世界を救う読書

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経済学者は基本的に間違えている

私は大学で経済学を専攻しましたが、その時とある教授に注意(忠告?)されたことを今でも覚えています。

それは

 

日経新聞は読むな (「日経読んだら馬◯になるからな」と仰ってましたが(笑))

経済学者の言うことを鵜呑みにするな

 

ということです。

「経済学の教授がそんな事いうの?」と大変驚きましたが、今ではその助言の有り難さが身にしみて分かります。

 

どうしても世間の認識では

 

「経済というのは何かメチャクチャややこしい学問で、専門用語のオンパレード。それを理解して専門としている学者さんは偉い人達だ。偉い学者さんが言うんだから、よく分からんけどそうなんだろう。」

 

と思われる傾向が強いと思います。

しかし、残念ながらその認識は正しくありません。

 

なぜなら、経済学は複雑な数式を用いるのである種の“科学”のように思われがちですが、あくまで“社会学”なのです。経済学が社会の動きを探る学問である以上、どのような状況でにも適用可能な方程式や100%正しい回答は存在しません。社会とは常に状況が移り変わる物だからです。

普通に世間で暮らしている人なら、社会人じゃなくても学生でもわかることです。

 

それが事実なのですが、国民生活や国家戦略を左右する力を持つ“お金”を扱う学問である以上、経済学には“正しい回答を示すこと”が社会的には切望されます。

正しい回答なんて出すのが不可能であるにも関わらず、正しい回答を出すことが求められる・・・それが経済学のジレンマでもあります。

 

経済学による経済分析は、何かしらの条件を付けた上で「この条件が揃えばこういうことが言えそうです」という程度に留めることしかできません。その条件が揃っていなければ、どのような立派な理論でも現実世界では全く通用しない。

それが経済学という学問です。

 

とはいえ、何も経済学なんて100%間違ってる。虚構だ。とまで言うつもりはありません。ただ、原理・原則を示したり、特定の前提条件を付けることで経済政策の提言を行うことができるということです。

私は経済学者にはその前提で提言を行った欲しいですし、それを受け取る国民もその前提で提言を受け止めて欲しいと思っています。

 

しかし、残念ながら多くの経済学者にそのような良識のある見識が欠けているのも事実です。

 

例えばちょっと前の記事なりますが、土居丈朗 慶應義塾大学 経済学部教授によるこの記事。

 

この記事の中で土居氏は、アルゼンチンが債務不履行(デフォルト)したことに対する安倍首相の発言に対し、

 

PBを無理矢理黒字化したから次の年に債務不履行になったのではない。債務不履行を避けようとPBを黒字にした

 

と書いています。

土居氏はいわゆる「日本の財政破綻論者」ですので、「プライマリーバランス(PB)を黒字化しなければ日本は破綻する」と主張している人です。もし首相が言うように「PBを黒字化したら債務不履行になった」ということになってしまえば、「お前が言ったようにPB黒字化を目指して、アルゼンチンみたいに破綻したらどうするんだ?」と言われるのを恐れて、自慌ててそのような意見を否定しようと必死になったのでしょう。

 

しかし、そもそもアルゼンチンが財政破綻したのは、自国通貨ではなくドル建てで債務を背負っていたためです。PBが黒字か赤字かは関係ありません。

大前提として「自国通貨建ての債務で賄っている国が財政破綻することはあり得ない」のです。

 

 

このように自分の主張を貫き通すために、自分の主張が成り立つのに必要な条件を意図的に隠し、自分の主張が100%正しいかのような言説を行うのは学者としての良識が疑われます。

 

私は学者も人間ですから間違えても仕方ないと思います。

もちろん開き直られても困りますが、自分が責任を取れる範囲で誠実に研究をした結果間違えるのは仕方ありません。学問というのは間違いと成功を繰り返して発展していくものですから。


だからこそ、自分の学説に有利な条件だけを提示したり、人の意見を自分の言説にそうような形に曲解するような振る舞いは慎んで頂きたいものです。


そういった学問に対する真摯な態度こそを学者が貫いてこそ、人々は学問とそれに従事する人たちを敬い信頼することに繋がっていくのではないでしょうか。


今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございます😊

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