世界を救う読書

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「YOU は何しに日本へ」と移民受入の闇

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みなさん、「Youは何しに日本へ?」という番組をご存知でしょうか?

お笑いコンビのバナナマンが司会を務める、テレビ東京系列で放送されているバラエティ番組です。番組スタッフが国際空港へ出かけ、そこで面白そうな(=ネタを引き出せそうな)外国人に「Youは何のために日本へ来たのですか?」と声をかけて、その理由から話題を広げて行くという内容。

来日理由は様々で、たとえば

 

・結婚する両親に挨拶するため

・コスプレ世界大会に参加するため

・日本でアイドルになるため

・自転車で日本一周するため

・日本のハンバーガーを食い尽くすため

 

などなど・・・・(良い意味で)くだらない理由から人生を賭けた挑戦まで色々な人間模様が描かれていて、とてもおもしろいです。勿論取材を断られることもありますし、「そもそも日本に住んでるので」とかそういう「ハズレ」(笑)もあります。

 

その特番が元日に放映されていました。普段は羽田か成田が多いのですが(テレビ東京ですからね)、今回は1コーナーが場所は愛知県の中部国際空港、通称セントレアで行われていました。

そこでとあるコロンビア出身の家族への密着取材が行われていたのですが、これがまた中々考えさせられる内容だったので、今日はそのことについて投稿したいと思います。

 

コロンビア家族を襲った悲劇

取り上げられた家族は母一人、子供3人(長男、長女、妹・・・妹はいなかったかもww)で、父親は既に他界。全員がコロンビア人です。

母親が外国人向けのエステサロンを経営していて、中々良いマンションに住んでいて、経済的には裕福な印象を受けます。・・・・が、その人生は波乱万丈だった模様。

 

ざっくり紹介すると

30年ほど前に母親は出稼ぎのために友人の誘いを受けて来日(その時既にご主人とは結婚済みで子供もいた)。

その時は「日本でダンスを教える仕事がある」という紹介だったのですが、実際に日本に行くとその友人に怪しいクラブみたいな所に連れて来られました。実はその友人は人身売買の斡旋をしており、その母親をヌードダンサーとしてその劇場のオーナーに売りつけようとしていたのです。母親自身はポルトガル語しか話せず日本語が全く分からないので「怪しい雰囲気」しか分からなかったそうなのですが、そこで働いているポルトガル語を話せるダンサーが「あなたは今身売りされそうになっているから、すぐにここから逃げなさい!」と言って、その劇場から逃げさせてくれたそうです。

 

間一髪で助かったその母親ですが、日本語も話せないためいわゆる水商売で生計を立てるしかなかったそうです。その時に知り合いになった人の良い日本人からのサポートもあって、ご家族をコロンビアから呼び寄せ家族で日本で暮らすようになりました。

 

そこまでは良かったのですが、建設現場で働いていた長男が仕事中に10mの建設中のビルから落下、背骨を骨折し下半身不随になってしまいました。しかし、それと前後する形で同じく仕事のためにコロンビアへ戻らなくてはならなくなった父親は、現地で事業経営をするほど優秀な方だったらしいのですが、強盗(詳しくは理由は不明)に遭い、拳銃で撃たれて帰らぬ人になるという悲劇が家族を襲います。

 

母親は水商売だけではとても家族を養えないと一念発起して、外国人向けエステサロンを経営するため免許を取得し、何とか開業までこじつけたとのことです。

 

今は娘と共にエステサロンを経営し、下半身不随になった長男は地元コロンビアで水泳選手となり2020年の東京オリンピックの代表になるべく猛特訓中とのこと。

 

悲劇を乗り越えた家族として褒め称えるだけで良いのか?

番組としては様々な悲劇を乗り越えた家族として取り上げたことで「撮れ高」は上々だったのでしょう。しかし、そのような感動物語として片付けて良いのかどうか、甚だ疑問に思います。

なぜなら、日本が推進している移民受け入れ拡大が生む悲劇がここに凝縮されているように思うからです。

 

そもそも母親が「民族ダンスを教える」という名目で友人に誘われ来日しながら、実際は「ヌードダンサー」として人身売買されるところだった訳です。

確かにそのような悲劇が起きないように法律上の規制を厳しくしなければならないという考え方もあるでしょう。しかし、所詮こういう「闇の社会」というのが蛇の道は蛇なのです。どのような法律を整備したとしても人間が作るものである以上、必ず抜け道があります。完全に防ぐことはできません。

また、仮に法整備を万全にしたとしても、外国の地から日本に人間を”輸出”しようとする現地の斡旋業者を取り締まることはできません。現在欧州でも問題になっているように、そのような斡旋業者が来日希望者を騙したり、法外な値段を要求したり、ましてや相手が女性であれば暴行するような事件も多発しています。

 

「日本が外国人労働者の受け入れを拡大する。そして10年働けば家族も一緒に日本で裕福な暮らしができるようになる。」そのような態度を示すだけで、数限りない悲劇を生み出す可能性が高まるのです。

 

「単純労働」の危険性を甘く見るな

またもう一つ注目すべきなのは、この家族の長男が建設現場で働いている途中に事故に遭ったことです。

以前とあるラジオで聴いたのですが、建設現場のような場所は本当に一瞬の判断ミスが命取りになるケースがよくあるとのことです。例えば何かが上から落ちてくる、あるいは転倒しそうになるといった場合に、我々日本人同士であれば直前に「危ないぞ!」「おい!」とか声を掛けることができますが、相手が外国人の場合そのような「とっさに出る言葉」が理解できないため、そのままボーッと立っていて事故に遭う、あるいは遭いそうになるというケースはよくあるそうです。

 

「肉体労働」だからといって「誰がやっても一緒でしょ」というような話ではない。

「労働」という言葉は同じでも、それを違う言語や習慣を持った人たちで置き換えられるほど実際の現場は甘くないのです。

 

このような外国人が知らない土地にやってくることに伴う危険性は、数限りなくあります。それを全て法律や規則で未然に防ぐことは不可能です。日本人労働者であっても不可能なのですから、外国人であれば言わずもがなです。

「法律や制度をしっかり整備すれば良い」などと言っているのは、現場のことを何も知らないお坊ちゃん政治家や世間知らずな官僚の発想であり、単なる空想の世界のことを言っているに過ぎないのです。

 

私は基本的に移民受け入れ拡大については、日本人労働者の賃金低下に繋がり、日本経済の衰退に拍車を掛けることになることから反対しています。

しかし、今回の事例のように日本にやってくる労働者にとっても決して好ましい話ではないという側面もまた、いくら強調してもし過ぎることはないのではないかと思っています。

 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😊

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