではありません。
「労働生産性」とは投下した労働力に対して得られる商品が生み出す付加価値のことです。
したがって、生産性を上げるとはより多くの付加価値が得られるようなサービスやモノづくりを行うことです。
「生産性」と「効率性」この違いは大変大きな違いです。
効率性は労働者の裁量で成否が分かれるものですから、それが悪いということであれば、それは仕事をする人のやり方が悪いという話になります。だから“働き方”改革・・・「労働者の働き方を変える」方向になる訳ですね。
でも、生産性というのは前述の通り生み出された商品が持つ付加価値の高さです。それは労働者一個人の裁量により左右される訳ではありません。
生産性が悪いというのは、その労働者の能力であればもっと高い付加価値を持つ商品を生み出せるはずなのに、設備が整っていなかったり、そもそもあてがう仕事が能力に見合ってなかったりするせいで、高付加価値の商品を生み出せないことを言うのです。
したがって、それは経営者の経営方針や商品政策、労働者の働かせ方、そして設備投資などの労働環境が悪いという話になります。
つまり、生産性が悪いならば“働かせ方”改革・・・「経営者による働かせ方を変える」方向に行くわけです。
生産性と効率性、この2つの概念を混同すると解決策が全然違うものになるのです。
恐らく加藤厚生労働大臣は、日本の労働者がその労働力の質で世界第四位、主要先進国でトップにランクインされている事実さえ知らないのでしょう。
日本人は世界でもトップクラスの労働の質を持つ、一方で賃金は主要先進国最低クラス。これだけの条件が揃っていながら、生産性・・・つまり付加価値の量を上げられないのは、それを使う経営者に問題がある訳です。
誰のための“厚生”と“労働”を司る省に自分が所属しているのか、もう一度しっかりと考え直して欲しいものです。
今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆