米国の偵察機撃墜。戦争したくてたまらない米国のしかける罠
日々緊張が高まるイラン情勢ですが、昨日はあと10分遅れていたら戦争開始だったか!?という所まで事態が進みましたね。
記事によると「イランの精鋭部隊「革命防衛隊」による米国の無人偵察機撃墜への報復として、20日夜にイランに対する軍事攻撃を準備」してトランプ大統領も許可を出したそうなのですが、「人的被害が出るため無人機(撃墜)と釣り合わない」と判断して、出撃10分前に中止命令を出したそうです。
こんなことまでツイッターで公表するトランプ氏もある意味凄いですが・・・。
アメリカの強硬姿勢の中心にいる男
中東問題というのは非常に複雑で、遠い国の日本からではなかなか「何がどうなっているのか」よく分からないというの実態だと思います。そんな中東情勢に疎い日本人でも、ここ最近のアメリカのイランへの強硬姿勢は目に余るものがあると思います。
「イランってそんなにヤバイ国なのかよ?」と。
例えば先月にもアメリカは空母エイブラハム・リンカーンを核ミサイルを搭載可能な爆撃機からなる部隊を中東に派遣。さらに先日のタンカー攻撃事件を受けて、1,000人を中東へ追加派遣することを決めました。
その中心にいるのが、大統領補佐官であるジョン・ボルトン氏です。ボルトン氏は中東情勢に対する強硬派の中心的人物で、2003年のイラク戦争の開戦も彼が主導したと言われています。
当時のブッシュ政権時代には、大統領補佐官よりランクが下の国務次官という職務でしたが、その当時でもイラク侵攻を正当化するための情報操作をしたり、自分の理論に反対する者に脅しをかけたりしていたと言われています。
そして今は虎視眈々と「イランと開戦するチャンス」を窺っている・・・。実際、今年イランが「イラン・イスラム革命40周年」を迎えた2月には、ホワイトハウスがイランへ向けて公開した動画の中で
「革命記念日を祝うチャンスはあまり残っていないだろう」
と脅しをかけていたそうです。ボルトン、こえーーーーー!!
無人偵察機の撃墜は本当にイランが悪いのか?
さて、このような超強硬派がいる中で、先日のような日本タンカー攻撃事件や、今回のアメリカの無人機撃墜事件が発生しました。
そして皆さんご存知の通りアメリカは間髪入れずに「イランの仕業である!」と決めつけて、強行的な態度に出ています。しかし、ボルトン氏のような人物がいる現在のアメリカが一方的にそのように決めつけたからと言って、皆が「そうだそうだ。イランが悪いんだ!」と信じるでしょうか?
例えば、下記のNewsweekのサイトにはアメリカ政府が公開した、ホルムズ海峡の地図とアメリカの無人機が撃墜された場所、それと周辺国の領海が掲載されています。
一応上側にある黒い線より上がイラン領域であり、それより下(南側ですね)をアメリカの無人機が飛んでいたというのがアメリカの主張ですから、それが正しいなら「公海上を飛んでいたアメリカの飛行機をイランが撃ち落とした」ということには、一定の説得力があります。
でも、そもそもこのアメリカの主張が本当なのかは分かりませんし、仮に本当だとしてもこんな危険な情勢の中で偵察機を飛ばすアメリカの方がどうかしているんじゃないかと思います。
完全に「ほら! 撃ってこいよ!!そっちから十分狙えるだろ??」と誘っているようにしか思えません。まさに「イランと開戦するチャンスを窺っている」アメリカの態度が明確に観て取れるわけです。
その誘いに見事に乗ってしまったのはイランの失策であり、撃墜のニュースを聞いた時ボルトン氏は間違いなく「よっしゃ!! これで開戦だ!!」と思ったでしょう。
戦争は望まないと言う度に戦争になる不思議な国アメリカ
とりあえず今回は開戦を避けられたものの、一触即発の事態であることは変わりありません。ただ、ひとつ忘れてはいけないのは、「開戦したい」と言って真っ向から戦争を仕掛ける馬鹿はいないということです。
口では必ず「戦争を望んでいない」と言いながら、
「先制攻撃を受けたから」
「現地住民を守るため」
「大量破壊兵器を保有しているから」
などという大義名分を掲げて“仕方なく戦争する”という形に進めます。
それは今も昔もそうです。軍事的に強い国からすれば「開戦する口実を作らせれば勝ち」ですし、弱い国からすれば「開戦される口実を作られたら負け」なのです。だからアメリカは無理矢理にでも開戦の口実を作ろうと無人偵察機を領海ギリギリの危険地帯で飛ばすし、イランは「何か事が起こったらすぐに国際社会に無実をPRする」のです。
実際に何が起こったのかは関係ない。
「こういう事が起こったんじゃないか。」と社会に思わせることに成功した段階で、戦争は決定するのです。
今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆